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コロナ特需の反動で苦戦目立つ<注目ジャンル別通販売上高ランキング>

2022年 8月25日 12:00

 通販新聞社は8月、「第78回通販・通教売上高ランキング調査」を実施し、売上上位300社の通販売上高を調査し、ランキングを発表した(第1856号参照)。当該ランキングの中から、「総合通販」「家電」「家具」「メーカー通販」を展開する上位の通販実施企業の直近の売上高を記載したランキング表を掲載しつつ、各分野の主要プレイヤーの状況と各市場の動向などを見ていく。

 
巣ごもり需要一巡、反動も

総合通販

 テレビや紙媒体での総合通販(ネット専業除く)を展開する通販事業者のうち、売上高上位10社を抜粋した。注目すべき各社の前期の状況を見ていく。

 1位のジュピターショップチャンネルは前々期(21年3月期)に新型コロナウイルスの拡大に伴い、従業員や取引先の安全を確保する観点からこれまでの24時間生放送をやめて収録番組を交えた編成とした影響で生番組の放送時間が減少したことで売り上げ確保のために紹介商品が販売実績のある商品に偏り、前期の売り上げにつながる新商品の露出・育成が遅れたことや過去の販売データに従った商品構成でマンネリ化を産み、購入回数が伸び悩んだことなどが影響、減収だった。

 2位のベルーナの通販売上高は、前期比0・7%減の1550億3500万円だった。主力の総合通販事業では、上半期において積極的な広告宣伝を行ったものの、巣ごもり消費の一巡で既存顧客のレスポンスが悪化し、収益性が低下。減収となっている。化粧品健康食品事業は、化粧品通販のオージオにおいて、台湾における新型コロナウイルス感染拡大の影響で成長が鈍化。健康食品通販のリフレでは、新規顧客のレスポンスが低下し減収に。事業全体でも2桁減収となっている。グルメ事業は、前期に引き続き積極的な広告宣伝を行ったことに加え、第3四半期でおせち料理の売り上げが好調に推移し増収に。ナース関連事業では、前年に特需のあったマスクやパルスオキシメーター等の医療雑貨・消耗品需要が縮小したことで減収となった。

 4位のスクロールの連結売上高は813億9100万円だった。「収益認識に関する会計基準」を適用したことで前年同期との比較はしていないが、実質的には減収となっている。生協事業を中心とした通販事業は、新規媒体の企画や品揃えの拡充が奏功したほか、商品供給率が向上したことで、売上高は減収。eコマース事業はキャンプやフィッシング等のアウトドア関連商品が好調に推移した。

 5位の千趣会の前期は巣ごもり特需が落ち着いてきたことや、中期経営計画の推進体制強化とデジタルを活用した事業変革に向けた基幹システムの刷新に向けた手数料や人件費などの増加で減収減益だった。通販事業は前々期に実施した大規模な新規獲得・会員復活施策の反動により、購入会員数は前年比45万人減の248万人、新規購入会員数は同12万人弱減の59万人超となった。一方、前年に増えた新規・復活会員の継続購入および客単価アップを重点目標とし、会員基盤全体のアクティブ化を目指した結果、継続購入会員は同5万人強増、1件当たりの受注単価は同2・7%増となった。

 8位の高島屋の前期はネットビジネスは前年比8・8%の増収、カタログ通販を軸としたクロスメディア事業が同2・9%増で、両チャネルとも前々期よりは成長率が下がったが、健闘した。ECチャネルは、大型商戦である中元・歳暮は売り上げを維持し、バレンタインや母の日など第2のギフトとして力を注いでいる商戦が好調だった。強化中の自家需要の開拓では、百貨店の優位性が出せるラグジュアリーファッションやハイエンドの腕時計、コスメなどが好調だった。紙媒体では、おせちなどが好調だった。


家電量販店各社が好調

家電


 主に家電を販売する小売企業(メーカー直販やパソコン専門は除く)を売上高順に10位まで抜粋した。

 1位はジャパネットホールディングスで、前年比4・1%増の2506億円と増収を維持した。巣ごもり需要の一巡やコロナ禍によるクルーズツアーの休止などは影響したものの、引き続き、エアコンや掃除機、炊飯器などの生活家電が好調な売れ行きとなったほか、拡販を強化しているウォーターサーバーや全国の名産品の頒布会「グルメ定期便」など食品の売れ行きも順調に伸びた。

 2位ヨドバシカメラは前期比で減収となった。21年3月期はコロナ禍を受けて、前期比60%増の2200億円超と大きく伸びていたが、22年3月期は反動があったようだ。

 3位ビックカメラの通販売上高は、同8・9%増の1564億円に。連結売上高に占めるネット販売の比率は18・8%となっている。物流関連では、昨年9月に船橋センターに自動化設備を導入。出荷可能件数は従来の2倍となった。設備の導入コストと稼働コストは、人件費削減で吸収できる見込みという。

 4位ヤマダホールディングスの通販売上高は1400億円を大きく超えたようだ。視認性向上や購入動線の最適化など、通販サイト刷新による販売強化を進めているほか、実店舗やテレビ・ラジオショッピング、デジタル広告、チラシ、新聞広告などを活用し、情報発信を強化することで新たな顧客層を開拓している。また、ヤマダデンキ店舗スタッフが即日配送するサービスや、購入商品の店舗での受け取りサービスなど、実店舗と通販サイトとの融合も進めている。今期の通販売上高は約1600億円を見込んでいる。

 5位上新電機は、同5・8%増の758億円に。実店舗が新型コロナウイルスの影響を受け、連結売上高は減収となったが、ネット販売は堅調に推移した。同社では、大阪府茨木市に新物流センターを構え、本格稼働に向けて準備を進めており、ネット販売の出荷能力は倍増する見通し。

 6位エクスプライスは、同19・4%増の647億円と好調に推移した。”巣ごもり需要”や、次世代住宅ポイントにより、売り上げが底上げされたという。同社は3月、ホームセンター大手・DCMホールディングスの子会社となった。DCMホールディングスでは、ネット販売事業における実店舗活用や相互送客、非家電領域への商材拡充、物流スピードアップとコストダウンなどの相乗効果を見込んでいる。
 
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