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ヤフーは実効ある不良店対策を考えよ

2016年 3月17日 17:58

 ヤフーが運営する仮想モール「ヤフーショッピング」が快進撃を続けている。「eコマース革命」を称して、無料で出店できるようにした2013年のビジネスモデルの変更以降、順調に出店者と取扱商品数を伸ばし、現状ではそれぞれ約38万店、約2億点にまで達し、店舗数・商品数でみれば国内最大規模の仮想モールとなった。また、流通総額も出店数・店舗数の拡大や多額の広告宣伝費の投入によるポイントのバラマキやテレビCMを連動させた大規模キャンペーンの効果などが奏功。子会社のアスクルの通販サイトとの合計の流通総額は直近四半期(10~12月)ベースで前年同期比約5割増と好調に推移している。今後も効果が実証されたポイント増量や大型販促キャンペーンなどを軸に攻めの戦略を継続し、さらなる拡大を進めていく模様だ。
 
 順調なヤフーショッピングだが、その根底を揺るがしかねない問題も顕在化しつつある。不良店舗の跋扈だ。商品の出荷体制や顧客対応が非常に悪い店舗が散見されるほか、たちの悪いケースでは消費者から商品の購入代金をだまし取る詐欺行為におよぶ輩もいる。直近ではすでにヤフーショッピングから退店処分を受けているが、今年1月まで出店していた「ヒロタストアー」が相場よりも安価な値付けでユーザーを集め、代金をだまし取る詐欺行為を行っていたことが分かっている。

 無論、ヤフーでも悪質な詐欺行為を含めた不良店を野放しにしているわけでない。運営する日本最大規模のネット競売サービス「ヤフオク!」などで培った不正検知の技術やノウハウなどを応用してモール内パトロールなどを強化している。詐欺行為を行うような悪質店舗も早期に発見し、退店処分を行うなど一定の対策は行っている。特に今年からはユーザーからの評価が低い店舗の商品について、モール内の商品検索の検索結果順位を大きく下げたり、退店基準を現行よりも厳しいものにしていくことで、不良店対策に本腰を入れていくようだ。
 
 ヤフーが本腰を入れて取り組むという不良店対策に文句をつけるつもりはないが、本来であれば「怪しげな店舗は始めから出店させない」こと、つまり出店審査の強化がまずすべきことではないか。実際問題として、他の大手仮想モールの出店を断られたり、退店処分を受けた事業者がヤフーショッピングに出店しているという事実がある。これら店舗はヤフーショッピングでも不良店となる可能性は高い。

 もちろん、ヤフーショッピングは出店料無料で店を増やし、店舗からの広告収入を稼ぐモデルである。そのため、出店のハードルを上げることは成長の源泉を摘むことになるわけで、簡単なことではないことは分かる。が、有事の際の迅速な対処も当然、大切だが、日々の大小の有事を早期に潰していくには限界があるはずで入り口でも一定のハードルは必要なのではないか。入り口は緩いまま、事後対応を強化するという対策が確実に機能するのであれば言うことはないが、そうでなかった場合、モール全体の、ひいてはEC市場全体の信用問題につながってくる可能性もある。ヤフーの対策の実効性を注視していきたい。

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