前回は2010年上半期における折込広告の出稿状況の全業種にわたって見たが、今回は2010年上半期における通販折込広告に焦点をあて、その傾向に注目する。
前回お伝えしたように、2010年上半期の折込広告全体の出稿量は首都圏平均で3138.4枚(1ヶ月平均523.1枚)、前年比4.3%減という結果を示したが、緩やかな景気回復基調から折込広告の出稿量も徐々に回復しつつある業種も見られてきている。また、通販は他の業種間と比較しても折込広告の出稿量は堅調に推移している。
今回の内容は、前回同様に朝日オリコミの折込広告出稿統計調査データベースを基に通販折込広告に絞った出稿状況に焦点をあてる。
通販に関する折込広告の枚数は、首都圏平均で164.7枚(1ヶ月平均27.5枚)。上記に示した折込広告全体の5.2%を占めている。その内訳をみると、「薬品・化粧品・洗剤」(以下、化粧品類)が最も多く、通販折込広告全体の32.3%(53.2枚)を占めている。これに続くのが「健康・自然食品」(以下、健食)で同24.6%(40.5枚)。これら2業種が通販折込広告の中心で過半数を占める。
曜日別の傾向を見ると、「火曜日」が31.8%と最も多く、「水曜日」、「月曜日」と続く。週の後半に集中する折込広告全体の傾向とは異なり、「月曜日」から「水曜日」で計75.7%と、週の前半に占める割合が高い点が特徴。月別の出稿状況を見ると、「1月」をピークに、「2月」はやや出稿量が減るが、「3月」以降は30枚弱でほぼ横ばいに推移している。(※グラフ(1)参照)
◆◆化粧品類、最多出稿は「悠香」◆◆ 通販折込広告で最も多く見られる化粧品類通販のうち、出稿頻度の高い企業順に見ると、「悠香」、「ディーエイチシー(以下、DHC)」、「ヒューマラボ」、「富士フイルム」、「ウイルコ」、「サンスター」等が見られる。これらの企業の曜日別傾向を見ると、「火曜日」、「水曜日」に出稿が集中する企業が多く、この傾向は例年通り。
具体的に見ると、『悠香』は「火曜日」に集中し、77.4%を占めている。『ウイルコ』は化粧品全体と比較すると「月曜日」に集中していることが分かる。このほか、『DHC』や『ヒューマラボ』では週末以外で分散化が見られたほか『富士フイルム』や『サンスター』等は特定曜日への出稿ではなく、出稿曜日の分散化も見られた。(※グラフ(2)参照)
◆◆健康食品、最多出稿は「サントリー」◆◆ 続いて健食通販企業。出稿頻度が高い企業順に見ると、「ディーエムジェイ(以下、DMJ)」、「サントリー」、「山田養蜂場」、「世田谷自然食品」、「わかさ生活」、「サンスター」等が見られる。また、健食通販企業全体の傾向では、「水曜日」を中心に分散傾向が見られ、上述の化粧品類通販の全体の傾向とは異なり「日曜日」への出稿も目立っている。
具体的に出稿上位企業の曜日別傾向を見ると、『DMJ』、『世田谷自然食品』では「日曜日」への出稿が目立ち、『サントリー」や『山田養蜂場」では「水曜日」への出稿が集中し、特に『山田養蜂場』に関しては9割が「水曜日」に集中している点が注目される。また、『わかさ生活』や『サンスター』に関しては『水曜日』への比重が高いものの、分散している点が見られるなど、企業間において注力する曜日に違いが顕著に見られた(※グラフ(3)参照)。
以上が2010年上半期における通販折込広告の傾向である。
◇◇◇
折込広告のデザイン表現などの紙面づくりは当然であるが、今回使用したデータを踏まえて見ると、いかに効果的に消費者に対し到達率を高めるかという点における出稿曜日への変化の持たせ方も見られた。また、今回の記事には掲載しきれなかったが、到達させたいターゲットに即したエリアのセグメントが見られるなど、同じ業種間の中でも企業それぞれの目論見が異なる点が示されている。
前回の「折込Report」でも触れたように、リーマン・ショック以降、国内の各企業においてもリストラ効果が加わり、生産・所得・雇用・消費においても緩やかに持ち直しつつある中、通販の折込広告を見ても出稿を強化する企業の動きが見られた。既存顧客に対してLTV(顧客生涯価値)を高めるために積極的な広告出稿という動きと同時に、新規顧客獲得にむけ潜在顧客にアプローチするために積極的な広告出稿を実施する企業が見られている。また、このような動きに対し、広告・販促費の見直しや最適化を優先する企業との間で折込広告利用の差が見られている。
(朝日オリコミ 松本和久 http://www.asaori.co.jp/)
