アスクルの「ロハコ」 マーケットプレイスを展開へ、"アマゾン型"に移行
アスクルは運営する日用品通販サイト「LOHACO(ロハコ)」を"アマゾン型"に移行させる。現状、アスクルによる直販のみの展開だが、早ければ今夏以降にも他の事業者が出店して商品や役務(サービス)を販売できるマーケットプレイスを展開する模様。
競合のアマゾンがすでに展開しているような「直販+マーケットプレイス」を展開することで、効率的に「ロハコ」の売上規模や流通総額を増やす狙い。また、それによる他社からの手数料や広告収入など新たな収益源の確保を図り、いまだ先行投資で赤字が続く、「ロハコ」の収益改善に貢献させたい狙いもあるようだ。
アスクルは8月3日開催の定時株主総会で定款の変更を行う。主な変更点は自社の事業を従来の「商品等の販売」から「商品等の販売ならびにその取次ぎ、代理および仲介」とすることだ。同社によればこれは「ロハコ」においてマーケットプレイス事業を始めるための変更だという。
「『ロハコ』は購入頻度の高い日用品を中心をした品揃えで、すでに年間120回程度も買い物頂けるお客様が多くでてきた。こうしたお客様に日用品だけでなく、例えば、"アパレル"や"スポーツ用品"などライフスタイル全般で必要となる商品をワンストップで提供して利便性を高めたい」(岩田社長)として、日用品以外の購入頻度の低い、いわゆるロングテール商品の取り扱いにあたって、売上規模の拡大で年々、増加に一途をたどる物流コストの圧縮の観点や、物流拠点のスペースの関係からも「当社の物流センターを通過しない売り上げを増やせることはビジネス上、非常の良いこと」(岩田社長)とし、従来のように自社で在庫を持って直販で展開するよりも、アスクルが直販する商材とは重ならない商品に関しては他社に「ロハコ」に出店してもらい、展開した方がよいと判断した模様だ。
出店者にとっても前述した通り、年間120回程度も利用する優良顧客を持ち、年間約330億円の売上規模を誇る「ロハコ」は"売り場"として魅力があり、アスクルとしても一定のトラフィックと規模感と持ち始めた現段階を踏まえて、マーケットプレイス開始に舵を切った模様だ。
なお、「ロハコ」では「無印良品」や「成城石井」など有力有店舗小売業者の商品を集めた専用コーナー「ロハコモール」をすでに展開中だが、"モール"とは言え、アスクルが当該商品を仕入れ販売する直販モデルとなっている。
マーケットプレイスの具体的な詳細は不明だが開始時期については「8月の株主総会の定款変更の承認を受け次第、なるべく早く始めたい」(同)とする。また「(マーケットプレイスを始めるので)皆さん、出店してくださいという形にはしない。あくまで『ロハコ』のお客様にとって利便性の高まる商品のほか、サービスを検討していく」(岩田社長)とし、少なくともスタート当初はアスクル側が選んだ事業者に出店を促す形を採る模様だ。なお、マーケットプレイスの出店料や手数料率などは明らかにしていない。
アスクルでは「ロハコ」におけるマーケットプレイスの導入で直販では販売が難しい商材などをカバーして品ぞろえの迅速な拡充を図る狙い。また、出店者からの手数料収入などの新たな収益源を確保や、さらにマーケットプレイス導入で顧客数や流通総額を増やし「ロハコ」内で掲載するネット広告の収入アップも狙う考えだ。すでに取引先のメーカーから一定の出稿を得ているようだが、広告主を出店者などへ広げることも可能となりさらなる広告収入増につなげたい狙いもありそう。
「ロハコ」は先行投資段階としていまだ年間30億円強の赤字が続いている。今後も当面、規模拡大を優先する意向だが、「主力事業の法人向けオフィス用品通販であげた利益を食う格好であるため、一部の株主などからはより早期の収益化を望む声もある」(アナリスト筋)ようで、粗利率が高い化粧品や健康食品、医薬品などの商材ジャンルの拡販や物流コストの圧縮などと並行し、マーケットプレイス事業に着手することで利益面の改善を急ぎたい意向もあるようだ。
