トランスコスモスは3月18日、同社の子会社である日本直販を5月1日付で吸収合併すると発表した。日本直販は解散するが、ブランドは存続させる。トラコスは日本を含めたグローバルECを一括でサポートする「グローバルECワンストップサービス」を強化しており、日本直販の吸収合併もそうした戦略の一環としている。今後は日本直販の販路やノウハウを他社のEC支援に活用していく。ただ、通販企業を顧客に抱えるトラコスが自社内に通販事業を抱え、強化していくということに対して、業界内で反発を呼ぶ可能性もありそうだ。
日本直販の解散後、トラコス専務で日本直販社長の森山雅勝氏は日本直販事業の担当からは外れる。また、日本直販が大阪市中央区に構えていた事務所は、トラコスの大阪本部のビル内に移転。日本直販の従業員については解散後も本人に辞職の意思がない限りトラコスで再雇用する。
トラコスは吸収合併の目的として同社が推進している「グローバルECワンストップサービス」で「日本直販」のブランドや販売チャネル、通販のノウハウが活かせると判断した。具体的にはトラコスがEC支援を行う顧客企業に対して国内の販売チャネルとして日本直販を活用するといったことを想定している。
もっとも、これまでの別法人という関係から、トラコス内の一事業となることで、コールセンターやEC支援などでトラコスに仕事を依頼している通販企業は懸念を抱くことになりかねない。つまり同社が顧客企業との取引で得たノウハウを「日本直販」事業に注入するのではないかという懸念だ。
これに対してトラコスでは「(日本直販が)別会社の時もそうだが、本体に吸収してからも基本的に情報はファイアーウォールを敷き、オペレーション業務も基本的には全然違う体制で行う」(広報)と説明。顧客企業から請け負っている業務のノウハウを「日本直販」事業に注入することはないと強調する。逆に「日本直販」事業のノウハウをトラコス本体に取り込むことにより、顧客企業に提供するサービスの効率化や付加価値につなげていくとしている。
また、トラコスの説明では、今回の吸収合併はトラコスが提供する「グローバルECワンストップサービス」強化の一環で、「日本直販」の事業基盤が同サービスの中に組み込まれるという。これまでASEAN地域ではECプラットフォームの運営企業と資本提携していたが、日本ではそうした売り場を自社で抱えておらず、その意味で「『日本直販』は(売り場として)十分に有効」(同)としている。
しかし、「日本直販」の販売チャネルに「グローバルECワンストップサービス」の顧客企業の商品を投入することになれば、品ぞろえの面などから「日本直販」という売り場の強化をトラコスが会社を挙げて後押ししていくということになる。結果、トラコスの既存顧客からすると「自社の売り場ばかり優遇せずに、自分たちのところも応援してほしい」という不満を持つことになりかねない。そうした指摘についてトラコスでは「結果として競合してしまうのはやむをえない」(同)とする。
今後、トラコスが自社に通販事業を抱えて発展させていくには、こうしたジレンマと向き合わざるを得ない。通販企業の反発も予想されるなか、トラコスは既存の取引先への説明など難しい舵取りを迫られそうだ。
日本直販の解散後、トラコス専務で日本直販社長の森山雅勝氏は日本直販事業の担当からは外れる。また、日本直販が大阪市中央区に構えていた事務所は、トラコスの大阪本部のビル内に移転。日本直販の従業員については解散後も本人に辞職の意思がない限りトラコスで再雇用する。
トラコスは吸収合併の目的として同社が推進している「グローバルECワンストップサービス」で「日本直販」のブランドや販売チャネル、通販のノウハウが活かせると判断した。具体的にはトラコスがEC支援を行う顧客企業に対して国内の販売チャネルとして日本直販を活用するといったことを想定している。
もっとも、これまでの別法人という関係から、トラコス内の一事業となることで、コールセンターやEC支援などでトラコスに仕事を依頼している通販企業は懸念を抱くことになりかねない。つまり同社が顧客企業との取引で得たノウハウを「日本直販」事業に注入するのではないかという懸念だ。
これに対してトラコスでは「(日本直販が)別会社の時もそうだが、本体に吸収してからも基本的に情報はファイアーウォールを敷き、オペレーション業務も基本的には全然違う体制で行う」(広報)と説明。顧客企業から請け負っている業務のノウハウを「日本直販」事業に注入することはないと強調する。逆に「日本直販」事業のノウハウをトラコス本体に取り込むことにより、顧客企業に提供するサービスの効率化や付加価値につなげていくとしている。
また、トラコスの説明では、今回の吸収合併はトラコスが提供する「グローバルECワンストップサービス」強化の一環で、「日本直販」の事業基盤が同サービスの中に組み込まれるという。これまでASEAN地域ではECプラットフォームの運営企業と資本提携していたが、日本ではそうした売り場を自社で抱えておらず、その意味で「『日本直販』は(売り場として)十分に有効」(同)としている。
しかし、「日本直販」の販売チャネルに「グローバルECワンストップサービス」の顧客企業の商品を投入することになれば、品ぞろえの面などから「日本直販」という売り場の強化をトラコスが会社を挙げて後押ししていくということになる。結果、トラコスの既存顧客からすると「自社の売り場ばかり優遇せずに、自分たちのところも応援してほしい」という不満を持つことになりかねない。そうした指摘についてトラコスでは「結果として競合してしまうのはやむをえない」(同)とする。
今後、トラコスが自社に通販事業を抱えて発展させていくには、こうしたジレンマと向き合わざるを得ない。通販企業の反発も予想されるなか、トラコスは既存の取引先への説明など難しい舵取りを迫られそうだ。