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アスクル、BtoC通販でヤフーと提携、ヤフーが42%出資で筆頭株主に、年内にも新通販サイト

2012年 5月10日 10:47

オフィス用品のBtoB通販大手のアスクル(本社・東京都江東区、岩田彰一郎社長)はヤフー(本社・東京都港区、井上雅博社長)と組んでBtoC向けの新たな通販サイトを開設、年内にも稼動を始める。アスクルがすでに展開中のBtoC通販サイト「アスマル」とは別展開となる模様。ヤフーは5月20日付でアスクル株の4割超を取得し、アスクルの筆頭株主となり、両社で日用品を販売する通販サイトとそれを実現するという物流網を構築。2年以内に「ネット販売市場で圧倒的なナンバーワン」を目指す。
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アスクルとヤフーは資本業務提携で合意。アスクルが実施する第三者割当増資をヤフーが引き受け、329億9900万円でアスクル株の42・6%(議決権ベース)を取得し、プラスに変わり、アスクルの筆頭株主となる。ヤフーはアスクルに取締役を2人派遣する。
 
資本提携の狙いはBtoC通販分野の強化だという。すでにアスクルはネットプライスドットコムと組み、BtoC通販サイト「アスマル」を一昨年から展開しているが、当初の計画通りに事業は拡大せず苦戦。戦略の練り直しを進めているが、この「アスマル」とは別にヤフーと共同で新通販サイト「YASKUL(ヤスクル=仮称)」を開設する計画。

CIMG1975.JPG 「これから両社のスタッフを交えて話し合う」(ヤフーの宮坂CEO)としており、詳細は不明だが、「YASKUL」はメーカーと直取引で大量に仕入れ、安価に商品を調達できるアスクルの商品調達力を活用し、飲料や文具、日用雑貨など生活必需品を販売する模様。

 加えて、本業のBtoB通販ではアスクルの強みの1つとなっている物流力を活用し、「YASKUL」でも購入商品を翌日もしくは当日に届けることで競合サイトに対抗したい考え。ただ、現行のアスクルに物流拠点はあくまでBtoB用の仕組みであるため、BtoCでも即納ができるようヤフーから調達した資金など569億円を使い、物流網を整備。既存の物流拠点の設備の増強に加え、北海道や北陸など5カ所に物流拠点を新設。また、情報システムの更新など行う計画。それらの投資は5年間で行うが大半は最初の1年間で完了させる予定。詳細は不明だが、構築した物流網をヤフーの仮想モール「ヤフー!ショッピング」や競売サービス「ヤフー!オークション」の出店・出品者にも「開放する」(同)と言及しており、楽天やアマゾンなどが実施しているような自社モール出店者向けの物流代行事業にも乗り出す可能性がある模様。

 「年末商戦に間に合うように開始したい」(ヤフーの宮坂CEO)としており、年内までに「YASKUL」を開設し、ヤフーのポータルのトップページで露出し、膨大なヤフーユーザーを集客。2年以内に競合の楽天やアマゾンを押さえ、ネット販売サイトで首位を目指すとしている。


アスクル&ヤフーTOPと一問一答

ヤフーのトップで集客を

4月27日に都内で開催された記者会見に出席したアスクルとヤフー両社のトップに提携の理由と今後について聞いた。(本紙記者を含む報道陣との一問一答。一部、要約抜粋)
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Q:アスクルに資本参加する狙いは。

A:ヤフー宮坂CEO「やはり物流の部分は1つある。現在、Eコマースは当日や翌日に届き、送料無料というのがスタンダード化するなどお客様の期待値は上がっている。この部分は自分たちである程度、コントロールできないと今後、Eコマースをやっていると言えなくなるという危機感があった。今回、アスクルと縁があり、我々の方からお声がけし、プレゼンもさせて頂き、理想的な相互補完関係にあるということで、志を1つにでき、一緒にやらせて頂くことになった」

Q:アスクルはすでに「アスマル」という通販サイトを行っているが、これのテコ入れでなく、別の通販サイトを立ち上げる?

A:アスクル岩田社長「そうだ。『アスマル』は働く女性を支援するというミッションのもと、商材や情報を含め、徹底的に当該ターゲットを絞った通販事業だ。一方、ヤフーと立ち上げる『YASKUL(仮称)』はメガストアだ。モノを大量に安く早く買って頂けるストアというイメージで考えている。両方とも両立できると考えている」

A:宮坂「BtoCのサイトをスクラッチで1から作るぐらいの覚悟でやろうと思っている。勢いが大事だと思うため、年末商戦までにはサービスを1度は出したい。モノを流してみないとわからないことがたくさんあると思う。その後、トライアンドエラーを繰り返して作り込んでいきたい。新サイトのドメインなどは今から話し合うが、パソコンに関して言うと、たくさんのお客様の目に触れる『ヤフー』の一番良い場所のトップページからきちんと分かるようにして露出していきたい。あとはスマートフォンで簡単に購入できることなども重視していきたい」

Q:BtoBとBtoCの物流では大きく異なるが、BtoBの仕組みをBtoCの物流に活用できるのか。

A:岩田「注文頂いたモノをお届けするという構造はどちらも同じ。物流は物量が増えると固定費が下がり、また新拠点を増やし密度が高まると配送距離が短くなり配送コストも下がる。販売する商品も生活雑貨や文房具などかなり重なっている。両方でシナジーは充分出てくると思う。モール出店者などのロングテール商品を預かって配送する部分は、『YASKUL』の商品と性格が異なるが新しい物流技術を考え、うまくできるようチャレンジしていきたい」


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