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同社では通常、食品展示会にバイヤーが訪れて、気になるメーカーや生産者のブースを回るが、混みあうと良い商品を見落としたり、ゆっくり商談できないケースもあるため、今回、事業部として初めて商談用のブースを設置。生産者側が高島屋のブースで商材のプレゼンを行うという"逆商談会"を実施した。
事前に展示会の事務局を通じて投げかけたところ80件以上の申し込みがあり、その中から46社に絞り込んで、1社30分の時間内で商品提案を受けた。
商品の採用に当たっては、地場の食材を使用するなど「地域性が前面に出る商品や、おいしい理由を明確に伝えられる商品などを基準に選ぶ」(野口昌彦バイヤー)という。
今回はとくに、自社通販サイト「高島屋オンラインストア」で強化中のコンテンツ「厳選おいしいものお取り寄せ」や「いちおしスイーツ」「オンラインバール」で販売する商品を選定。梅酒をベースにしたカステラなど、バイヤーの心をつかんだ商品も多かったようだ。
高島屋の顧客層は、実店舗が40~50代、カタログ通販は60~70代が中心なのに対し、ネット販売では30~40代の女性が主力だ。このため、当該層に響く商材をメーンに開拓することで顧客満足度を高めるほか、次世代の店頭客、カタログ顧客としても囲い込みたい考え。
百貨店の定番催事とも言える物産展については、地方の小規模生産者は出店したくても販売員を置く負担などから見送るケースもあるという。通販であれば産地直送で販売するため店を空ける必要がなく、「なによりもネット販売の成長性に生産者も期待している」(野口バイヤー)とする。
自宅に居ながら簡単に全国の食品を購入できる「お取り寄せ」は消費者の支持を得ており、中でも出店者の多さなどから仮想モールの存在感が高まっている。高島屋では独自路線を追求。地域との結びつきが強い百貨店店頭との連携や食品展示会を有効活用し、バイヤーの目利きを武器に新たな逸品の開拓につなげる。