ジャパネットたかたが食品に特化した独自ブランド「たべる。ジャパネット」を立ち上げた。得意とする目利き力、販売力を食品でも活かし、厳選した食品を集中的に販売することで質の高い商品を価格を抑えて販売。顧客からの評価が一定を下回った場合には評価を下げる原因を改善する取り組みの実施や当該商品の販売をやめるなどして質の高い食品のみを販売し差別化を図る。また顧客負担の送料を全商品一律として購入のハードルを下げる。媒体製作のほか、バイヤー、コールセンターも食品に特化した体制とし専門性、訴求力を高めて規模拡大を進める。食品強化のほか、同ブランドのもとで販売していくウォーターサーバーや健康食品といった定期販売品の拡販にもつなげていきたい考えのようだ。
「今が旬のシャインマスカット。もぎたてをお届けします」――。ジャパネットたかたは9月15日、独自の食品通販ブランドとして「たべる。ジャパネット」を立ち上げた。従来までは「ジャパネットたかた」のもとで食品についても家電など他の商品群と一緒に販売してきたが、食品に特化したブランドとして切り分けた格好だ。単独ブランド化に際し、商品の拡充やサービスの強化を図るため、バイヤー、制作スタッフ、コールセンターも専任チームに分け、拡販を進める。
同社ではコロナ禍で販路を失った全国の生産者を支援する取り組み「生産者応援プロジェクト」を実施した2020年から食品の取り扱いを増やし、それを機に注力しており、現状では全国各地のブランド牛や農水産品などの頒布会などを軸に展開、一定の顧客を獲得している。また、売れ筋の独自おせち「特大和洋おせち2段重」は東京商工リサーチ調べによる「2023年のお正月用おせち料理の商品別販売数量・金額」によると昨年、単品ベースで販売数、売上金額で日本一となるなど好調で、2020年ころと比較すると食品全体の売上高は10倍以上に急伸しており、強化することでさらに伸びしろが見込めること。また、ジャパネットたかたが販売する商品群がこれまでの家電中心から食品の頒布会や水、旅行と取り扱うものが増えてきた中で、すべてを「ジャパネットの通販」として展開していくのは顧客とってもわかりにくく、同じ見せ方での展開ではマンネリ化するおそれもあることなどから、今期に入って商品カテゴリごとに別ブランドに分け、媒体やバイヤー、コールセンターの運用なども別々に展開していく方針を打ち出していたことから、食品を「たべる。ジャパネット」として、まずは始動することにしたようだ。
「たべる。ジャパネット」では日本各地の生産者と直接、または全国農協食品ら食品流通会社から食品専用のバイヤーが「一定程度のランクで、かつ当該ランクとしては質の高いもの」といったある程度の量を確保できることなどを前提に厳選した食品を集中的に仕入れる。一定量をまとめて仕入れることで顧客が購入しやすい価格に抑えて販売する。取り扱い開始後もウェブサイトやコールセンターに寄せられる購入後の顧客からの評価をバイヤーと商品改善チームが目を通し、サイトなどに表示される顧客からの感想と星による評価「お客様レビュー」が5点満点中4・1点以下となった商品はすぐに見直しを行い、生産方法、収穫方法の改善、配送時の梱包状態、同封の調理説明書のわかりやすさや調理手順が適切かどうかなどチェックやヒアリングを行うなどして問題点を改善、場合によっては商品の入れ替えを行う。「家電と同様、様々な商品を販売するのではなく、当社が自信を持ってこれだと提案できるものをだけを価格はもちろん、納期や配送状態にもこだわって販売することで競合の多い食品通販でも勝負していく」と食品事業を統括する専門執行役員の塚本慎太郎氏は話す。
また、買いやすさという観点から、都内および埼玉県内に借り受けた食品専用の物流拠点になるべく食品をまとめて発送する形としたり、西日本地域の配送拠点として福岡に新たな食品専用物流拠点を年内にも稼働させるなどして物流コストを抑制して、顧客から徴収する配送料を抑え、常温品は税込330円、冷蔵・冷凍品では同660円と商品のサイズや届け先に関わらず、一律送料とし、さらに1万円以上の購入者には送料の徴収は行わないようにし、顧客負担を軽減した。
販売面では例えばテレビ通販ではこれまでのようにジャパネットたかたの通販番組の中で紹介する様々な商材の中の1つとして食品を紹介していく形ではなく、番組内で食品を紹介する場合は「たべる。ジャパネット」というブランドを前面に打ち出し、番組内で商品を紹介、訴求するMC(司会者)陣も塚本慎太郎氏ら食品の専門MCが担当する形で完全に他の商材とは別個のものとして展開していく。
