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「グレーゾーンでいながら国がお墨付きを与えている」。エコナを巡り、10月に行われた消費者委員会は、主婦連合会・佐野真理子委員のこの主張に引きずられた。後日、アサヒビールの池田弘一委員は「グレーゾーンなものは常に起こる可能性があり、これをどう判断するかは答えが出ない前提で議論しなければ返って不安を煽る」と述べたが、消費者目線を声高に叫ぶ委員を前に掻き消された。
一方、これに委員会の外から異論を述べたのがNACS。委員会に向けた提言で「『食品にリスクがある』ことは周知の事実で科学的知見に基づき健康に影響がない程度にリスク管理することが重要」と主張した。事業者からして至極全うなものであり、委員会に「消費者が正しい知識を習得する機会を失う」「消費者の過剰反応がみられ、事業者との健全な関係構築に問題がある」「リスクの程度が十分議論されないまま販売停止の主張が広まることに不安を感じる」と苦言を呈した。
そもそも主婦連の委員が過剰反応した裏には、同協会が長年に渡りエコナを目の敵にしてきたことがありそうだ。2005年、安全性が取沙汰されたエコナの販売停止を求める要望を厚生労働省に提出。今年に入り、改めてエコナに発がん性物質に変わる可能性のある成分があることが指摘されたためだ。
だが思い出してほしい。アガリクスの発がん性促進作用が取沙汰された06年、1商品に見られた"可能性"が、市場の崩壊をもたらし、安全性が確認されたのちも市場は回復しなかった。食品が常に"グレーゾーン"に位置することを消費者教育で浸透させ、消費者の「自立」を図るのが消費者庁や消費者委員会に課された役割でもある。"クロかシロか"を追求する過度な消費者保護は消費者の判断能力を奪い、利益さえ阻害することになりかねない。まもなく行われる「『トクホ』を含めた健康食品」の表示制度見直し議論でも、消費者委員会はその点を認識すべきだ。