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坂本満広WEB事業部部長に聞く・アーバンリサーチのEC戦略は?①

2015年11月19日 09:54

 
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 セレクトショップ運営のアーバンリサーチは、順調にEC売り上げを伸ばしている。今期は物流面など関東でのインフラ整備に力を注いでいるほか、自社通販サイトとECモールとの在庫連携を推進。2016年1月期のネット売上高は110億円を見込んでいる。自社通販サイトをオープンした約10年前からECの責任者を務める坂本満広WEB事業部部長(=写真)にネット販売強化の現状や成長戦略を聞いた。





──WEB事業のインフラ整備を進めている。

 「10月に東京支社にもWEB事業部を置いた。撮影用のスタジオも事務所内に開設する計画で、今後は本社のある大阪と、ショールームストアを設置している台湾を含めた3拠点でWEB事業の人材を募集し、各拠点でチームを作れるようにしていく

──物流面も強化している。

 「EC 専用の倉庫についても、10月に従来の大阪だけでなく、神奈川県内にも開設して東西2拠点体制とした。関西では大阪市内にある約1320平方メートルの倉 庫がメーンだが、EC売り上げの拡大に伴って複数の倉庫に在庫が分散していた。店舗向けの物流拠点は関西にしかないが、EC専用倉庫を先行して関東にも設 けた。神奈川の倉庫は約5000平方メートルある当社専用倉庫で、顧客ニーズに合わせたスピード配送に対応していく。これまでの受注実績をもとに在庫を関 東と関西に振り分ける

──首都圏にも顧客は多い。
 
 「消費者もそうだが、取引先のファッション通モー ルのほとんどが関東に倉庫を構えていることも、WEB事業部が先行して物流の東西2拠点化に着手した理由のひとつだ。当社は今期、EC用の在庫を一元化し て他社ECモールへ積極的に出店している。従来であれば大阪から各ECモールの倉庫に商品を送るため物流コストが高く、配送時間もかかっていた。関東に倉 庫があれば時間短縮につながるし、取引額の大きなスタートトゥデイの倉庫にチャーター便を走らせるコストも削減できる
 
──神奈川の新倉庫は立地条件もいい。
 
 「日本全体の物流ネットワークが変化していく中で、新倉庫は、例えばヤマト運輸の多機能スーパーハブ『厚木ゲートウェイ』や『羽田クロノゲート』にも近い。こうした新しいインフラを活用できることもメリットになる
 
──今後は、規模の大きい関東の倉庫が軸になるのか。
 
 「そ の通りだ。2015年1月期のEC売上高は約86億円で、そのうち自社通販サイト『アーバンリサーチオンラインストア』の割合は30%程度だ。他社ファッ ションECモール経由の販売量がまだまだ大きいため、EC在庫については来春には関東で8割、関西で2割くらいを持つイメージで、関西の倉庫は絞っていく
 
──WEB事業部は大阪と東京で役割が異なるのか。
 
 「こ れまでも展開するブランドごとにチームを組んできたため、いくつかのブランドのコンテンツ作りを東京で行うことになる。そのため、東京にもクリエイター、 ウェブデザイナーが必要になる。自社通販サイトではロケーション撮影の画像も使っているが、関西だけでなく関東の店頭スタッフもサイトに登場させたい。東 京のウェブデザイナーについては、まずは新サイトを担当してもらう
 
──新サイトとは。
 
 「実は、 『アーバンリサーチオンラインストア』とは別に、新しい通販サイトを16年2月中にオープンする準備を進めている。既存サイトに比べると大規模なものでは ないが、高額なインポート商材などセレクト品だけを集めたサイトを立ち上げる。現状、ルミネなどに入っている実店舗はオリジナル品の比率が8割程度で、自 社通販サイトも約9割と高い。これに対し、新サイトは文字通り"セレクトショップ"になる
 
──別サイト化する理由は。
 
 「当社のオリジナルアイテムとインポート商材の世界観は微妙に違うし、価格帯はけっこうな差がある。ターゲット層も若干変わってくる。もちろん、オリジナルとインポートの両方を購入してくれるお客様もいるが、新サイトではインポート好きの層を狙った商品をそろえる」 (つづく

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