新年を迎え、通販業界に関連する各団体が都内で賀詞交歓会を開催した。それぞれの団体のトップが、昨年の業界動向を振り返りつつ、今年の展望や方向性、期待感などを述べた。
健食表示制度議論に意欲
JADMA
日本通信販売協会は1月10日、東京都千代田区のパレスホテル東京で新年の賀詞交歓会を開催した。当日は正会員企業や賛助会員企業のほか、経済産業省や消費者庁の幹部などが多数出席した。
冒頭あいさつで佐々木会長(=写真)は、昨年度の通販市場規模が前年度比6%増の5兆4100億円に拡大したことに触れ、スマートフォン・タブレットの利用増加などネット環境の変化が進んでいることや大手流通業をはじめとした新規参入が増えていることを指摘。
また、今年は政府の規制改革会議における健食商品の機能性表示の議論が本格化されることから「健食の有力な販売チャネルである通販業界を代表して意見を述べていきたい。消費者にとって分かりやすく、事業者側も利用しやすい表示制度となるよう業界の意見を集約していく」と意気込みを語った。そのほか、今年7月に中国で開催される日中韓の通販関連団体を主体としたシンポジウムへの会員企業の参加も広く呼びかけた。
続いて来賓あいさつでは、経済産業省の佐々木良審議官が登壇。日本生産性本部が実施した顧客満足度調査でベスト10に通販企業3社がランクインしたことを踏まえ、「今後もさらに通販業界が躍進することが考えられるが、これまで以上に消費者の声に耳を傾けて安心安全で便利な利用環境を整えてほしい」と要望した。
さらに消費者庁の川口康裕審議官も登壇し、来年度の重要課題と位置付ける機能性表示の議論について「安全性の確保を前提に、消費者の誤認を招かない自主的かつ合理的な商品選択に資する表示制度とすべく、閣議決定に沿った検討を進めていきたい」との見解を示した。
日本郵政と連携強化へ
JMSA
日本メーリングサービス協会は1月7日、都内の「ゆうぽうと」で新春賀詞交歓会を開催した。当日は会員企業や日本郵便の高橋亨社長や役員など、150人以上の業界関係者が参加した。
冒頭、竹尾会長は「昨年のメーリングサービス業界は一部に景気回復の兆しが見られたものの、依然として価格競争など厳しい状況が続いている」とし、その上で「一昨年度に(新規事業に関して)許認可制から届出制変わり経営の自由度が増した日本郵便とは連携をますます強化していきたい」とした。
続いて日本郵便の高橋社長が登壇。「今年は経済成長に頼るのではなく、当社が日本経済にどう貢献できるのかという発想も持つ。メーリング業界とともに精進して発展に努めていきたい」と語った。
同協会では昨年、通常セミナーや関連資格講座のほか、4年ぶりに海外研修を実施。さらにITに関するセミナーを新たに開催するなど会員企業のサポート施策を充実させた。
「消費者の動きに対応を」
CCAJ
日本コールセンター協会は1月8日、都内の「ホテルグランドパレス」で新春賀詞交歓会を開催。会員企業など約200人の業界関係者が参集した。
会の冒頭、挨拶に立った船津会長は「ここ数年、ICT分野の進歩や変化が激しい。象徴的なこととして昨年はスマートフォンの売り上げがパソコンを抜いた。消費者の皆様の行動形態が変わっていると改めて感じる」と述べた。
また、ビッグデータについて触れ、コールセンターに集まる多くのデータの分析が大事になってくると指摘した上で「消費者の方も以前に比べてはるかに多くのデータを持ち、消費者の動きも変わってきている。コールセンターサービスに従事する者としては、こうした消費者の動きをしっかりと見て、対応していくことが必要になる」と指摘した。
昨年はCCAJのコンタクトセンターセミナーにのべ340人近くが参加、地方開催は大阪で開かれ120人が参加した。また、若手の育成などを目的に米国への海外研修を実施し、14社・18人が参加している。
増税乗り越えて元気な経済に
日本FC協会
通販の決済や商品受け渡しの拠点となる有力コンビニチェーンなどが加盟する日本フランチャイズチェーン協会は1月8日、都内で賀詞交歓会を開催した。当日は、FC本部関係者や取引先のメーカー、ベンダーなど650人超が参集した。
山本会長(ハードオフコーポレーション会長兼社長)は「4月からの消費増税で色々あると思うが、それを乗り越えて元気な日本経済になるのではないか」とあいさつ。FCは日本に必要な産業になっているとし、「世の中のインフラとして健全に発展していけるよう尽力していきたい」と語った。
また、CVS(コンビニ)部会長を務める井阪隆一副会長(セブン―イレブン・ジャパン社長COO)は、高齢者などにとって買い物を取り巻く環境が厳しくなっているとした上で「やるべきことは加盟店とともに買い物に関する問題解決に着手することだと思っている」とした。