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HOUSEIの越境EC 中国展開を低価格で支援、現地の専門バイヤーが代理販売

2023年 6月22日 12:00

 越境EC事業などを手がけるHOUSEIでは子会社の24ABCを通じて、中国の個人代理購入者(ソーシャルバイヤー)向けの卸販売モール「ezOrder(イージーオーダー)」を運営している。現地での販売は卸先である中国専門のプロバイヤーに一任することができ、加えて、中小企業でも参画しやすい低料金体系が大きな特徴となっている。

 イージーオーダーは現地の大手ECなどに出店して独自の販路を持っている中国のバイヤーに向けて、卸販売ができるBtoB型の卸モール。登録した日本企業は自社の商品が受注された際、24ABCの国内倉庫に発送するだけで現地への販売が可能。コストは初期費用の20万円と販売手数料のみとなる。現地のトレンドを知るプロのバイヤーに商品販売や販促を一任できるため、自社で中国のモールに出店して膨大な費用やリスクをかけることもなく、手軽に越境ECに参入できることが強みとなっている。

 現状、イージーオーダーに登録しているバイヤー数は3000人程度。日本企業からの流通総額については対前年比で倍増となっており上昇傾向にある。

 規模が拡大する背景の一つには物流や通関処理業務などの支援メニュー拡充がある。通常、中国向け越境ECの荷物は、中国の規制に抵触した場合に税関での没収や顧客への配達時に関税を請求されるなどのトラブルがあり、また、発送先の情報や商品の成分、関税に関する資料など膨大な書類を用意する必要もある。イージーオーダーでは専門的知識がなくても、これらの発送に必要な書類を自動でオンライン生成する機能を搭載。日本の日用品や雑貨、家電などを中心に5万点以上の商品情報を搭載しており、その範囲内の商品であればすぐに書類生成できるという。

 加えて、中国の大手国際物流サービス4社と連携していることから、その物流網を活用でき、配送や通関の進捗状況などもリアルタイムで確認することができる。「商品にもよるが、受注されてから最速で1週間、平均でも2週間弱で中国の消費者に配送できる。システム化がさらに進めば、より一層早くなる」(管祥紅社長)とする。

 また、主に航空便で配送しているが、昨年は現地のコロナ感染対策に伴う通関業務の遅延が発生したこともあり、最近では新たに同社の子会社が中国の武漢に保税倉庫を開設。大量注文が見込めるレギュラーの売れ筋商品などについては同倉庫に船便であらかじめまとめて輸送しておくことで、受注した際に現地からすぐに配送できるようにもなった。

 同社では空路と海路の両面で独自の物流ルートが構築できたことで、イージーオーダーを使っていない日本企業に対しても、中国向けの荷物配送業務が請け負えるようになっている。今後のコロナの再感染に伴うBCP対策の観点からも需要が見込めるとした。

 また、今年からはイージーオーダー以外にも、中国の大手仮想モールである「京東(ジンドン)」での販路拡大に着手している。これまでも2店舗を同社で出店・運営しており、日本のドラッグストア関連商品やコスメなどを代理販売していた。しかし、今後は高級感のあるブランドイメージの高い商品を専門に扱う店として新規出店することを計画。より、中国での競争力が高まるような日本商品の出品を募っていく。「百貨店のような規格の店舗イメージ。ジンドンでの販売ノウハウを持つ現地のパートナー企業と連携して運営する」(管社長)としている。

マーケットインの商品展開軸に

 なお、現状のイージーオーダーでの売れ筋商品としては、子ども向けのデザイングッズや特徴的な機能を持った家電、ドラッグストア関連商品などが中心となっている。かつてコロナ関連で日本の風邪薬や衛生用品が爆発的に売れた時期はあったものの、一過性で終わったという側面があった。

 そうした中、近年の中国向け戦略は、マーケットインの商品企画・仕入れをできるかどうかが成功の鍵になると見ている。同社の場合、イージーオーダーのプロバイヤーを通じて中国の最新トレンドを知ることができるため、現地の消費者が求める情報を精査した上で、それに即した商品の調達をクライアント企業に促していく考え。「大量に製造して在庫を確保するという時代はいずれ終焉する。今後は、より細分化された個別のニーズを汲み取って商品を売る形になっていくのでは」(管社長)とした。

 
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