昨秋、中期計画の見直しを決めたスクロール(本社・浜松市中区)。消費税引き上げ以降の市場縮小を見込み、今下期から14年3月期にかけて前倒しで販促費を投入。単品通販や、新たに発行するシニア向けカタログで新規顧客の獲得を目指すほか、基幹の衣料品カタログ「ラプティ」も刷新する。堀田守社長に各事業の戦略を聞いた。
中期計画を修正し、今期後半から来期にかけて販促費の集中投下を決めた。狙いは。
「足元の冬商戦は好調に推移しているが、消費増税が実施される2014年、15年は厳しい状況になるのは確実だ。そのため、2013年に集中的な投資をする。市場環境の良い時でないと投資の効果が低くなるからだ。中期計画に関しては、厳しい状況をきちんと認識した上で立てている。最も重要なのは、投資の効果が出てくる15年3月期になる」
新たに策定する中期計画の数字は。
「14年3月期に販促費を積極的に投入するため経常利益はトントンになるが、15年3月期には従来の額まで回復する見込みだ。14年は消費増税、円安、中国などの生産地での人件費増と三重苦が重くのしかかるのは確実だ。13年にチャレンジしたことのうち、いくつかが実を結べば数字はついてくるだろう。ネガティブなインパクトを乗り越えて、ビジネスを維持できるようにしたい」
具体的にはどの事業に販促費を投入するのか。
「まずは苦戦している衣料品事業に関しては、基幹カタログ『ラプティ』を5月に刷新。外部のディレクターを起用し、ブランドイメージを一新する。ディレクターの個性を前面に出し、『ラプティ』のブランドを構築したい。販促費も従来の2倍投入する予定で、背水の陣だと思っている」
「これまではカタログの部数を削減して販促費を減らし、ネット販売に置き換えることを進めてきたが、このままでは売り上げは縮小する一方だろう。総合通販の衣料品はお得感のある商品を揃えた『品揃え型』だが、これには限界がある。当社の顧客はネットで買い物はしているが、これはカタログを経由したものだ。今まではカタログの販促費を削ってネットに注力することが採算悪化に陥らないための策だと考えてきたが、これは根本的な解決にはなっていない」
品揃え型の限界とは。
「当社のブランドにはネットで集客する力はないからだ。一方で、化粧品のイノベートやブランド品販売のAXESというネット販売企業を買収したが、これらの会社は(他社ブランドの商品を扱っているため)商品そのものに価値があり、ネットのみでビジネスが成り立つ。総合通販会社はカタログありきでブランドを確立している。カタログを支えるのがネットという認識に立たないと駄目だということが分かった」
衣料品ブランドの強化に関しては、11年9月にネット販売限定の新ブランド「KOAST〓(コースト)」を立ちあげたが、12年8月にサイトを閉じている。
「これは失敗の典型例。いくらイベントやテレビで販促をしても根本的に集客力がない。言うなれば山の上に店を開いたようなもので、売上目標にはまったく達しなかった」
衣料品事業に関しては、あくまでカタログがメーンというスタンスとなるわけか。
「ネットのみで集客できて売れるブランドや商材と異なり、衣料品はカタログという一方的に顧客へメッセージが届けられる手法を使っている。イノベートやAXESには紙媒体は必要ないが、衣料品はカタログでブランドを確立し、集客を図る。来期はそれを実現するために販促費を投下する。ラプティの刷新と同時に、3月には50~60代のおしゃれなミセス層をターゲットにしたカタログ『ブリアージュ』を発刊する」(つづく)
中期計画を修正し、今期後半から来期にかけて販促費の集中投下を決めた。狙いは。
「足元の冬商戦は好調に推移しているが、消費増税が実施される2014年、15年は厳しい状況になるのは確実だ。そのため、2013年に集中的な投資をする。市場環境の良い時でないと投資の効果が低くなるからだ。中期計画に関しては、厳しい状況をきちんと認識した上で立てている。最も重要なのは、投資の効果が出てくる15年3月期になる」
新たに策定する中期計画の数字は。
「14年3月期に販促費を積極的に投入するため経常利益はトントンになるが、15年3月期には従来の額まで回復する見込みだ。14年は消費増税、円安、中国などの生産地での人件費増と三重苦が重くのしかかるのは確実だ。13年にチャレンジしたことのうち、いくつかが実を結べば数字はついてくるだろう。ネガティブなインパクトを乗り越えて、ビジネスを維持できるようにしたい」
具体的にはどの事業に販促費を投入するのか。
「まずは苦戦している衣料品事業に関しては、基幹カタログ『ラプティ』を5月に刷新。外部のディレクターを起用し、ブランドイメージを一新する。ディレクターの個性を前面に出し、『ラプティ』のブランドを構築したい。販促費も従来の2倍投入する予定で、背水の陣だと思っている」
「これまではカタログの部数を削減して販促費を減らし、ネット販売に置き換えることを進めてきたが、このままでは売り上げは縮小する一方だろう。総合通販の衣料品はお得感のある商品を揃えた『品揃え型』だが、これには限界がある。当社の顧客はネットで買い物はしているが、これはカタログを経由したものだ。今まではカタログの販促費を削ってネットに注力することが採算悪化に陥らないための策だと考えてきたが、これは根本的な解決にはなっていない」
品揃え型の限界とは。
「当社のブランドにはネットで集客する力はないからだ。一方で、化粧品のイノベートやブランド品販売のAXESというネット販売企業を買収したが、これらの会社は(他社ブランドの商品を扱っているため)商品そのものに価値があり、ネットのみでビジネスが成り立つ。総合通販会社はカタログありきでブランドを確立している。カタログを支えるのがネットという認識に立たないと駄目だということが分かった」
衣料品ブランドの強化に関しては、11年9月にネット販売限定の新ブランド「KOAST〓(コースト)」を立ちあげたが、12年8月にサイトを閉じている。
「これは失敗の典型例。いくらイベントやテレビで販促をしても根本的に集客力がない。言うなれば山の上に店を開いたようなもので、売上目標にはまったく達しなかった」
衣料品事業に関しては、あくまでカタログがメーンというスタンスとなるわけか。
「ネットのみで集客できて売れるブランドや商材と異なり、衣料品はカタログという一方的に顧客へメッセージが届けられる手法を使っている。イノベートやAXESには紙媒体は必要ないが、衣料品はカタログでブランドを確立し、集客を図る。来期はそれを実現するために販促費を投下する。ラプティの刷新と同時に、3月には50~60代のおしゃれなミセス層をターゲットにしたカタログ『ブリアージュ』を発刊する」(つづく)