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オルビス・小林琢磨取締役に聞く ブランド再構築の行方

2017年 7月20日 10:43

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オルビスは今年4月、通販カタログを刷新した。創業来、3度目となるもの。「商品価値の向上(商品リニューアル)」「コミュニケーション変革(販促制度の刷新)」などブランド再構築の成果を受け、顧客接点で重要な役割を果たすカタログ改革に着手する。一方で今第1四半期(1~3月)は減収減益で着地した。今後の成長戦略を今年1月、取締役商品・通販事業担当に就任した小林琢磨氏に聞いた。

カタログは刷新でどう変わる。

 「レスポンス重視のスタイルから『対話』を重視したものに変える。端的に言えば、キャンペーンなど購入を喚起する訴求を弱め、コピーも親しみやすさを演出したり、語りかける内容に変える」

 想定する読者は。

 「ブランド再構築の中でターゲットをより明確にしてきた経緯はある。中心顧客層である30~40代の顧客をより意識し取捨選択する部分はある」

 送付対象、発行部数(月平均200万部)も変えていくのか。

 「意図的に部数を減らすことは現状では考えていない。投資対効果を見極めつつ送る。ただ、新規獲得、育成を意識して媒体を使い分けるコミュニケーション設計は必要かもしれない。例えば、これまでは新規獲得の顧客に同じカタログを送っていた。ただ、どの顧客にも画一的にカタログを送ると訴求が散漫になる。ブランド再構築ではスキンケアを中心に事業ドメインを明確にした。LTVを意識すると『オルビスユー』で獲得した顧客には、まずブランドスイッチの高揚感があるうちにラインで使ってもらうための価値を伝えるコミュニケーションがあってもよい」

 コアターゲット以外の層のフォローは。

 「内容は普遍的なテーマも扱うためほかの世代に否定されるものではない。コールセンターを中心としたフォローも行うが、媒体は多少割り切りが必要に思う」

 ブランド再構築を経て収益性は向上した。ただ、今第1四半期は減収減益だった。評価は。

 「四半期の結果は、昨年、『オルビスユーホワイト』など大型商品を投入した反動、今年リニューアルした『アクアフォース』との相対的な単価の差など商品戦略上の要因に左右される。ただ、本質的な課題として、市場におけるブランドの存在感が若干低下していると認識している」

 ブランド再構築でコアな顧客との結びつきは強まったはずだが。

 「付加価値の高い商品が受け入れられ、既存顧客との関係は強固になり収益性は高まった。スキンケア中心の獲得でLTVも向上している。ただ、外部顧客とのコミュニケーションが閉鎖的なものに偏っている面がある」

 どういうことか。

 「例えば、早い段階でLINEによる新規獲得に取り組み成功した。中心ターゲット層はスマートフォンやSNSと親和性も高く、投資も集中させて効率は改善している。反面、LINEは『友達登録』を行っていない層とは接点を築けないクローズドのコミュニケーションではある。当然、LINEの外にもターゲットはおり、マス市場におけるプレゼンスの低下は既存顧客にも遅れて響いてくる可能性がある。クロスメディアマーケティングでターゲット層の生活導線において接点を増やしていく必要がある」

 外部顧客との接点をどこに築く。

 「一つの施策、CPOで効果を判断できない時代になって久しい。旧来の『通販化粧品』の考え方から脱し、ウェブやリアルを複合的に捉えクロスマーケティングを行っていく必要がある。評価も定性的な指標を含め、トータルで評価していく必要がある」

 テレビなどマス広告の展開も選択肢か。

 「すべての可能性を排除しないが、ターゲットとする層の価値観に有効かといえば、異なるのではないかと思っている」

 中間期の見通しは。

 「楽観視はできない」

 売上高500億円を超えて踊り場を迎えたが今後の成長戦略は。

 「500億を超えるブランドはいくつかある。薄利多売で面を取る、ターゲットを絞り収益性を高めるなど戦略次第で成長はできる。どちらかといえば後者だが、ターゲットを明確にし、セグメンテーションをいかに捉えるかでまだ成長できると考えている」

 「オルビスは顧客との関係性、購買行動の分析など自社リソースをベースに改善するダイレクトマーケティングには非常に強みがある。一方、ブランドが成熟期に入る中でいかに市場でのプレゼンスを高めるか。もう一度考える必要が出てきている」
     
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