ファンケルは、サプリメントでは4拠点目となる新工場が4月の稼働から7カ月を迎えた。特徴の一つが、最大7種類のサプリメントを個包装できる「高速分包機」の導入。中国市場の開拓をけん引する「年代別サプリメント」の生産強化に対応したものだ。「年代別サプリ」の製造効率を飛躍的に高める独自の製造設備が市場開拓のカギを握る。
「高速分包機」は、錠剤やカプセルなど形状が異なるサプリに対応したタンクが機器の左右を囲むように設置されている。その下をベルトコンベアに乗った”受け皿”が移動。サプリを一粒ずつ受け取る仕組みになっている。その後、1回分のワンパックに充填・圧着を行い、30袋ずつパッケージ袋に詰める。ここまでの工程をすべて自動で行う。
錠剤やカプセルを袋に直接充填する通常のサプリと異なり、ワンパックの袋充填は、袋同士の摩擦でスムーズに行いにくい。この点もパッケージ袋を人の手の動作を真似て自動で揺らして落とし込む仕組みで充填する仕様になっている。
以前は汎用機を使い、ワンパックの個包装まで行っていた。これを人手でパッケージ袋に詰めていた。
ただ、ワンパックのスピードは1分間に50包。「高速分包機」は同200包を可能にしている。他社で同レベルの分包機を独自開発した例はこれまでないとみられる。メーカー3社と共同で独自開発した。
◇
オーダーメードサプリ、パーソナライズサプリなど言い方はさまざまだが、形状が異なる複数種のサプリを個包装にするのは難易度が高い。互いの粒の影響で割れや欠け、色移りなどの問題が起きやすいためだ。また、汎用機は生産スピードが遅く、需要の高まりに耐えられない可能性がある。
ファンケルは、独自の処方やコーティング技術で品質を維持したまま複数種の個包装を可能にしている。
「年代別サプリ」は、製品設計と生産技術・効率の両面で、他社が追随しにくい差別化された製品といえる。独自機器の開発は、それだけ製品が売れているということだろう。
◇
「年代別サプリ」の生産を強化する背景には、中国市場の開拓がある。
ファンケルは今期(22年3月期)、健康食品の海外売上高で、前年比約48%増の約46億円を見込む。一般貿易と越境ECの両輪で伸ばすが、越境ECをけん引するのが20~30代女性向け「年代別サプリ」。売上構成比で64%(20年度実績)を占める。40代女性向け「年代別サプリ」の売り上げも前年比87%増と好調に顧客獲得が進む。独自開発の「高速分包機」導入背景も、拡大するグローバル需要への対応を見越した投資といえる。
現在、20~60代の男女用の計10アイテムを展開するが、とくにニーズの高い20~40代女性の3アイテムを三島工場で生産する。
三島工場は、グローバル化に向けたインフラ増強を目的に80億円を投じて新設した。本社、物流センターからのアクセスの良さだけでなく、中国が指定する日本の食品輸入規制対象地域外であることも考慮した。
◇
自社工場では最大規模。錠剤、ハードカプセルなどバルクで16品目、充填後の完成品で30品目を製造する。今後、バルクで30品目、完成品で40品目前後に拡大する。また、8月からキリングループの協和発酵バイオの製造受託も開始。今期中に9品目、今後、14品目を受託するなど、内製化率を高めていく。需要増に応じ、生産規模は最大で現在の3~3・5倍まで拡張できるスペースがある。
「高速分包機」は、錠剤やカプセルなど形状が異なるサプリに対応したタンクが機器の左右を囲むように設置されている。その下をベルトコンベアに乗った”受け皿”が移動。サプリを一粒ずつ受け取る仕組みになっている。その後、1回分のワンパックに充填・圧着を行い、30袋ずつパッケージ袋に詰める。ここまでの工程をすべて自動で行う。
錠剤やカプセルを袋に直接充填する通常のサプリと異なり、ワンパックの袋充填は、袋同士の摩擦でスムーズに行いにくい。この点もパッケージ袋を人の手の動作を真似て自動で揺らして落とし込む仕組みで充填する仕様になっている。
以前は汎用機を使い、ワンパックの個包装まで行っていた。これを人手でパッケージ袋に詰めていた。
ただ、ワンパックのスピードは1分間に50包。「高速分包機」は同200包を可能にしている。他社で同レベルの分包機を独自開発した例はこれまでないとみられる。メーカー3社と共同で独自開発した。
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オーダーメードサプリ、パーソナライズサプリなど言い方はさまざまだが、形状が異なる複数種のサプリを個包装にするのは難易度が高い。互いの粒の影響で割れや欠け、色移りなどの問題が起きやすいためだ。また、汎用機は生産スピードが遅く、需要の高まりに耐えられない可能性がある。
ファンケルは、独自の処方やコーティング技術で品質を維持したまま複数種の個包装を可能にしている。
「年代別サプリ」は、製品設計と生産技術・効率の両面で、他社が追随しにくい差別化された製品といえる。独自機器の開発は、それだけ製品が売れているということだろう。
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「年代別サプリ」の生産を強化する背景には、中国市場の開拓がある。
ファンケルは今期(22年3月期)、健康食品の海外売上高で、前年比約48%増の約46億円を見込む。一般貿易と越境ECの両輪で伸ばすが、越境ECをけん引するのが20~30代女性向け「年代別サプリ」。売上構成比で64%(20年度実績)を占める。40代女性向け「年代別サプリ」の売り上げも前年比87%増と好調に顧客獲得が進む。独自開発の「高速分包機」導入背景も、拡大するグローバル需要への対応を見越した投資といえる。
現在、20~60代の男女用の計10アイテムを展開するが、とくにニーズの高い20~40代女性の3アイテムを三島工場で生産する。
三島工場は、グローバル化に向けたインフラ増強を目的に80億円を投じて新設した。本社、物流センターからのアクセスの良さだけでなく、中国が指定する日本の食品輸入規制対象地域外であることも考慮した。
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自社工場では最大規模。錠剤、ハードカプセルなどバルクで16品目、充填後の完成品で30品目を製造する。今後、バルクで30品目、完成品で40品目前後に拡大する。また、8月からキリングループの協和発酵バイオの製造受託も開始。今期中に9品目、今後、14品目を受託するなど、内製化率を高めていく。需要増に応じ、生産規模は最大で現在の3~3・5倍まで拡張できるスペースがある。