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前期、売上高100億円を達成【ユーキャン 通販ブランド「ココチモ」の現状は?】 電子辞書や地球儀など大型販促好調、アパレル分野でも成果

2020年 3月23日 14:00

 ユーキャンの通販ブランド「ココチモ」は前期(2019年12月期)、大型販促を実施した一般雑貨のヒットや、ファッション領域での顧客開拓と定着化の進展などにより、ココチモ始動時(13年11月)の目標だった売上高100億円を達成した。

 前期は、大型販促商材として1月に「カシオ電子辞書」、12月に「しゃべる地球儀」を展開した。前者は事前のテストで反応の良かったA4冊子を新聞に折り込む形を中心に出稿したことで新聞読者の手元に冊子が残り、受注につながったと見られる。また、広辞苑の最新版を収録したことも追い風となり、以前の電子辞書購入者にDMを送って買い換えを喚起。受注量は計画比10%増となった。

 後者は、17年に大型販促を実施した地球儀と比べて台座部分を木目調にするなどリニューアルして臨んだ。テレビCMと新聞広告をメインに打ち出し、購入者はココチモの主要顧客層である60代~70代が多かったものの、クリスマス需要の取り込みも狙って12月にプロモーションをかけており、プレゼント用のニーズからウェブ購入比率が他の商材と比べて高かったという。

 ココチモの商材はウェブ購入比率が高くないが、ウェブマーケティング専門の部署を立ち上げたことにより、通販サイトは大型販促を実施する際の受け皿としてだけではなく、積極的にECチャネルを生かす取り組みにも着手。地球儀の台座部分を、宇宙をイメージしたウェブ限定カラーのギャラクシーブルーモデルを1000台限定で販売したところ、掲載から4日間で完売したという。

 加えて、「楽天市場」など仮想モールの売り場ではクーポン施策を積極的に行ったことで、ウェブ購入比率の向上や売上高全体の底上げにつながった。

 一方、強化中のファッションカテゴリーでは、販促費の規模感としてはまだ小さいものの、女性用のリュック「カナナリュック」を新聞休刊日前の終面カラー広告のスペースで全国展開にチャレンジし、一定の成果を得たという。

 同社は、日本製と天然素材にこだわったオリジナルのアパレルブランド「着心地のいい服」を15年3月にスタートし、衣料品を中心に展開しているが、約5年間で獲得した会員7万人を顧客リストとして活用することで、バッグやシューズ、サングラスなどのファッション雑貨も当該層に提案できるようになり、商材の幅を広げている。

 アパレル商品は一着4000円~5000円程度のアイテムが多い中、「カナナリュック」は税込1万8700円のため、単品で新聞広告を打てる価格帯で、ファッション商材として初の全国アプローチで新客開拓と顧客の定着化につながるなど、結果を得られたことは「次のステップとして事業拡大が大いに期待できる」(手島篤志執行役員=写真)とする。

 今後は、一般雑貨と同様にテレビCMと連動した新聞広告をファッション商材でも展開したい意向だ。また、一般雑貨の大型販促で想定通りの結果が得られないときに利益を出せる体制の構築に向け、ファッションカテゴリーの会員数を10万人程度まで増やし、柱のひとつに育成していく考えだ。

今期戦略商品が大ヒットに

 「ココチモ」の今期は、1月に「大人の楽らくキーボード」の大型販促を実施し大成功した。同商品は楽譜が読めなくても光る鍵盤を押すだけで名曲を弾けるほか、どの鍵盤を押しても正しいメロディーになる”らくらくモード”があり、さまざまなキーボードの楽しみ方ができるのが特徴で、クラシックの名曲や抒情歌、歌謡曲など230曲を収録する。

 キーボードのテレビCMと新聞広告を全国展開するのは今回が初めてだが、3~4年前からテストを実施。「(キーボードという趣味性の偏った商材のため)普段以上に慎重に進めたが、毎回テスト販売の結果が良く、市場が存在することが分かっていた」(手島執行役員)という。

 購入者は女性の割合が高いものの、予想よりも男性の購入が多く、ピアノに対する憧れや、新しい趣味として、手先を動かしたいといったニーズがあったほか、弾かなくても音を流して楽しめるといった商品としての幅の広さも受けたようだ。

 受注台数は非公表だが、当初入荷した台数よりも3割程度上回ったようで、追加発注して対応している。

 なお、昨年のココチモ事業のテーマは”変革と進化、選択と集中”で、「選択と集中」については食のカタログ「おいしい食卓」と機能性表示食品を昨年中に終了し、人員とコストを主要商材に再配置した。

 「変革」の部分では通販事業全体の組織改革を実施。マーケティングありきの商品開発で差別化アイテムを作り、しっかり販売できる組織集団を目指すとともに、今年は意識改革を含めた「進化」の部分に力を注ぐ。

 
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