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大手仮想モールの出荷代行で楽天、RSLからの出荷増 ヤマトのヤフー向けは終了

2025年 2月20日 12:00

 楽天グループ(東京都世田谷区)の物流代行サービス「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」の利用店舗数が拡大している。配送品質が高い商品を優遇する仕組みとして、基準を満たした商品にラベルを付与する仕組み「最強翌日配送」が楽天市場に導入されたことも後押しし、利用店舗数は全体の約5分の1に。翌日配達対応を拡大するなど、競争力を高めるためのサービス改善も打ち出している。一方で、「ヤフーショッピング」向けの出荷代行サービスは2月で終了する。



 
 楽天スーパーロジスティクス(RSL)の利用店舗は1万1000店舗を超えており、全出店店舗の約5分の1に。ただ、荷物の一部だけを預けている店舗のいることから、出荷量については、楽天市場全体の注文量に対して1割強に相当するという。利用店舗の成長という点でも、RSLを使っていない店舗よりも、使っている店舗は成長率が9・2㌽高いというデータも出ているという。

 利用店舗の拡大には「最強翌日配送」導入の影響もあるようだ。コマース&マーケティングカンパニーロジスティクス事業ディレクターの佐藤敏春氏は「2023年下半期から申し込みがかなり増えてきている。ただ、その後も勢いは変わらず、問い合わせ数も申し込み数も変わらず増加している」と話す。

 同社では、AIを活用した物流の効率化を推進。出荷数予測のほか、在庫を庫内でどういう配置をすれば出荷しやすいのか、さらには梱包資材や出荷予測に基づいた作業人員の配置、拠点となる郵便局に配送する車両数についても最適化を進めている。加えて、AIを使った在庫の分散化も行う。RSLの拠点は現在全国6カ所だが、現在は九州のユーザーに商品を届ける場合、関東や関西の拠点から、在庫を福岡の拠点に横持ちし、そこから出荷している。今年からは、東日本宛ての荷物は関東の拠点から、西日本宛ての荷物は関西の拠点から、九州宛の荷物は福岡の拠点から、という形で在庫を分散し、より近い拠点からユーザーへと届ける仕組みを目指すとする。

 一方、6月から物価高や「2024年問題」による人件費上昇の影響を受け、利用料値上げを実施。配送料を10%前後、出荷作業料を4%前後値上げするほか、他サイト出荷料金を導入する。佐藤ディレクターは「約5年前に設定した料金を維持すべく、コスト削減や抑制を進めてきたが、安定的にサービスを提供し続けられるように料金を改定する」と説明する。

 また、他サイト出荷料金については、「AIによる注文量予測を用いた在庫の拠点振り分けを進めているが、他モールのセールイベントを織り込むのが難しい。物流の効率性を考えて、対応料をわずかながらもらうことにした」(佐藤ディレクター)という。

 同社では「値上げ後も(アマゾンのFBAなどと比較した際に)競争力の高い料金は維持できていると思う」(同)とするが、一部店舗からは「プライムマークがあれば翌日配送できるのが強みのFBAに比べると、RSLはその点ではやや見劣りするので、値上げは競争力低下につながるのでは」(ある大手出店者)との声も出ている。

 楽天でもサービスの改善は進める方針。「出荷リードタイムを早めてほしい」という利用店舗の声に応えるほか、さらに翌日配送対応に関して、現在は午後3時までの注文に対応しているが、午後11時59分までの注文でも翌日配送できるよう、システムとオペレーションの改善を進める。「楽天スーパーセール」や「お買い物マラソン」といった楽天市場の大型セールは、午後8時にスタートするため、開始後2時間だけ使えるクーポンを配布する店舗も少なくない。この期間に注文した商品が翌日に届くとなれば、店舗のみならず楽天市場自体の競争力強化にもつながりそうだ。

 同社では「RSLを楽天市場をけん引できるサービスにしていきたい」(同)としており、楽天市場とのシステム連携・データ連携を進めるなど、楽天市場との連動性を高めることで、RSLの利用店舗を拡大していく。

 
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