テレビ東京ホールディングスの通販事業子会社のテレビ東京ダイレクト(TXD)は長野県伊那市の特産品などのテレビ通販を始める。伊那市の地域創生に向けて両者間で包括連携を締結した。今後、TXDが地上波やBSで放送する番組で米やそばなど伊那市の特産品や同市の観光名所などを巡る旅行ツアーを紹介、販売したり、同市の魅力を伝える。また、番組プロデューサーらを派遣し、情報発信方法などをレクチャーする職員研修も行う計画。TXDでは番組を活用して自治体の産業の活性化やPR強化を図っていく取り組みを今後も強化していく方針で通販に次ぐ収益源として同事業を拡大していきたい考えのようだ(写真は地域創生支援で連携したTXDの遠藤社長(中央左)と伊那市の白鳥市長(中央右))。

 
　TXDと伊那市は地域創生の推進に向けて2月13日に、伊那市役所で包括提携協定を締結。具体的な金額などは明らかにしていないが、TXDは伊那市から一定額の料金を徴収。事業として伊那市における地域の魅力作りや魅力の発掘や発信、観光・文化振興、広報力やPR力向上などについて支援していく。具体的にはTXDが自社制作し、テレビ東京やBSテレビ東京で放送中の各番組で通販による物販などを含めて、伊那市の情報を発信する。例えば、食品の通販番組「虎ノ門市場」で米やそば、ローメンなどの伊那市の名産品を紹介、販売したり、クラブツーリズムと組んで観光ツアーを紹介・販売する番組「旅スルおつかれ様～ハーフタイムツアーズ」では「天下第一の桜」と称され、日本三台桜の名所として知られる高遠城址公園の桜など観光名所を盛り込んだ観光ツアーを紹介・販売するほか、全国の地方自治体を紹介する番組「羽田土曜会　ニッポンを元気にする地方の星」や情報番組「なないろ日和!」の旅コーナーなどで伊那市の魅力を紹介する試みなどを行っていく考えのようだ。また、テレビ東京の各番組でも伊那市への取材や各イベント企画などを推進していく考え。

　番組による伊那市のPRのほか、同市の広報力向上のため、TXDやテレビ東京の番組のプロデューサーらを講師として派遣して、職員研修にも協力する。番組の作り手側から見た魅力を伝えるポイントやプレスリリースの書き方など効果的な情報発信の方法などをレクチャーする。今のとこと年4回程度の実施を見込んでいるという。

　TXDではこれまでも各番組を通じ、事業として各自治体のプロモーション活動支援を展開してきたが、その都度の支援でなく、今回の伊那市のように包括提携を結ぶことで機動的かつ継続的に自治体のPR活動を支援する体制を整え、地場産品や観光名所のアピールなどを行うことで地域の活性化を目指している各自治体のニーズに対応していく。

　「当社は地域創生のためのソリューションを持っている。伊那市を第一弾として、これまで番組で支援を行っていた自治体にも同様の取り組みを進めていく」(同社)としており、自治体向けの事業を主力の通販事業に続く新たな収益源として拡大させていきたい考えのようだ。