競合のアマゾンは直販に加えて、近年、マーケットプレイス事業を強化しており、それにより、効率的に取扱商品数を増やしてさらに流通総額を拡大させている模様。「直販+マーケットプレイス」という"アマゾン型"へ移行するという「ロハコ」も同様に規模拡大を図ることができるのか。行方が注視されそうだ。
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アスクルは8月3日開催の定時株主総会で定款の変更を行う。主な変更点は自社の事業を従来の「商品等の販売」から「商品等の販売ならびにその取次ぎ、代理および仲介」とすることだ。同社によればこれは「ロハコ」においてマーケットプレイス事業を始めるための変更だという。
「『ロハコ』は購入頻度の高い日用品を中心をした品揃えで、すでに年間120回程度も買い物頂けるお客様が多くでてきた。こうしたお客様に日用品だけでなく、例えば、"アパレル"や"スポーツ用品"などライフスタイル全般で必要となる商品をワンストップで提供して利便性を高めたい」(岩田社長)として、日用品以外の購入頻度の低い、いわゆるロングテール商品の取り扱いにあたって、売上規模の拡大で年々、増加に一途をたどる物流コストの圧縮の観点や、物流拠点のスペースの関係からも「当社の物流センターを通過しない売り上げを増やせることはビジネス上、非常の良いこと」(岩田社長)とし、従来のように自社で在庫を持って直販で展開するよりも、アスクルが直販する商材とは重ならない商品に関しては他社に「ロハコ」に出店してもらい、展開した方がよいと判断した模様だ。
出店者にとっても前述した通り、年間120回程度も利用する優良顧客を持ち、年間約330億円の売上規模を誇る「ロハコ」は"売り場"として魅力があり、アスクルとしても一定のトラフィックと規模感と持ち始めた現段階を踏まえて、マーケットプレイス開始に舵を切った模様だ。
なお、「ロハコ」では「無印良品」や「成城石井」など有力有店舗小売業者の商品を集めた専用コーナー「ロハコモール」をすでに展開中だが、"モール"とは言え、アスクルが当該商品を仕入れ販売する直販モデルとなっている。
マーケットプレイスの具体的な詳細は不明だが開始時期については「8月の株主総会の定款変更の承認を受け次第、なるべく早く始めたい」(同)とする。また「(マーケットプレイスを始めるので)皆さん、出店してくださいという形にはしない。あくまで『ロハコ』のお客様にとって利便性の高まる商品のほか、サービスを検討していく」(岩田社長)とし、少なくともスタート当初はアスクル側が選んだ事業者に出店を促す形を採る模様だ。なお、マーケットプレイスの出店料や手数料率などは明らかにしていない。
アスクルでは「ロハコ」におけるマーケットプレイスの導入で直販では販売が難しい商材などをカバーして品ぞろえの迅速な拡充を図る狙い。また、出店者からの手数料収入などの新たな収益源を確保や、さらにマーケットプレイス導入で顧客数や流通総額を増やし「ロハコ」内で掲載するネット広告の収入アップも狙う考えだ。すでに取引先のメーカーから一定の出稿を得ているようだが、広告主を出店者などへ広げることも可能となりさらなる広告収入増につなげたい狙いもありそう。
「ロハコ」は先行投資段階としていまだ年間30億円強の赤字が続いている。今後も当面、規模拡大を優先する意向だが、「主力事業の法人向けオフィス用品通販であげた利益を食う格好であるため、一部の株主などからはより早期の収益化を望む声もある」(アナリスト筋)ようで、粗利率が高い化粧品や健康食品、医薬品などの商材ジャンルの拡販や物流コストの圧縮などと並行し、マーケットプレイス事業に着手することで利益面の改善を急ぎたい意向もあるようだ。
競合のアマゾンは直販に加えて、近年、マーケットプレイス事業を強化しており、それにより、効率的に取扱商品数を増やしてさらに流通総額を拡大させている模様。「直販+マーケットプレイス」という"アマゾン型"へ移行するという「ロハコ」も同様に規模拡大を図ることができるのか。行方が注視されそうだ。