前回に続き、通販サイト作成サービス「BASE」を提供するBASE山村兼司上級執行役員COOに、今後の戦略などを聞いた。
◇
――スカウトチームが獲得した新規出店者の中で、特に成功している店舗は。
「『NO COFFEE(ノーコーヒー)』という福岡市のコーヒーショップは、コーヒーだけではなくアパレルや雑貨も幅広くECで展開しており、グロースプランを活用しはじめてから『使い方がとても簡単で、ECに取られる時間が短く済むようになった』と言ってもらっている。注文処理もそうだし、ページのデザインや編集も簡単にできる点が評価されている。節約した時間を商品制作などクリエイティブな作業に費やしているようだ」
――SNSとの連携も進めている。
「『インスタグラム』や『Tik tok』ともパートナー契約を結んでおり、機能的な連携をスムーズに行うことができる。EC企業が『インスタグラムで商品を売りたい』と思っても、なかなかゴールまでたどり着かないことが多いが、『BASE』であれば『インスタグラム販売 App』というプラグインを使えば、すぐにインスタグラムでの販売が可能になる」
――昨年のIR資料によると「成長可能性が高い店舗を対象としたプロダクト開発やブランディングを進める」とのことだが、具体的には。
「成長性が高い店舗というのは、自分たちで世界観を発信できるような事業者のこと。SNSと連携したショッピング機能の開発は引き続き進めているし、そういった事業者が求めるのは『ファンに向けて特別な体験を提供したい』というもの。例えば、コミュニティー会員限定の商品を販売できる機能もあるし、抽選販売機能もある。こういった『特別な体験』を提供できるCRM関連機能を強化している」
――出店店舗のジャンルに変化はあるか。
「ファションカテゴリーが半分近くという状況は変わっていない。ただ、コロナ禍に飲食店が多く出店したこともあり、伸び率でいえば食品ジャンルが一番だろう」
――小規模事業者を対象とした「メルカリShops」が伸びているが、競合している部分はあるか。
「基本的にはあまり競合していないと思う。メルカリShopsは『ショッピングモール内に店を出す』という面が強いが、『BASE』は自分たちで集客をするので、やっていることがかなり違う。『BASE』の対象となるのは、SNSなどで発信して自社で集客できるようなEC事業者なので、色分けはできていると思う。逆に、仮想モールなどのプラットフォームに頼らなくても集客できるようになった事業者が『BASE』に移ってくる傾向がある」
――昨年から個人のオーナーを対象に、店舗の所在地と電話番号の非公開設定を可能にしている。
「個人のクリエイターや、芸能活動をしている人たちなどに喜んでもらっている。自宅を特定されてしまうのがネックで、活動を広げられなかったという人も多い。当社が対応してから競合も追随しているので、ニーズは高かったようだ」
――今年のECを取り巻く環境をどう見る。
「ECはコロナ禍で一気に伸び、昨年はややオフラインにニーズ戻ったわけだが、今年は少し上向いたと思っている。ただ、まだまだ不透明だし、コロナ禍におけるニーズには戻っていない。ただ、コロナ禍を経て『ネットで商品を販売する』こと自体は広がっているので、コロナ禍以前と比較すれば出店ペースなどは順調だ」
――物価高の影響はあるか。
「現状はあまり大きな影響はない。『BASE』で販売されている商品は、コモディティー化されておらず、し好性の高いものが多い。『安いから買う』というわけでもないので、少し値上げされても購入する消費者が多いからだ。ただ、原材料高も含めて、長い目で見れば影響は出てくるのではないか」
――グロースプランを使う店舗が増えれば流通総額も底上げされる。
「連動して伸びていくはずだ」
――4月に導入された後払い決済の流通総額への影響は。
「購入者とショップの関係を強化する機能が後払い決済とシームレスにつながっているのが強みなので、決済というその時だけの体験ではなく、買った後の体験も含めて当社がカバーしていきたいと思っている。そこがうまく回っていけば、一度購入したユーザーのリピート購入も当社がもっと支援できると思っている。流通総額はもちろん、店舗単体の売り上げや購入者を増やすことにもつながるはずだ」
――既存店の売り上げを底上げするための施策は。
「やはり新規顧客の獲得が大きなテーマになるので、SNSでの集客・送客の幅を広げていきたい」(おわり)
