在京テレビキー局各社が手がけるテレビ通販事業の今上期の業績が出そろった。テレビ通販の売上規模で首位を争う日本テレビとグランマルシェはともに編成上の都合から深夜枠の放送時間などが大きく減るなどで、前年同期を下回り苦戦。一方でディノス・セシール、ロッピングライフは好調で2ケタ増と順調、テレビ東京ダイレクトも主力枠が順調で1割近い増収となり、好調に推移した。在京キー局各社が手掛ける今上期の状況について見ていく。
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日本テレビ放送網の今上期の通販売上高は前年同期比8・9%減の45億1200万円だった。通販枠が増えたBS枠や自社サイトおよび仮想モール経由でのネット販売の売り上げは堅調に伸びたが、主力の平日午前枠を含むレギュラー枠が苦戦。特に深夜枠は編成の都合から前年上期と比べ、約50時間程度、放送時間が大きく目減りしたことなどで売り上げが伸び悩んだ。夏場に実施した特番も前年上期に比べ売り上げは伸びず、全体では減収で推移した。
グランマルシェの上期の総売上高は同1・8%増の72億6800万円。このうち、ラジオ(約8億円)、紙媒体(約5・8億円)、テレビ通販に紐付かないDVDなどのネット販売(約5・1億円)、KDDIと協業して実施するモバイル通販事業などを含む、その他(約10・2億円)などを除くテレビ通販(「系列局との共同通販事業」の5億900万円と「テレビ通販」の38億5200万円の合計)売上高は同4・5%減の43億6100万円(本紙推定)だった。土曜昼枠を除き、主力の平日午前枠を含みレギュラー枠は総じて前年を下回った。前期下期から放送時間が変わった平日午後枠は視聴習慣の影響などから売り上げが落ち込み、番組構成の変更などを試みたが思うような成果は見られず苦戦。深夜枠も編成上の都合から前年上期に比べ、2割程度、放送時間が減り、売り上げにも影を落としたようだ。加えて7月に放映した特番の再放送が昨年のように昼帯ではなく、深夜帯となった影響などで、売上高は伸び悩んだ。
ディノス・セシールの今上期の総売上高は同0・5%増の542億8000万円。このうち、テレビ通販事業の売上高は同16・4%増の42億7000万円だった(2面に関連記事)。主力の平日午前枠が順調に売り上げを伸ばしたほか、前年同期は編成上の都合などで大きく減少した深夜枠などの放送時間が今上期は例年並みに戻ったことなども追い風となり、売上高は堅調に推移した。
ロッピングライフの上期の総売上高は同17・9%増の44億1700万円。このうち、番組グッズなどのネット販売売上高を含めた通販売上高は同15・1%増の40億5100万円だった。平日午前、深夜、早朝の各レギュラー枠が総じて売り上げを伸ばしたほか、昨年から放映しているBS朝日での主力枠の再放送枠で視聴習慣ができはじめ、同枠の売り上げが伸びていること。また、発行部数を増やすなどで強化している通販カタログの売り上げも増収に貢献した。
テレビ東京ダイレクトの上期総売上高は同9・2%増の33億9500万円。このうち、自社通販売上高は同27・3%増の19億3200万円。なお、通販枠の販売や管理などを行う通販提携事業売上高(同8・2%減の14億4500万円)を含む通販関連事業売上高は同9・2%増の33億7700万円だった。主力の平日午前枠が好調に推移。番組本編と通販コーナーの連動を強化して売れ筋の調理器具などを中心に売り上げを伸ばした。加えて早朝枠も堅調だったようで1割程度の増収となったようだ。
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テレビにおける広告市況の復調に加えて、各局間での視聴率争いが激化している中、いわゆる「通販枠」を確保することがどこも厳しい状況にあり、今上期の各社の通販事業は「売り場」である通販枠を確保できたか否かで明暗が分かれた側面もあるようだ。下期以降も放送枠が獲得しにくい状況は続くと見られ、各社では地上波の放送枠以外の、BSやインターネット、カタログなど新たな売り場への進出や本格展開に活路を見出しているようだ。
次回からは各局の上期の状況の詳細と下期の戦略や取り組みなどについて個別に見ていく。
(つづく)