前回お伝えしたように、2010年上半期の折込広告全体の出稿量は首都圏平均で3138.4枚(1ヶ月平均523.1枚)、前年比4.3%減という結果を示したが、緩やかな景気回復基調から折込広告の出稿量も徐々に回復しつつある業種も見られてきている。また、通販は他の業種間と比較しても折込広告の出稿量は堅調に推移している。
今回の内容は、前回同様に朝日オリコミの折込広告出稿統計調査データベースを基に通販折込広告に絞った出稿状況に焦点をあてる。
通販に関する折込広告の枚数は、首都圏平均で164.7枚(1ヶ月平均27.5枚)。上記に示した折込広告全体の5.2%を占めている。その内訳をみると、「薬品・化粧品・洗剤」(以下、化粧品類)が最も多く、通販折込広告全体の32.3%(53.2枚)を占めている。これに続くのが「健康・自然食品」(以下、健食)で同24.6%(40.5枚)。これら2業種が通販折込広告の中心で過半数を占める。
曜日別の傾向を見ると、「火曜日」が31.8%と最も多く、「水曜日」、「月曜日」と続く。週の後半に集中する折込広告全体の傾向とは異なり、「月曜日」から「水曜日」で計75.7%と、週の前半に占める割合が高い点が特徴。月別の出稿状況を見ると、「1月」をピークに、「2月」はやや出稿量が減るが、「3月」以降は30枚弱でほぼ横ばいに推移している。(※グラフ(1)参照)
◆◆化粧品類、最多出稿は「悠香」◆◆
通販折込広告で最も多く見られる化粧品類通販のうち、出稿頻度の高い企業順に見ると、「悠香」、「ディーエイチシー(以下、DHC)」、「ヒューマラボ」、「富士フイルム」、「ウイルコ」、「サンスター」等が見られる。これらの企業の曜日別傾向を見ると、「火曜日」、「水曜日」に出稿が集中する企業が多く、この傾向は例年通り。
具体的に見ると、『悠香』は「火曜日」に集中し、77.4%を占めている。『ウイルコ』は化粧品全体と比較すると「月曜日」に集中していることが分かる。このほか、『DHC』や『ヒューマラボ』では週末以外で分散化が見られたほか『富士フイルム』や『サンスター』等は特定曜日への出稿ではなく、出稿曜日の分散化も見られた。(※グラフ(2)参照)
◆◆健康食品、最多出稿は「サントリー」◆◆
続いて健食通販企業。出稿頻度が高い企業順に見ると、「ディーエムジェイ(以下、DMJ)」、「サントリー」、「山田養蜂場」、「世田谷自然食品」、「わかさ生活」、「サンスター」等が見られる。また、健食通販企業全体の傾向では、「水曜日」を中心に分散傾向が見られ、上述の化粧品類通販の全体の傾向とは異なり「日曜日」への出稿も目立っている。
具体的に出稿上位企業の曜日別傾向を見ると、『DMJ』、『世田谷自然食品』では「日曜日」への出稿が目立ち、『サントリー」や『山田養蜂場」では「水曜日」への出稿が集中し、特に『山田養蜂場』に関しては9割が「水曜日」に集中している点が注目される。また、『わかさ生活』や『サンスター』に関しては『水曜日』への比重が高いものの、分散している点が見られるなど、企業間において注力する曜日に違いが顕著に見られた(※グラフ(3)参照)。
以上が2010年上半期における通販折込広告の傾向である。
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折込広告のデザイン表現などの紙面づくりは当然であるが、今回使用したデータを踏まえて見ると、いかに効果的に消費者に対し到達率を高めるかという点における出稿曜日への変化の持たせ方も見られた。また、今回の記事には掲載しきれなかったが、到達させたいターゲットに即したエリアのセグメントが見られるなど、同じ業種間の中でも企業それぞれの目論見が異なる点が示されている。
前回の「折込Report」でも触れたように、リーマン・ショック以降、国内の各企業においてもリストラ効果が加わり、生産・所得・雇用・消費においても緩やかに持ち直しつつある中、通販の折込広告を見ても出稿を強化する企業の動きが見られた。既存顧客に対してLTV(顧客生涯価値)を高めるために積極的な広告出稿という動きと同時に、新規顧客獲得にむけ潜在顧客にアプローチするために積極的な広告出稿を実施する企業が見られている。また、このような動きに対し、広告・販促費の見直しや最適化を優先する企業との間で折込広告利用の差が見られている。
(朝日オリコミ 松本和久 http://www.asaori.co.jp/)