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――スカウトチームが獲得した新規出店者の中で、特に成功している店舗は。
「『NO COFFEE(ノーコーヒー)』という福岡市のコーヒーショップは、コーヒーだけではなくアパレルや雑貨も幅広くECで展開しており、グロースプランを活用しはじめてから『使い方がとても簡単で、ECに取られる時間が短く済むようになった』と言ってもらっている。注文処理もそうだし、ページのデザインや編集も簡単にできる点が評価されている。節約した時間を商品制作などクリエイティブな作業に費やしているようだ」
――SNSとの連携も進めている。
「『インスタグラム』や『Tik tok』ともパートナー契約を結んでおり、機能的な連携をスムーズに行うことができる。EC企業が『インスタグラムで商品を売りたい』と思っても、なかなかゴールまでたどり着かないことが多いが、『BASE』であれば『インスタグラム販売 App』というプラグインを使えば、すぐにインスタグラムでの販売が可能になる」
――昨年のIR資料によると「成長可能性が高い店舗を対象としたプロダクト開発やブランディングを進める」とのことだが、具体的には。
「成長性が高い店舗というのは、自分たちで世界観を発信できるような事業者のこと。SNSと連携したショッピング機能の開発は引き続き進めているし、そういった事業者が求めるのは『ファンに向けて特別な体験を提供したい』というもの。例えば、コミュニティー会員限定の商品を販売できる機能もあるし、抽選販売機能もある。こういった『特別な体験』を提供できるCRM関連機能を強化している」
――出店店舗のジャンルに変化はあるか。
「ファションカテゴリーが半分近くという状況は変わっていない。ただ、コロナ禍に飲食店が多く出店したこともあり、伸び率でいえば食品ジャンルが一番だろう」
――小規模事業者を対象とした「メルカリShops」が伸びているが、競合している部分はあるか。
「基本的にはあまり競合していないと思う。メルカリShopsは『ショッピングモール内に店を出す』という面が強いが、『BASE』は自分たちで集客をするので、やっていることがかなり違う。『BASE』の対象となるのは、SNSなどで発信して自社で集客できるようなEC事業者なので、色分けはできていると思う。逆に、仮想モールなどのプラットフォームに頼らなくても集客できるようになった事業者が『BASE』に移ってくる傾向がある」
――昨年から個人のオーナーを対象に、店舗の所在地と電話番号の非公開設定を可能にしている。
「個人のクリエイターや、芸能活動をしている人たちなどに喜んでもらっている。自宅を特定されてしまうのがネックで、活動を広げられなかったという人も多い。当社が対応してから競合も追随しているので、ニーズは高かったようだ」
――今年のECを取り巻く環境をどう見る。
「ECはコロナ禍で一気に伸び、昨年はややオフラインにニーズ戻ったわけだが、今年は少し上向いたと思っている。ただ、まだまだ不透明だし、コロナ禍におけるニーズには戻っていない。ただ、コロナ禍を経て『ネットで商品を販売する』こと自体は広がっているので、コロナ禍以前と比較すれば出店ペースなどは順調だ」
――物価高の影響はあるか。
「現状はあまり大きな影響はない。『BASE』で販売されている商品は、コモディティー化されておらず、し好性の高いものが多い。『安いから買う』というわけでもないので、少し値上げされても購入する消費者が多いからだ。ただ、原材料高も含めて、長い目で見れば影響は出てくるのではないか」
――グロースプランを使う店舗が増えれば流通総額も底上げされる。
「連動して伸びていくはずだ」
――4月に導入された後払い決済の流通総額への影響は。
「購入者とショップの関係を強化する機能が後払い決済とシームレスにつながっているのが強みなので、決済というその時だけの体験ではなく、買った後の体験も含めて当社がカバーしていきたいと思っている。そこがうまく回っていけば、一度購入したユーザーのリピート購入も当社がもっと支援できると思っている。流通総額はもちろん、店舗単体の売り上げや購入者を増やすことにもつながるはずだ」
――既存店の売り上げを底上げするための施策は。
「やはり新規顧客の獲得が大きなテーマになるので、SNSでの集客・送客の幅を広げていきたい」(おわり)