経済産業省が行った調査では、中国消費者の日本の越境EC利用が拡大傾向にあり、今後の利用についても意欲的であることが浮き彫りとなった。これは日本の通販・ネット販売事業者にとっても明るい材料と言えるが、越境取引には、その国独特の商習慣などがある。中国消費者の越境ECの購買行動についてみてみよう。
日本ではあまり見られない海外消費者の購買行動のひとつと言えるのは価格交渉。越境ECでも同様の傾向が見られ、今回の調査では、中国消費者の77・6%、米国消費者も54・2%が価格交渉をしたことがあると回答。日本消費者の10・0%を大きく上回る水準で、海外消費者にとって価格交渉は当たり前ということがうかがえる。
また、中国消費者の価格交渉をしたことがあるという回答は、米国消費者よりも20ポイント以上高い。これについては、現地の通販サイトでチャットによる顧客の問い合わせ対応が定着していることも一因となっているもようで、こうした問い合わせ機能を活用しているという中国消費者の回答は6割以上。越境EC関連の問い合わせ内容としては、「商品の規格/仕様」や「機能」、「使用方法」など、実際の商品利用に関するものが多い。このほかに、商品の真贋、アフターサービスに関する問い合わせ(ともに4割以上)が日米より多いのが特徴だ。
また、決済手段で多く使われているのは、「クレジットカード」(50・7%)、アリペイ、ペイパルなどの「第三者支払サービス」(46・4%)、「代引き」(46・1%)の順。日米と比べ第三者支払サービスの利用が多いのが特徴で、商品購入後の行動についてみると9割以上がレビューサイトやくちコミサイトなどを通じ購入商品の評価情報を発信している。中国消費者は、商品認知などでレビューサイトやくちコミサイトを重視する傾向が強く、いかに高い商品評価を投稿してもらえるかがカギと言えそうだ。
日本の通販・ネット販売事業者としては、商品の購入に伴うトラブルとその対応が気になるが、越境ECの利用で何らかのトラブルの経験があるとする中国消費者は78・4%に達した。
内容としては、「商品配送・サービス提供の遅れ」(29・6%)、「梱包の変形・破損」(23・9%)、「商品が届かなかった・サービスを受けられなかった」(20・9%)など、商品配送に関するものが多い。これは現地の物流インフラの整備状況や配送品質などに起因しているようだ。こうしたトラブルに付随して、商品の返品をしたことがあると回答した中国消費者は53・7%と、日本消費者の2倍近い水準。日本の通販・ネット販売事業者としては、関税還付を伴う返品処理などのスキームをしっかりと構築することが必要と言えそうだ。
今回の調査では、中国消費者が越境ECの利用に前向きな傾向が見られたが、一方で越境ECに消極的、あるいは利用したことがないという層もいる。その理由についてみると、「サイトで表示されている言語が不得手/わからない」が61・7%、「配送料が負担」45・1%、関税が負担」39・5%の順で多い。越境ECの利用で不安に感じる点でもほぼ同じだが、日米の消費者が事業者や商品の信頼性への不安を理由とするのが多いのに対し、中国消費者は送料や関税などの付帯コストを問題視する傾向が強いと言える。
経産省では2020年の日本の中国向け越境EC市場規模について最大1兆2600億円になると予測。これは越境ECに消極的な層がユーザーに移行することを想定したものだ。その意味では楽観的な予測と言えるが、今後の市場拡大に向けては、国同士の協議による制度整備などを含め、中国消費者が抱える越境ECへの不安を払拭することがカギと言えそうだ。
日本ではあまり見られない海外消費者の購買行動のひとつと言えるのは価格交渉。越境ECでも同様の傾向が見られ、今回の調査では、中国消費者の77・6%、米国消費者も54・2%が価格交渉をしたことがあると回答。日本消費者の10・0%を大きく上回る水準で、海外消費者にとって価格交渉は当たり前ということがうかがえる。
また、中国消費者の価格交渉をしたことがあるという回答は、米国消費者よりも20ポイント以上高い。これについては、現地の通販サイトでチャットによる顧客の問い合わせ対応が定着していることも一因となっているもようで、こうした問い合わせ機能を活用しているという中国消費者の回答は6割以上。越境EC関連の問い合わせ内容としては、「商品の規格/仕様」や「機能」、「使用方法」など、実際の商品利用に関するものが多い。このほかに、商品の真贋、アフターサービスに関する問い合わせ(ともに4割以上)が日米より多いのが特徴だ。
また、決済手段で多く使われているのは、「クレジットカード」(50・7%)、アリペイ、ペイパルなどの「第三者支払サービス」(46・4%)、「代引き」(46・1%)の順。日米と比べ第三者支払サービスの利用が多いのが特徴で、商品購入後の行動についてみると9割以上がレビューサイトやくちコミサイトなどを通じ購入商品の評価情報を発信している。中国消費者は、商品認知などでレビューサイトやくちコミサイトを重視する傾向が強く、いかに高い商品評価を投稿してもらえるかがカギと言えそうだ。
日本の通販・ネット販売事業者としては、商品の購入に伴うトラブルとその対応が気になるが、越境ECの利用で何らかのトラブルの経験があるとする中国消費者は78・4%に達した。
内容としては、「商品配送・サービス提供の遅れ」(29・6%)、「梱包の変形・破損」(23・9%)、「商品が届かなかった・サービスを受けられなかった」(20・9%)など、商品配送に関するものが多い。これは現地の物流インフラの整備状況や配送品質などに起因しているようだ。こうしたトラブルに付随して、商品の返品をしたことがあると回答した中国消費者は53・7%と、日本消費者の2倍近い水準。日本の通販・ネット販売事業者としては、関税還付を伴う返品処理などのスキームをしっかりと構築することが必要と言えそうだ。
今回の調査では、中国消費者が越境ECの利用に前向きな傾向が見られたが、一方で越境ECに消極的、あるいは利用したことがないという層もいる。その理由についてみると、「サイトで表示されている言語が不得手/わからない」が61・7%、「配送料が負担」45・1%、関税が負担」39・5%の順で多い。越境ECの利用で不安に感じる点でもほぼ同じだが、日米の消費者が事業者や商品の信頼性への不安を理由とするのが多いのに対し、中国消費者は送料や関税などの付帯コストを問題視する傾向が強いと言える。
経産省では2020年の日本の中国向け越境EC市場規模について最大1兆2600億円になると予測。これは越境ECに消極的な層がユーザーに移行することを想定したものだ。その意味では楽観的な予測と言えるが、今後の市場拡大に向けては、国同士の協議による制度整備などを含め、中国消費者が抱える越境ECへの不安を払拭することがカギと言えそうだ。