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集英社の通販事業が好調、年商は3割増の45億円と急伸

2015年 7月 2日 10:08

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集英社の通販事業が好調を維持しており、2015年5月期の通販売上高は計画通り前年比約30%増の45億円で着地した。

 主力の通販誌「エクラプレミアム」では、雑誌「エクラ」に紐付く通販を始めて7年が経つため、改めて顧客分析や商品、販促面などで仮説検証を進めているが、「エクラ」の部数が好調なこともあって通販誌の売上げも底堅いようだ。

 今年5月下旬には、「エクラプレミアム」の認知向上を図る目的でテレビ通販を活用。補正下着メーカーとタッグを組んで開発した「360度スタイルアップ"美ラク"ガードル」をTBSの通販番組「買いテキ!通販ツウ」で紹介したところ好評で、追加発注するなど一定の成果が得られたことから、7月にも同じ内容が再放送される予定だ。

 雑誌「LEE」の公式通販「LEEマルシェ」も前期はコア事業に成長した。とくに、昨年10月には独自ブランド「トゥエルブクローゼット」を含むアパレル商材や雑貨などを提案した大型企画が単月で過去最高となる1億円強を売ったほか、それ以降も通販ページを増やすなど攻めの姿勢で展開している。

 従来、「LEEマルシェ」では単価が低めのアイテムが好調だったが、最近では3~4万円台の商品も購入されるようになるなど、客層が広がってきているという。販売面では、先行受注会を知らせるメルマガを配信し、紙面に掲載する前の商品をウェブで販売する取り組みが当たっている。

 一方、デザイナーズブランドを扱うミラベラ事業の前期は約5億円で、計画には届かなかった。集英社では「ミラベラ」の取り扱いブランドを広げることで、尖り過ぎないサイトに修正を図っているという。

 今年2月に本格始動した男性向けの「ミラベラオム」は認知向上と新客開拓が課題で、メンズファッション誌「ウオモ」との連動を強化する。9月中旬に東京・南青山で開催する「ウオモ」の10周年イベントに合わせて同誌で19ページの通販企画を実施。人気ブランドとのコラボ商品を「ミラベラオム」で販売するが、当該アイテムはイベントでも展示する。また、イベントの参加申し込みを「ミラベラオム」で受けることで、読者を誘導するという。

今期通販売上55億円を計画

 集英社は、16年5月期の通販売上高は前年比約22%増となる55億円を計画しており、6月からゲスト購入をスタート。新客開拓のスピードを上げるのに加え、取引先ブランドとのデータ連携を加速するほか、サイトの高速化にも着手する計画だ。

 また、通販事業を強化する目的で、6月1日付けで同社100%子会社の「プロジェクトエイト」を新設した。集英社のブランド事業には通販を手がけるダイレクトマーケティング室と、同社女性誌のポータルサイト「ハッピープラス」を運営するメディア事業室があるが、これらに所属するフリーランスのエンジニアやMD・バイヤーなどが新会社に移ったほか、新規採用も実施して28人体制で始動。ECとメディアの連携を強めるほか、より機動力を持った専門家集団を目指すとしており、引き続き人材登用を進める。

 「エクラプレミアム」以外の通販誌面をすべて掲載している「フラッグショップカタログ」(年2回発刊)については、「フラッグショップマガジン」に名称を変更。媒体化を図って広告収入を得やすくする考えで、例えば、当該誌を配布する際にコスメの試供品をセグメント分けして届けることも行う。

 雑誌「ウオモ」や「モア」で大型通販企画を予定していることもあり、9月の「フラッグショップマガジ
ン」は例年より4万部増となる10万部を配布する計画だ。

 また、今後はファッションアイテム以外にも品ぞろえの幅を広げる方針で、既存客の満足度を高めるほか、新規客の開拓にもつなげる。7月上旬にはスーパーの成城石井と「フラッグショップ」がコラボし、同サイトで女子が好みそうなビールを提案する取り組みを試す。

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