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同社ではヤフーショッピングや楽天市場などの仮想モールへの出店のみで、自社サイトは運営していない。元々、同社は記念写真のCD・DVD加工業務などを手掛けており、岡本社長自身もネット販売業務の経験がなかった。始めた経緯も「(通販は)非常に拡大しているマーケットだったので、我々が参入しても邪魔者扱いはされないだろう」(岡本社長)というなんとも控えめな発想からだった。
自社で製造せず、賞味期限も気にしない商品として、まずは家具・インテリアを取扱商品として選択。国内メーカーを回って、仕入れルートを確保していった。
商品の多くは他の通販サイトや百貨店、専門店などの実店舗でも売れている定番品が中心。「当社でも販売させてもらうことは、メーカーからすれば『ワンオブゼム』なのでリスクもない。そのため、すんなり仕入れに応じてくれた」(同)と説明する。現在では寝具や収納家具、照明器具など合計20万アイテム近くを販売するまでになった。
サイト内では季節商品を集めた特集コーナーなどは設けるが、安売り企画はほとんど行わず、会員制度なども設けていない。「無茶な値引き合戦で適正な利益率が確保できなくなると、その商品を売る人間はいなくなってしまう。それではメーカーを苦しませるだけ」(同)とし、価格戦略による顧客誘導を行わない方針を貫いている。
その一方で、マーケティング分析は徹底している。次のヒット商品を探すことも重要だが「売れた商品をさらに売る」ということに重点を置き、サイト内の20万アイテムをアクセス数や顧客層などを細かくデータ化し、効果的なSEO戦略を立てて成果を挙げている。今夏のヒット商品は温度調整素材を使用した「清涼寝具」。昨年、試験的に販売した時に、取り扱い数が少ないながらも売れ行きが好調だったところに目を付け、今年本格的に販売。猛暑の影響もあって大ヒット商品になった。1日平均で100点以上、多い時は500点も売れたという。
今後の課題は、取り扱いアイテム種類の拡大。特に食品の販売に力を入れていく考えだ。7月には洋菓子メーカー「クレマモーレ」のイタリアンジェラートを発売。ネット販売としては同サイトが初の取り扱いとなる。その他にもクッキーや生鮮食品などの取り扱いを検討中。来月には都内の有名商店街と連携して、食品や酒類、腕時計など加盟店舗の商品を販売することも決まっている。
「近年はコンビニなどの台頭で低迷しているが、商店街は伝統ある(優良な)仕入先をたくさん抱えている。それらの商品力を活かしていきたい」(岡本社長)とする。今後、海外展開なども視野に入れながら、さらなる事業の拡大を目指す。