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【志村直純理事長に聞く ラストワンマイル協同組合の今後の展開】 「1年かけ軌道に乗せる」、10月には総合仕分けセンターも

2018年 5月17日 10:03

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 宅配サービスを提供するラストワンマイル協同組合が6月から事業を正式にスタートする。1都3県(東京、千葉、神奈川、埼玉)の運送業者23社のネットワークを活かし、大手宅配便事業者の運賃値上げや荷受量抑制で苦慮するネット販売事業者へ商品配送サービスを提供。理事長に就任したデリバリーサービス社長の志村直純氏に今後の展開や協同組合のネットワークなどについて聞いた。


 ――4月の事業発表後の反響は。

 「相当数の問い合わせが来ている」

 ――問い合わせ先はネット販売事業者が多いのか。

 「一番多いのは3PL事業者。3PL事業者が受託先から仕分け前の運賃で引き受け、3PL事業者自身が仕分け作業を受け持ち、仕分けと割引プランを適用して差額を徴収できるというのが喜ばれている」

 ――事業スタートは6月1日だが、どのような荷主の荷物を運ぶのか。

 「6月1日からトライアルとして始めるが、荷主としては、まずはどれくらいできるのかお手並み拝見といったところだろうから、とりあえず私が経営する会社であるデリバリーサービスの受け持ちエリアからテストを行う。そこで荷主のデータと我々のデータとのフェーズ合わせを行っていく。ちゃんとデータ処理ができるのかどうかの確認をしていく」

 ――トライアルでのデリバリーエリアは。

 「環状8号線を境にした都内の西側。一番難しいと言われているところであり、400万人の人口のエリアだ。一番効率が悪いところでもある。この効率の悪いところでネットワークを持っているというのが重要になる。当社を含めて宅配に精通する事業者が手を組んだのがラストワンマイル協同組合だ。デリバリーサービス自体はこのインフラを構築するのには約18年かけており、車両数200台に至っている」

 ――200台の内訳は。

 「軽車両だけでなく1トンバンなど全て混在しての台数になる。やはりいろいろなお客さんの荷物が入ってくるので、小さいものもあれば大きな荷物もあるので、多様な車両を使い分けていける」

 ――デリバリーサービスでも大手宅配の仕事を引き受けていた。

 「ヤマト、佐川、日本郵便、全部をやってきた。それだけに安く運ぶノウハウがある」

 ――宅配便大手の値上げの動きをどう見ているか。

 「大手3社の宅配便の値上げの動きは今後とも変わらないと思う。届け出た運賃があるが、その運賃は変わらないかもしれないが、特約運賃を廃止するようなことも考えられる。なぜかと言えば、インフラの保持が課題になってくるためだ。特に大手は地方のインフラ維持が大きな課題であり、過疎化になって難しくなっていき採算割れする地域が増えていく」

 ――23社という組合数が今後増えることはあるのか。

 「23社それぞれのエリアが決まっていて、1都3県をカバーできるので新たなメンバーは必要ない。既にインフラを持っているところと組んでいるのだから最初から利益を出すこともできる。積み合わせというのは非常に難しい。最初は荷物がわずかしかなく、そのため投資、損益分岐点があるのが詰め合わせ。難しい、だから誰もやっていない。本当に理屈が分かっている業者しかできない」

 ――問い合わせ先の要望などは。

 「荷主からの要望として持ち込み場所を複数設けていることから、どうしても1カ所でやって欲しいと要望されている。そこで『総合仕分けセンター』を開設することにした。1カ所ですべて受け取るセンターだが、その打ち合わせも始まった。10月1日をめどにオープンしていく。このセンターへ1台で持ち込んでもらって対応することができる。集荷も必要なら別途料金を頂戴して対応しセンターへ持ち込むこともできるだろう」

 ――総合仕分けセンターでマテハンの導入は。

 「行う。ソーターを導入し仕分けを自動化しようと検討している。センターの庫内業務を組合から外注に出すので、今後、その業務を担う事業者も募集していきたい」

 ――配送伝票も専用のものを用意するのか。

 「もちろん。9月から提供できるようにする。また伝票発送のほか、ラベラー、ウェブでの不在対応、電話での不在対応、荷物の追跡、請求払い、請求出しの一連の業務を一貫システムで行えるようにする。また電話不在対応は自動音声受付で行う。不在に関してはウェブの2次元コードのものと電話、そして直接ドライバーの携帯電話への対応も可能になる」

 ――軌道に乗るメドは。

 「ちょうど1年かかるだろう。月間5000個ずつ増やしていく計画で、最初の1年は3万~5万個。組合員へは今度のお客さんは大体○○個だよと伝えるだけで、各組合員は自分のところに来るのが何個分かる。それで準備もできる」

 ――運賃では仕分けの有無などによって適用する割引額が異なるプランを用意したのはなぜか。

 「物量が多くなるほど安くなるという料金設定にしたら、誰が荷物を集荷に行くのか、横持ちの費用はどこが負担するのか、といろいろ議論があった。仕分けの人材が必要にもなり、そして路線便も必要になる。そこで私が考えたのが路線料金をかからないようにし、仕分けも不要にしようということで、プランを組み立てた」

 ――1都3県以外はどうか。

 「関東だけと考えている。関東で7割の荷物を占めているわけで、我々の組合は関東以外を商圏とは考えていない」

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