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輸入青汁原料に「放射線照射」 輸入元に回収指示、9社に供給

2014年 4月17日 17:45

 市場が拡大する「青汁」の原料に放射線照射の問題が浮上した。消費者団体などで組織する照射食品反対連絡会が今年3月、グリーンバイオアクティブ(以下グ社)が輸入した大麦若葉エキス粉末に放射線が照射されているとして、厚生労働省に製品回収を要請したためだ。グ社ではすでに原料の回収に着手。だが、確認されているだけで原料の供給先は9社に上っており、最終製品を含め、さらに影響が広がりそうだ。

 連絡会ではグ社の自社製品に続き、同社の原料を使うエーエフシーが通販などで扱う「AFCこだわり青汁」の照射も確認したとする。

 厚労省は要請を受け、東京都、静岡市に調査を依頼。米国にも大使館筋を通じて違反原料の存在を伝えた。さらに、全国の検疫所に輸入食品の放射線照射に関する検査の強化を通知する事態に発展している。

 4月14日には、東京都のみなと保健所が食品衛生法違反の疑いが濃厚として、グ社に昨年2月以降輸入された原料約20トンの回収を指示する行政指導を行った。

 今回、問題となった原料は、米国カリフォルニア州に本社を置くLAXON(ラクソン)コーポレーションが製造したもの。連絡会や保健所など複数の関係者の話から、(1)栽培地がユタ州であること、(2)製品は「加熱処理による殺菌を行っていない」ことをうたい文句に使う場合があり、そのために起こる細菌増殖を照射で抑えている等の特徴が分かっている。

 ただ、現段階で回収の指示を受けたのは原料のみ。製品回収には及んでいない。みなと保健所では、原料の供給先として9社を確認。これら製造業者の所在地にある保健所(富山市、横浜市、大阪市、浜松市、中央区3件、千代田区2件)に情報提供を行っている。最終製品を販売する事業者を含め、さらにその対象は広がる可能性がある。

 すでに連絡会から指摘を受けるエーエフシーは、自主的に製品の販売を中止。照射の有無を確認する製品分析を行っており、結果を受けて製品回収などを検討する。

 ただ、製品を作ったグループのAFC―HDアムスライフサイエンスでは、「グ社の大麦若葉は安価な『レギュラー品』と『有機原料』があり、問題になったのはレギュラー品。うちは『有機原料』のみ扱い、有機原料には照射が認められていない。証明書もある。対象となるか分からないが保健所にも連絡して最善を尽くしている」としており、照射を確認した連絡会と見解の食い違いが生じている。同原料を使った他社へのOEM供給も行っていないという。

 みなと保健所でも、原料が2種類あることをグ社からの説明で確認しており、「照射は『レギュラー品』のみと報告を受けたので回収の指示はそちらだけ」とする。事実関係の確認が遅れているが、グ社は留守電による対応になっており、確認が取れない状況だ。

騒動の背景に消費者系議員?

 一方、騒動となった放射線照射だが、実のところ、どういった健康被害が想定されるのか。

 じゃがいもなど一部を除き国内で禁じられている食品への放射線照射だが、食品規格を定める国際機関であるコーデックスは10メガ電子ボルト以下の照射を認めており、今回の原料は5メガ電子ボルトの照射。「正直、健康被害は心配ない」(みなと保健所)とする。

 今年4月、連絡会が議員会館で行った集会は騒動が拡大する発端となったが、そこには消費者団体と関係の深い阿部知子議員が参加していたことが確認されている。

 背景に議員による働きかけがあったかは不明だが、健食は機能性表示の新制度に向けた検討を行う時期。「重要な時期にこのような問題が起きて大変迷惑」(大手通販事業者)との声もある。下手な対応で風評被害を招かないためにも、関係する事業者は事実関係を明らかにし、迅速に対応することが求められる。
 
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