悠香の旧「茶のしずく石鹸」で小麦アレルギーが発症したとして、悠香ら3社に損害賠償を求めた集団訴訟で12月14日、熊本地裁で和解が成立した。原告の熊本弁護団は計4億9500万円の賠償を求めていたが、悠香と製造元のフェニックスが約5000万円を支払うことで決着した。一方、今回の和解を巡り、別の弁護団からは「残念な結果」との声も聞かれる。
熊本、大分、鹿児島の3県にまたがる熊本弁護団は、熊本の31人に大分、鹿児島の各1人を加えた33人が原告。一人あたり一律1500万円の損害賠償を求めていた。
和解内容の詳細は明らかにしていない。一人あたりの和解金の平均は約150万円になるが、被害の程度により3段階に分かれるという。2社に対して謝罪や法的責任は求めなかったという。
旧「茶のしずく石鹸」を巡る訴訟では、ほかに原料供給元の片山化学工業研究所も被告になっていた。ただ、和解案に応じず、「このままでは和解の成立が難しく、(和解金が)十分でないとの認識はあるものの、早期解決を重視し、原告側で(片山化学への)請求を取り下げた」(久保弁護士)としている。
和解を受け、悠香は「和解に向け尽力いただいた裁判所に敬意を表するとともに、全国に先駆けて原告皆さんと解決図られた。引き続き訴訟に真摯に向き合い、各地の裁判所における同様の訴訟についても早期和解に努めたい」とコメント。フェニックスは、「コメントを差し控えさせてもらいたい」としている。片山化学工業研究所は、「担当者が不在で応えられない」とした。
大規模弁護団は和解難航か 一方、今回の和解成立に東京弁護団(事務局長=中村忠史弁護士)からは「残念な結果。一人あたり平均すると和解金は約150万円になるが、満足のいく金額とはなっていない」との声が聞かれた。
旧「茶のしずく石鹸」を巡っては全国で28の弁護団の約1330人が原告となっており、損害賠償請求額の総額は140億円超に上るとされる。
約170人の原告を抱える東京弁護団も和解協議を進めてはいるものの、「(熊本地裁で成立した程度の)和解金額であれば原告を説得することはできず、和解に応じることができない。被告会社に金額面で折り合いをつけることができるよう検討してもらっているところ」(中村弁護士)としている。今後の和解成立の見通しに対しては、「現状は流動的で何とも言えない。このままで和解は難しく、訴訟手続きに戻す可能性も高い。いずれにしても年内の決着は難しい」(同)としている。
東京のほか、多くの原告を抱える弁護団は、大阪(原告数約150人前後)と福岡(同約200人)がある。ある弁護団の関係者は今回の和解成立に対し「小さな弁護団においては今回の和解の影響がでてくるかもしれないが、大規模弁護団では調整が難しいと思う」との見方を示した。
熊本弁護団が、早期解決を目的に片山化学工業研究所への請求を取り下げたことに対しても「結果的に逃げ得になってしまっている」(同)とした。複数社が被告となっている訴訟の場合、通常であれば責任の度合いに応じて一定の割合ずつ負担する形になる。
(過去の関連記事)
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「茶のしずく石鹸」集団訴訟、和解協議が難航→
「茶のしずく」集団訴訟、被告と原告の主張対立→
悠香の「茶のしずく」一斉提訴へ、通販各社に問われる安全への〝信頼〟→
(連載記事)検証・悠香の自主回収①
熊本、大分、鹿児島の3県にまたがる熊本弁護団は、熊本の31人に大分、鹿児島の各1人を加えた33人が原告。一人あたり一律1500万円の損害賠償を求めていた。
和解内容の詳細は明らかにしていない。一人あたりの和解金の平均は約150万円になるが、被害の程度により3段階に分かれるという。2社に対して謝罪や法的責任は求めなかったという。
旧「茶のしずく石鹸」を巡る訴訟では、ほかに原料供給元の片山化学工業研究所も被告になっていた。ただ、和解案に応じず、「このままでは和解の成立が難しく、(和解金が)十分でないとの認識はあるものの、早期解決を重視し、原告側で(片山化学への)請求を取り下げた」(久保弁護士)としている。
和解を受け、悠香は「和解に向け尽力いただいた裁判所に敬意を表するとともに、全国に先駆けて原告皆さんと解決図られた。引き続き訴訟に真摯に向き合い、各地の裁判所における同様の訴訟についても早期和解に努めたい」とコメント。フェニックスは、「コメントを差し控えさせてもらいたい」としている。片山化学工業研究所は、「担当者が不在で応えられない」とした。
大規模弁護団は和解難航か
一方、今回の和解成立に東京弁護団(事務局長=中村忠史弁護士)からは「残念な結果。一人あたり平均すると和解金は約150万円になるが、満足のいく金額とはなっていない」との声が聞かれた。
旧「茶のしずく石鹸」を巡っては全国で28の弁護団の約1330人が原告となっており、損害賠償請求額の総額は140億円超に上るとされる。
約170人の原告を抱える東京弁護団も和解協議を進めてはいるものの、「(熊本地裁で成立した程度の)和解金額であれば原告を説得することはできず、和解に応じることができない。被告会社に金額面で折り合いをつけることができるよう検討してもらっているところ」(中村弁護士)としている。今後の和解成立の見通しに対しては、「現状は流動的で何とも言えない。このままで和解は難しく、訴訟手続きに戻す可能性も高い。いずれにしても年内の決着は難しい」(同)としている。
東京のほか、多くの原告を抱える弁護団は、大阪(原告数約150人前後)と福岡(同約200人)がある。ある弁護団の関係者は今回の和解成立に対し「小さな弁護団においては今回の和解の影響がでてくるかもしれないが、大規模弁護団では調整が難しいと思う」との見方を示した。
熊本弁護団が、早期解決を目的に片山化学工業研究所への請求を取り下げたことに対しても「結果的に逃げ得になってしまっている」(同)とした。複数社が被告となっている訴訟の場合、通常であれば責任の度合いに応じて一定の割合ずつ負担する形になる。
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