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【機能性表示食品の「事後チェック指針」 エビデンス・広告の留意点は?㊤】 第三者機関活用に動機づけ、事前相談で届出手続き迅速化も

2020年 2月20日 14:00

 消費者庁は今年1月に示した機能性表示食品の「事後チェック指針」は、「科学的根拠(エビデンス)」と「広告」の留意点の二部構成からなる。同月、業界5団体が行った合同説明会では、各項目をテーマにパネルディスカッションを行った。(「科学的根拠のあり方」のパネル要旨は以下の通り)

 寺本「科学的根拠は、届出ガイドラインや質疑応答集も示されている。指針の位置づけは」

 森田「過去に外部の指摘を受けたものなど留意すべき点をベースにした。根拠は白から黒にかけて濃淡がある。指針は黒と判断するもの。グレーなものは事業者と調整が必要。双方折り合わない場合は客観的に評価できる機関に依頼することを考えている」

 稲川「すでに届出・販売している商品が抵触している場合はどうなる」

 森田「振り返りは行う。指針に抵触していれば撤回を求める」

 寺本「新たに届出されたものは、どのタイミングで確認する」

 田中「過去の届出は、問題があると分かった時点で指導するが、指針は新たな目安であり、いきなり行政処分ということはない。適宜是正してもらう。新規の届出については、販売前に問題を解決する体制を目指したい。届出公表後、迅速にスクリーニングをかける。まずは新規の成分を中心に見ていきたい」

 川久保「販売を待ってもらうこともある」

 田中「強制はできないがそのほうが双方にとって幸せ。消費者利益にもつながる」

 井前「指針の主要アウトカムに関する考え方は副次アウトカムにも通じるものか」

 森田「研究レビューにおいて主要アウトカムで肯定的評価が得られず、副次アウトカムで得られた場合、妥当性はグレーといえる」

 細山「合理的な説明が行えれば白に近い」

 森田「客観的評価は必要なので第三者機関に委ねるのがよいと思う」

 寺本「研究レビューにおける注意点は」

 森田「検索条件、同等性、バイアスリスクの評価など」

 細山「同等性は文献による考察でよいのか。届出食品と機能性が確認された論文の剤型が異なる場合、追加試験が必要か」

 森田「必須ではないが剤型が機能性に影響与えるかの説明は必要」

 細山「第三者機関に届出前に事前相談を依頼することは可能か」

 田中「機能性はエビデンスの確立手法が一様ではない。第三者による客観的評価は制度の円滑な運用に役立つ。見解の相違が生じた場合に依頼する方法もあるが、事前相談できる場があれば届出公表後のスクリーニングでも問題起きえず、期待するところ」

 寺本「事前に第三者機関でチェックしたものは届出手続きも迅速に進むのか」

 森田「スピードアップに影響すると思う」

 田中「第三者機関が立ち上がることになれば事業者に活用するインセンティブが働くようにしたい。通常、根拠を欠けば措置命令の対象になる。ただ、課徴金は、免責の要件に相当注意義務がある。客観的評価を受けたものであればその義務を怠ったという判断に至らないケースも出てくる」

 寺本「第三者機関は業界に一つ設けるのが望ましいか」

 田中「この分野に精通するアカデミアも限られるため、分散しないことが望ましい」

 川久保「指針の策定で期待することは」

 森田「届出ガイドライン、指針に沿って適切な届出をお願いしたい」

 田中「制度の根本的概念は企業責任。各団体が消費者庁と同じ目線でチェックしてもらうことが大きな目標。事前相談については各団体に窓口を設け、アカデミアで構成する第三者機関に依頼する二階層の組織もありえるので、会員の支援を進めてほしい」

                          ◇

 パネリスト

 森田剛史消費者庁食品表示企画課保健表示室長、田中誠消費者庁表示対策課特命室長、健康食品産業協議会・稲川裕人氏、日本健康・栄養食品協会・井前正人氏、日本抗加齢協会・細山浩氏、日本通信販売協会サプリメント部会・寺本祐之氏、司会は健康食品産業協議会・川久保英一氏(文中敬称略)

 
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