通販サイトも家電などを販売する既存の通販サイトとは別に食品専用の通販サイトを9月15日に新設。テレビ通販で販売した商品のほか、販売数が限られている旬の食品やバイヤーいち押しの商品を日替わりで紹介するWEB限定販売の食品なども取り扱っていく。さらに11月をめどに現在、食品の頒布会加入者向けのアプリをリニューアルする形で「たべる。ジャパネット」の専用アプリの配信も行う予定。購入などに応じて割引やプレゼントなどを行う特典を展開していく予定で拡販につなげていく考え。また、通販カタログも11月下旬をめどに食品購入実績のある顧客に「たべる。ジャパネット」専用の媒体を創刊予定という。
独自ブランドの始動で拡販を強化するとともにこれまで主体としていた1万円以上の商品群だけでなく、1000円台の安価な商品の品ぞろえや果物などの青果、調味料などの取り扱いも増やして常時販売商品数を現状の130点程度から年内にも300点程度まで拡大する。また、食品カテゴリとして「たべる。ジャパネット」のもとで今後、展開していくグループのジャパネットウォーターが山梨県内の自社工場で製造するミネラルウォーター「ジャパネットウォーター富士山の天然水」や今年5月から発売して拡販を進める同社初の自社開発の機能性表示食品「にんにくサフランW」も食品の展開強化に合わせて食品購入実績客にクロスセルし、拡販をさらに進めていきたい考えで「初年度は現状の売上高の2倍程度を、その後も年率成長率2割増程度を目指す」(食品事業の責任者の勝野友介ゼネラルマネージャー)としており、同社の主力商材である家電のような売り上げの柱に育てていきたい考えだ。
本当にお薦めできるものだけ販売、売上規模は「倍にしたい」
<塚本・勝野氏に聞く食品通販の現状と今後>
食品の通販強化のため、「たべる。ジャパネット」を始動させたジャパネットたかた。テレビ通販では食品専用MCを務めるほか、食品事業を管轄する塚本慎太郎専門執行役員(=
写真右)と食品事業を統括する勝野友介ゼネラルマネージャー(=
写真左)に食品事業の現状と今後について聞いた。(9月13日開催の記者会見での報道陣および本紙記者との一問一答を抜粋、要約して掲載)
◇
――ジャパネットたかたが行う食品通販の強みは。
塚本「家電ではたくさんの商品を紹介するのではなく、当社が厳選して本当にお薦めできるものに絞って販売しているが食品でも同じ。質が高く本当においしいものを絞り込んで、様々な食品の中から選ぶよりも『ジャパネットが選んだ”これ”を食べてみませんか』とお客様に自信を持って提案していく」
――スタート時点では冷蔵・冷凍品が中心だが青果の扱いも増やすのか。
塚本「これから青果も積極的にやっていく。9月15日にはテレビ通販で山梨から中継を結んで、シャインマスカットを紹介するが、品質と数量をある程度、担保した上で鮮度を保った青果を今後もお届けしていきたい」
――質を追求すると量を確保することが難しくなる。質と仕入れ量とのバランスは。
塚本「全国のお客様においしいものをお届けしたいので、最高品質のもというよりはある程度の数量の担保ができるものの中で、そのランクのものであれば、質が高く、少しでも抑えた価格で提供していきたい」
――食品の販売を強化していくための訴求の工夫は。
塚本「例えば家電であればある機能があって、それを生活の中でどう活かして頂くかという提案を行ってきたが食品は一人ひとり皆様、味の感じ方は異なる。例えばマスカットだったら、人によって甘い、酸っぱい、おいしいと感じ方はそれぞれだ。一番はお客様の声だったり、それぞれがどう感じられたかをできるだけ幅広く伝えていきたい。また、生産者の想いや努力も一緒に伝えていきたい」
――食品の強化で顧客の購入サイクルに変化は出てくるか。
塚本「例えば、冷蔵庫を購入したお客様が来年も冷蔵庫を買おうということはない。つまり、家電における購入サイクルは長いが、食品はこの前、マスカット買ったらおいしかったから、来週は『なし』を買ってみよう、と繰り返し購入頂けるジャンルでサイクルとしては家電とは全く違う。(11月に専用)アプリもリリースする予定だが反復買いやまとめ買いがしやすく、購入頻度を増やして頂けるような特典やサービスを提供する予定だ」
――今後の商品拡充の方向性は。
勝野「『たべる。』の立ち上げるにあたって60点前後だった常時販売商品数をバイヤーを増やして現状、130~140点まで増やした。お客様にジャパネットの食品を生活に取り入れて頂きたく、これまでは1万円くらいの価格帯のものが多かったが1000円台の食品も増やした。また、今は冷凍食品が多いが、常温品の調味料などにも広げていく。さらに商品の改善を重ね、入れ替えをしながら年内をめどに常時販売商品数を300点くらいまでしていきたい」
――「たべる。ジャパネット」始動による食品事業の売り上げ予想は。
