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栁澤孝旨副社長兼CFOに聞く・スタートトゥデイの好調要因は?㊦ 「ツケ払い」はホームラン施策

2017年 8月24日 09:52

 2-1.jpg前号に続き、スタートトゥデイの栁澤孝旨副社長兼CFO(=㊨写真)に同社の好調要因などを聞いた。



──前期は商品取扱高が2120億円まで拡大した。
 
 「前期は新規ショップの誘致や、最大2カ月後の支払いが可能な『ツケ払い』、対象ブランドの商品が割引になる『ブランドクーポン』などが主な成長要因だ。昨年11月から、成長を支える3本柱に『ツケ払い』が入ってきた
 
──「ツケ払い」が若者層の獲得につながっているのか。
 
 「まず、『ツケ払い』は想定以上に業績に貢献していて、サービスとしては"ホームラン"と言える。利用者は100万人を超えた。元々は若年層向けに良いと思って始めたサービスで、実際に若年層はサービス開始以前と比べて増えている。ただ、『ツケ払い』の利用が若年層だけかというとそうでもなく、幅広い年齢層に割とまんべんなく使ってもらっている。大学生の利用を想定していたが、20代を中心に30代も多い。代引きを利用していた層の一部が『ツケ払い』に置き換わっているのかもしれない
 
──ブランドクーポンは一巡したが、成長をさらに後押しする要素になり得るのか。
 
 「ブランドクーポンは1日限定で取り組んでいるため、数に限りがある。そこで、1回(1日)当たりの取扱高を伸ばすために複数ショップ合同のクーポンを展開している。1ブランドでは取扱高に限りがあるブランドさんにも参加できるようにしたことで、喜んでもらえている。引き続き、ブランドクーポンに対する需要は比較的旺盛だ
 
──競合モールにもクーポン施策が広がり、やめられないのでは。
 
 「現状ではやめられない。ただ、クーポン施策を行うサイトを選ぶのはブランドさんで、効果の出ない売り場では実施しなくなるのではないか
 
──昨年11月には「買い替え割」も始めた。
 
 「『ゾゾタウン』で新品を購入する際に不用な服を下取りに出すことで新品を割り引く『買い替え割』を始めた。新品が割り引きになるため、より買いやすくなるという側面があり、購入単価の上昇や買い回りにつながるケースもある。古着を扱う『ゾゾユーズド』の仕入れが強化できる面もあるが、当社にとっては新品の販売促進という付加価値サービスで、セール前に定価で購入するきっかけにもなる
 
──今期は2700億円の商品取扱高を掲げ、出だし好調だ。
 
 「第1四半期(4~6月)は会社計画に対して上振れしたが、前期の成長軌道に乗れば上期の計画達成は手堅いと見ている。下期は、前期の『ツケ払い』効果が一巡するため、何か仕掛けていかないと簡単には達成できない。そういう意味では第1四半期に大した貯金はできていない。下期はプロモーションコストをかけていくことを発表していて、すでにテストを行っている
 
──プライベートブランド(PB)も今期中の始動を目指している。
 
 「PBは既存の出店ブランドとタッグを組むわけではないため、素材から開拓する必要がある。『ゾゾタウン』がPBの売り場になると思うが、既存の出店ブランドさんとケンカにならないように、ちゃんと考えていく必要はある
 
──物流拠点の拡大計画も発表した。
 
 「物流センターは千葉県習志野市の『プロロジスパーク習志野4』に加え、千葉県印西市の『プロロジスパーク千葉ニュータウン』の一部を7月から新たに賃借し、また、来年秋に稼働する茨城県つくば市の『プロロジスパークつくば1』の全棟を利用することで、現状の2倍程度に増床する。千葉ニュータウンはすぐに利用しないといけない状況ではないが、秋冬シーズンの本格化と年末に向けて手当した
 
──すべて関東の拠点を選んだ。
 
 「物流に関しては将来を見据えてどういう拠点配置にしていくかというシミュレーションをしてきたが、現状では費用対効果も含めて関東圏に持っていた方が良いと判断した。当社のユーザー分布やブランドさんの倉庫配置などさまざまなことを考慮した上で、新拠点を決めた。両拠点が加われば、商品取扱高で中長期目標の5000億円くらいまで対応できる
 
──各拠点の役割は。
 
 「基本的には千葉ニュータウンは出荷機能を持たずに保管がメインで、出荷は既存拠点からとなる。品ぞろえが増えて商品の置き場所が足りない。来秋にはつくばのセンターが稼働するが、その頃には出荷も既存拠点だけでは耐えられなくなり、出荷機能が必要になってくると思う
 
──配送会社の人手不足が深刻化している。
 
 「基本スタンスとして、当社ではヤマト運輸さんを使い続けたい。複数の運送業者さんを活用することなどはあまり考えていない」  (おわり

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