韓国の食品や衣料品などの通販を手がける世亜企画は、韓国ファッションを扱う通販サイト「ANOKO(アノコ)」(画像)を強化している。
同社は、K―POPを通じて韓流ブームが起こった際、動画投稿サイトでも人気となったことから、歌だけでなくビジュアルにも注目が集まると判断。主力の食品通販に加え、2011年3月には流行を先取りしたファストファッションを手頃な価格で販売する「アノコ」を開設した。
現在は韓国の2ブランドと連携。毎日10点以上の商品をアップするが、そのうち韓国でも売れ筋の服など約3割は在庫を抱えて販売している。
ただ、同社は10年以上前からカタログ通販を手がけていることもあり、衣料品や雑貨、リビング用品、コスメなどを販売する隔月発刊の紙媒体「メイルメイル」でも在庫を持つ「アノコ」の商品を掲載することで、同サイト以外の顧客にも韓国衣料を提案できる体制を整備している。
通販サイトのデザインはシンプルかつ分かりやすさを重視し、検索しやすいサイト設計を心がけている。また、商品詳細ページではモデルのスナップ写真を数多く掲載するが、縦スクロールで1つの物語になるよう選別、配置しているという。
客単価向上やリピート化施策では、購入金額に応じてプレゼントリストから商品を選べるようにしている。1回の買い物が合計7000円以上、1万3000円以上、2万円以上、3万円以上でプレゼントの内容がレベルアップするほか、1万4000円以上の買い物をした場合は1万3000円以上でもらえるプレゼントか、7000円でもらえるプレゼントから2つ選ぶこともできる。
プレゼントはカート画面で選択してプレゼント自体をカートに追加する必要があるが、入れ忘れる会員が多いこともあって、新たに「おまかせ」項目を追加。カートに追加し忘れた顧客は自動的に「おまかせ」の対象となるようにした。
プレゼントの内容はワンピースやTシャツなど着回ししやすい商品が中心で、「おまかせ」を選んだ会員には購入商品に合うアイテムを女性スタッフが考えてプレゼントしており、ブロガーが「アノコ」のプレゼントを話題にするなど、競合サイトとの差別化要素にもなっているようだ。
また、夏と冬の年2回、期外品などを集めたアウトレットコーナーを開設。今冬も、「その名にふさわしいアウトレット」と題して展開した。スマホアプリのプッシュ通知やフェイスブックなどを通じて告知したところ、PV数や滞留時間が伸び、これに伴って新作の閲覧や購入にもつながった。例年はアパレルのセールシーズンに売り上げが伸び悩む傾向があるが、今年1月は前月と比べても好調さが目立ったという。
順調に売り上げを伸ばしている「アノコ」だが、在庫を持たない商品の配送リードタイムは課題のひとつ。主力の「韓国市場」で扱う商材を韓国から輸入している関係で輸送費は抑えられるものの、主力商材に合わせた配送スケジュールにより注文から商品到着までに平均1週間~10日かかるため、旬のスタイルに敏感な消費者が多い「アノコ」にとっては死活問題にもなり得る。
今後は、韓国に支店を設けて同国から日本の消費者に直送することも視野にあるが、実現には「アノコ」事業の一段の成長が不可欠という。
また、ウェブ広告だけでは集客に限界があることから、ファッション誌への広告出稿や都内に実店舗を構えるなどオフライン施策も検討しているが、まずは通販サイトの品ぞろえやサービス力などを充実させることを優先。とくに商品の品質を重視することで、韓流ブームが落ち着いても支持される通販サイトを目指す。