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「支払いや返品の表示に十分な時間を割き、大きく見やすい文字にしてほしい」「購入後のメンテナンス費用等も具体的に説明してほしい」――。テレビ通販番組に関するこうした要望は、7月29日に公正取引委員会が発表した「テレビ通販の表示チェック体制に関する実態報告書」の中で、消費者モニターの意見として上げられていたものだ。この報告書は、消費生活センターに寄せられるテレビ通販の相談増加を背景に不当表示の未然防止に向けた取り組みを整理したもの。だがその内容は消費者モニターの声を根拠に番組の〝落ち度〟をいたずらに際立たせたものといえる。本来、こうした要望は注文の際の問い合わせで解決されるものではないだろうか。
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調査は今年1月―4月にかけて実施したヒアリング(放送事業者、通販事業者、番組制作事業者、広告代理店など41事業者、5事業者団体)と消費者モニターへのアンケート調査をもとに作成。不当表示を防止するためのチェック体制について考え方を示している。
公取委では過去の景品表示法違反事例から不当表示の要因に①販売事業者が根拠資料を製造業者に要求していない、②根拠資料の合理性を確認していない、③サンプル品のみの品質検査で販売商品の検査を怠った――ことを挙げ、チェック体制を持ちながら実効性を確保できていないと指摘。背景に、長年、取引関係にある事業者間の馴れ合いによる考査過程の省略や、チェック体制の周知徹底が進まないことがあるとした。
ヒアリングによる事業者の表示適正化に向けた取り組みには「表示チェックの程度や方法に大きな差異がある」とし、留意事項として①数量限定や受付時間の限定が強調されると商品内容や取引条件に注意を払えない、②視聴性や話題性に偏った番組制作では情報を伝えにくく、誤認が生じやすい、③不当表示は特定の用語の使用ではなく、商品内容や取引条件に関する消費者の認識と実態のかい離を踏まえて判断する必要がある――などの考えを示した。
また、事業者団体の取り組みの中で、日本通信販売協会には、カタログなど表示上の問題に関する検討委員会の開催をテレビ通販番組の表示まで拡大することが望ましいとした。
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今調査でチェック体制の不備ありきの論拠は、テレビ通販を利用しない消費者モニターの意見を背景としている。「メリットばかり繰り返し、効果の根拠が分からない」「効果のみ強調するため、材質や使用方法など商品内容が分からない」などなど。番組に対する批判は枚挙に暇がない。
だが、こうした意見は問い合わせを受ける事業者の消費者対応など一連の流れを含め判断されるべきもので、番組と視聴者の印象のみで結論づけられるものではない。事業者はこれら要望に応えうる相談窓口やコールセンターを有している場合も少なくない。
とはいえ、字体がつぶれるほどの大きさで表示を行う事業者が存在するのも事実。今調査について「年内にも創設される消費者庁を見据えた規制強化宣言」(テレビ通販支援を行う広告代理店)との見方もあり、事業者の適正表示に向けた取り組み強化は待ったなしの状況といえそうだ。