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収納代行 審査基準業界統一化へ、年内に協議会設置

2009年12月11日 16:47

 通販商品代金などコンビニ店頭での料金収納代行で、サービス利用事業者の審査基準など業界統一ルール策定の動きが水面下で進んでいる。関係者によると、日本フランチャイズチェーン協会が11月下旬に一部の収納代行業者を集め、年内にコンビニと収納代行業者などによる協議会を設置し、年度内に方向性をまとめる意向を示したという。不正請求など消費者トラブルの未然防止を図り、収納代行等の決済サービスに金融規制を掛けようとする金融庁の動きをけん制狙いだが、さらに業界団体設置にまで発展する可能性もある。

 収納代行や代引き等の決済サービスへの規制議論は、昨年、金融審議会の「決済に関するワーキング・グループ」で浮上したもの。規制対応コストの負担問題などから、サービス提供事業者や通販事業者が反発し、結局、同WGでの議論をもとに金融庁が今通常国会で提出した「資金決済法」の対象から外れた。だが、金融庁側では、収納代行等が銀行法に抵触する可能性があるとの見方を崩しておらず、引き続き規制導入を検討する構えを見せていた。

 一方、経済産業省でも産業構造審議会の中に小委員会を設け収納代行等への規制問題を議論。各決済サービスは、商取引に関わる代理受領に当たり規制の必要はないとの報告をまとめていたが、今回の収納再考業界統一ルール策定の動きは、この流れを汲んだものだ。

 経産省では「資金決済法」の政令作りを進める金融庁と意見調整などに備え、小委員会の報告書取りまとめ後も、メンバーだった事業者や学者などを集め消費者保護の取り組みを協議する会合(非公開)を継続的に開催。関係者によると、不正請求等の防止策として、悪質な事業者やいかがわしい商品・サービスの販売事業者の排除策などが話し合われてきたという。

 この中で問題の1つとなったのが、有力収納代行業者の収納代行の仕組みを使い、自社で顧客企業を開拓しサービスを提供する、いわゆる2次収納代行業者の管理。2次以下の収納代行事業者の審査が甘く悪質な事業者が紛れ込んでいる可能性があり、実際に収納窓口となるコンビニに顧客からの問い合わせもあるもよう。現状、収納代行を手掛ける事業者は多岐にわたり、その正確な数や審査体制が把握できていないことから、業界標準となる統一ルールを作り、収納代行業者各段階で悪質事業者を排除できるようにするという案が浮上したようだ。

 この案については、11月下旬にコンビニが加盟する日本フランチャイズチェーン協会が有力収納代行数社を集め、概要を説明している。関係筋によると、当日は経産省の担当者も出席し、業界標準となる審査基準策定、払込用紙の見直し(いわゆるネットコンビニも含む)などの案が示されたが、収納代行業者側からは特に異論は出なかったという。

 一方、この案の実現には、収納代行業者の全体像を把握し一定の管理を行う必要もあるが、コンビニおよび経産省側から収納代行の業界団体設置をどう考えるかという内容の発言があり、「明言はしなかったが、業界団体を設置したいというニュアンスが汲み取れた」(関係筋)という。

 コンビニ店頭での収納代行は、ネット販売の拡大などを背景に利用が増え続けており、コンビニ大手四社合計の2008年度取り扱い状況は、収納件数で約7億9,400万件、収納金額で約6兆3,432億円となっている。消費者保護だけではなく、巨大市場を監督下に置きたいという行政側の思惑も垣間見える収納代行の制度整備の動き。コンビニ収納代行は通販の主要な決済手段として定着しているだけに、業界標準ルールの方向性が注目される。
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