勝野「具体的な売り上げは言えないが、食品に注力し始めた2020年ころから比べるとここ3年ほどで現在の売上高は10倍と当時では考えられないくらいの売上規模になっている。(「たべる。ジャパネット」の始動で)さらに倍にしたい。健康食品も取り組み始めたばかりでさらに広げていきたいと考えており、その後も年々1・2倍程度は拡大していきたい」
「今が旬のシャインマスカット。もぎたてをお届けします」――。ジャパネットたかたは9月15日、独自の食品通販ブランドとして「たべる。ジャパネット」を立ち上げた。従来までは「ジャパネットたかた」のもとで食品についても家電など他の商品群と一緒に販売してきたが、食品に特化したブランドとして切り分けた格好だ。単独ブランド化に際し、商品の拡充やサービスの強化を図るため、バイヤー、制作スタッフ、コールセンターも専任チームに分け、拡販を進める。
同社ではコロナ禍で販路を失った全国の生産者を支援する取り組み「生産者応援プロジェクト」を実施した2020年から食品の取り扱いを増やし、それを機に注力しており、現状では全国各地のブランド牛や農水産品などの頒布会などを軸に展開、一定の顧客を獲得している。また、売れ筋の独自おせち「特大和洋おせち2段重」は東京商工リサーチ調べによる「2023年のお正月用おせち料理の商品別販売数量・金額」によると昨年、単品ベースで販売数、売上金額で日本一となるなど好調で、2020年ころと比較すると食品全体の売上高は10倍以上に急伸しており、強化することでさらに伸びしろが見込めること。また、ジャパネットたかたが販売する商品群がこれまでの家電中心から食品の頒布会や水、旅行と取り扱うものが増えてきた中で、すべてを「ジャパネットの通販」として展開していくのは顧客とってもわかりにくく、同じ見せ方での展開ではマンネリ化するおそれもあることなどから、今期に入って商品カテゴリごとに別ブランドに分け、媒体やバイヤー、コールセンターの運用なども別々に展開していく方針を打ち出していたことから、食品を「たべる。ジャパネット」として、まずは始動することにしたようだ。
「たべる。ジャパネット」では日本各地の生産者と直接、または全国農協食品ら食品流通会社から食品専用のバイヤーが「一定程度のランクで、かつ当該ランクとしては質の高いもの」といったある程度の量を確保できることなどを前提に厳選した食品を集中的に仕入れる。一定量をまとめて仕入れることで顧客が購入しやすい価格に抑えて販売する。取り扱い開始後もウェブサイトやコールセンターに寄せられる購入後の顧客からの評価をバイヤーと商品改善チームが目を通し、サイトなどに表示される顧客からの感想と星による評価「お客様レビュー」が5点満点中4・1点以下となった商品はすぐに見直しを行い、生産方法、収穫方法の改善、配送時の梱包状態、同封の調理説明書のわかりやすさや調理手順が適切かどうかなどチェックやヒアリングを行うなどして問題点を改善、場合によっては商品の入れ替えを行う。「家電と同様、様々な商品を販売するのではなく、当社が自信を持ってこれだと提案できるものをだけを価格はもちろん、納期や配送状態にもこだわって販売することで競合の多い食品通販でも勝負していく」と食品事業を統括する専門執行役員の塚本慎太郎氏は話す。
また、買いやすさという観点から、都内および埼玉県内に借り受けた食品専用の物流拠点になるべく食品をまとめて発送する形としたり、西日本地域の配送拠点として福岡に新たな食品専用物流拠点を年内にも稼働させるなどして物流コストを抑制して、顧客から徴収する配送料を抑え、常温品は税込330円、冷蔵・冷凍品では同660円と商品のサイズや届け先に関わらず、一律送料とし、さらに1万円以上の購入者には送料の徴収は行わないようにし、顧客負担を軽減した。
販売面では例えばテレビ通販ではこれまでのようにジャパネットたかたの通販番組の中で紹介する様々な商材の中の1つとして食品を紹介していく形ではなく、番組内で食品を紹介する場合は「たべる。ジャパネット」というブランドを前面に打ち出し、番組内で商品を紹介、訴求するMC(司会者)陣も塚本慎太郎氏ら食品の専門MCが担当する形で完全に他の商材とは別個のものとして展開していく。
通販サイトも家電などを販売する既存の通販サイトとは別に食品専用の通販サイトを9月15日に新設。テレビ通販で販売した商品のほか、販売数が限られている旬の食品やバイヤーいち押しの商品を日替わりで紹介するWEB限定販売の食品なども取り扱っていく。さらに11月をめどに現在、食品の頒布会加入者向けのアプリをリニューアルする形で「たべる。ジャパネット」の専用アプリの配信も行う予定。購入などに応じて割引やプレゼントなどを行う特典を展開していく予定で拡販につなげていく考え。また、通販カタログも11月下旬をめどに食品購入実績のある顧客に「たべる。ジャパネット」専用の媒体を創刊予定という。
