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「ヤケクソくじ」は、製品の購入につき、1万円が当たるくじ1枚がもらえるもの。10製品を対象に当選人数が割り振られ、毎月計335人に1万円をプレゼントする。商品の売上予測から利益の1%を還元する仕組みで、製品が売れれば還元額も増えていくという。
ただ、今年11月、開始にあたり吉田会長名義で自社サイト公開した文書が物議をかもしている。
吉田会長曰く、DHCの健食は、配合量が多く廉価であることから日本で最も愛用されている実質ナンバーワンと自負しているという。経済産業省が過去に行った「利用している(利用したい)機能性食品メーカー」に関する消費者意識調査では1位を獲得していたとする。
ただ、市場浸透率を売上個数ではなく、金額の多寡で優劣を決める市場調査では他社に負けてしまうとして、「DHCなら500円で売れるものを5000円近くで販売しているから売上金額の集計で多くなるのは当たり前」と他社を批判。消費者に対しても、「消費者の一部は、はっきり言ってバカですから、値段が高ければそれだけ中身もいいのではないかと買っている」と批判を展開した。
実質ナンバーワンの証左として示す調査は、経産省の出先機関である中部経済産業局電力・ガス事業北陸支局の助成を受け、11年にコンサルタント会社が報告したもの。当時、経産局やコンサルが営利目的の利用に抗議したものの、広告掲載を強行して物議をかもしたものだ。
DHCの売上高は1087億円(18年7月期)をピークに右肩下がり。前期は1000億円を割り込んだ。営業利益率も以前は6~7%台を維持していたが20年7月期は約4%まで落ち込んでいる。
健食・化粧品でシェアを競う他の通販大手の営業利益率をみると、コロナ禍でも1社は10%超、もう1社は20%近い水準を維持している。戦略の起点を付加価値やロイヤルユーザーの獲得に置いてきたことが反映された結果とみられる。
一方のDHCはこれまで、強いオファー訴求で顧客獲得を進めてきた。18年には健食全アイテムと化粧品の一部商品で利益を度外視した25%の割引率で提供する「ぶっとび定期便」を開始。それでも業績悪化に歯止めがかからない中で始めたのが、今回の「ヤケクソくじ」だ。
顧客は、くじを求めてDHC製品を買っているのではなく、吉田会長が「配合量が多く廉価」と言うように、手軽に手にできる価格に魅力を感じて製品を購入している顧客も多いはずだ。「1万円が当たるかも」と言えば購入が拡大すると見込んでいるとすれば、それこそ顧客を侮り、自らのビジネスモデルを否定するようなものだ。