独自ブランドの始動で拡販を強化するとともにこれまで主体としていた1万円以上の商品群だけでなく、1000円台の安価な商品の品ぞろえや果物などの青果、調味料などの取り扱いも増やして常時販売商品数を現状の130点程度から年内にも300点程度まで拡大する。また、食品カテゴリとして「たべる。ジャパネット」のもとで今後、展開していくグループのジャパネットウォーターが山梨県内の自社工場で製造するミネラルウォーター「ジャパネットウォーター富士山の天然水」や今年5月から発売して拡販を進める同社初の自社開発の機能性表示食品「にんにくサフランW」も食品の展開強化に合わせて食品購入実績客にクロスセルし、拡販をさらに進めていきたい考えで「初年度は現状の売上高の2倍程度を、その後も年率成長率2割増程度を目指す」(食品事業の責任者の勝野友介ゼネラルマネージャー)としており、同社の主力商材である家電のような売り上げの柱に育てていきたい考えだ。
本当にお薦めできるものだけ販売、売上規模は「倍にしたい」
<塚本・勝野氏に聞く食品通販の現状と今後>
食品の通販強化のため、「たべる。ジャパネット」を始動させたジャパネットたかた。テレビ通販では食品専用MCを務めるほか、食品事業を管轄する塚本慎太郎専門執行役員(=写真右)と食品事業を統括する勝野友介ゼネラルマネージャー(=写真左)に食品事業の現状と今後について聞いた。(9月13日開催の記者会見での報道陣および本紙記者との一問一答を抜粋、要約して掲載)
◇
――ジャパネットたかたが行う食品通販の強みは。
塚本「家電ではたくさんの商品を紹介するのではなく、当社が厳選して本当にお薦めできるものに絞って販売しているが食品でも同じ。質が高く本当においしいものを絞り込んで、様々な食品の中から選ぶよりも『ジャパネットが選んだ”これ”を食べてみませんか』とお客様に自信を持って提案していく」
――スタート時点では冷蔵・冷凍品が中心だが青果の扱いも増やすのか。
塚本「これから青果も積極的にやっていく。9月15日にはテレビ通販で山梨から中継を結んで、シャインマスカットを紹介するが、品質と数量をある程度、担保した上で鮮度を保った青果を今後もお届けしていきたい」
――質を追求すると量を確保することが難しくなる。質と仕入れ量とのバランスは。
塚本「全国のお客様においしいものをお届けしたいので、最高品質のもというよりはある程度の数量の担保ができるものの中で、そのランクのものであれば、質が高く、少しでも抑えた価格で提供していきたい」
――食品の販売を強化していくための訴求の工夫は。
塚本「例えば家電であればある機能があって、それを生活の中でどう活かして頂くかという提案を行ってきたが食品は一人ひとり皆様、味の感じ方は異なる。例えばマスカットだったら、人によって甘い、酸っぱい、おいしいと感じ方はそれぞれだ。一番はお客様の声だったり、それぞれがどう感じられたかをできるだけ幅広く伝えていきたい。また、生産者の想いや努力も一緒に伝えていきたい」
――食品の強化で顧客の購入サイクルに変化は出てくるか。
塚本「例えば、冷蔵庫を購入したお客様が来年も冷蔵庫を買おうということはない。つまり、家電における購入サイクルは長いが、食品はこの前、マスカット買ったらおいしかったから、来週は『なし』を買ってみよう、と繰り返し購入頂けるジャンルでサイクルとしては家電とは全く違う。(11月に専用)アプリもリリースする予定だが反復買いやまとめ買いがしやすく、購入頻度を増やして頂けるような特典やサービスを提供する予定だ」
――今後の商品拡充の方向性は。
勝野「『たべる。』の立ち上げるにあたって60点前後だった常時販売商品数をバイヤーを増やして現状、130~140点まで増やした。お客様にジャパネットの食品を生活に取り入れて頂きたく、これまでは1万円くらいの価格帯のものが多かったが1000円台の食品も増やした。また、今は冷凍食品が多いが、常温品の調味料などにも広げていく。さらに商品の改善を重ね、入れ替えをしながら年内をめどに常時販売商品数を300点くらいまでしていきたい」
――「たべる。ジャパネット」始動による食品事業の売り上げ予想は。
勝野「具体的な売り上げは言えないが、食品に注力し始めた2020年ころから比べるとここ3年ほどで現在の売上高は10倍と当時では考えられないくらいの売上規模になっている。(「たべる。ジャパネット」の始動で)さらに倍にしたい。健康食品も取り組み始めたばかりでさらに広げていきたいと考えており、その後も年々1・2倍程度は拡大していきたい」