前号に引き続き、マガシークの井上直也社長に前期の総括や成長戦略などを聞いた。
――「マガシーク」の課題は新客開拓になる。
「無料で返品できる『マガシークおうちde試着』サービスなどを通じて、今までネットで服を買ったことがないユーザーを開拓したり、ゾゾさんから引き気味のブランドさんとの関係性を深めて『マガシーク』のファンを増やしたい」
――プロパー品を売るための施策は。
「クーポンもプロパー品を売る施策のひとつだ。週末に集中する傾向が高いが、週末まで買い控えられないように週の半ばなどにもゲリラ的に実施するなど工夫している。送料無料キャンペーンなども含めて『いまが買い時』と思ってもらえる仕掛けを随時行う。また、今年2月には『マガシーク』内でセレクトショップにフィーチャーしたコンテンツ『マガシークセレクション』を始めていて、セレクトショップの新作などをお薦めポイントや着こなし方の提案と一緒に紹介している」
――「アウトレットピーク」の現状は。
「各モールが毎週のようにセールを開催している現状もあり、アウトレット品なのかセール品なのかの境目が分かりづらくなっていて、『アウトレットピーク』はもう少し苦戦すると見ていたが堅調だった。想定よりもアウトレット商材の調達がしっかりできたし、並行輸入品も好調だった」
――「アウトレットピーク」の方向性は。
「今後の成長性を考慮し、8月6日から『マガシーク』に統合して新たにスタートすることになった。『マガシーク』は従来のアパレル商材に加えて、『アウトレットピーク』で扱っていたアウトレット品や古着、並行輸入品、ラグジュアリーブランドのラインアップが増える。一方で、”お買い得”のくくりで扱っていたネットSPAブランドは『dファッション』に集約する」
――4月にゴールドマン・サックスと伊藤忠商事がB4Fに出資した。伊藤忠のグループとして協業できる部分は。
「販売スタイルは違うが、当社もアウトレット品を扱っていて、B4Fさんとシナジーが得られる取り組みがあるか協議を始めたところだ。彼らのフラッシュセールサイト『ミレポルテ』も品ぞろえが充実すればもっと伸びると思う。フラッシュセールは売れた商品だけを仕入れて販売するケースが多いと思うが、当社のアウトレット品は倉庫に長い期間、在庫を置いてもらって常時販売している。最初は50%オフなどで販売し、60%~70%という風にオフ率を高めて売り切る事業モデルになる」
――EC支援事業が好調だ。
「ブランドさんの自社ECを運営支援するECソリューション事業は、各社が自社ECを強化する流れもあって順調だ。前期の受託サイト数はファッションブランドを中心に11件と過去最高で、取扱高は倍増した」
――同事業の強みは。
「システムが『マガシーク』とは独立しているため融通がきく。システム連携によって他のモールでも販売できる部分は強みになる。当社に在庫を預けてもらえれば、『マガシーク』と『dファッション』はもちろん、丸井さんや三越伊勢丹さん、阪急阪神百貨店さん、近鉄百貨店さんなど複数サイトで販売できる」
――取引先ニーズの変化は。
「自社ECと実店舗のポイント連携や会員連携はニーズが高い。自社ECを伸ばすにはお店との併用客を増やすことが近道で、店舗との連携施策が有効だ」
――倉庫の増床は。
「元々、神奈川県座間市に約2万平方メートルの倉庫を持つが、昨年9月に外部パートナーと組んで座間市の南にある綾瀬市に約8000平方メートルの倉庫を借り、第2倉庫として利用している。第2倉庫は拡張でき、今期中に6600平方メートル~1万平方メートル規模で増床したい」
――サイト内の新しい取り組みなどは。
「AI画像検索機能を『マガシーク』アプリや『dファッション』に導入した。当初は自分で写真を撮るというアクションが必要で、なかなか使ってもらえなかったため、『dファッション』では商品詳細ページの写真の右下部分に『似た商品を探す』というボタンを配置して、これをクリックすると似たアイテムがたくさん表示されるようにした。利用率も相当上がっているし、購入にもつながっている。今後は『マガシーク』アプリでも取り組みたい」
――今期は320億円の取扱高を計画する。
「両サイトを伸ばすが、引き続き『dファッション』がけん引役になる。今期は『マガシーク』の取扱高を『dファッション』が上回る可能性が高い。EC支援事業も伸ばす計画で、利益面への貢献も期待している」
――服でも越境ECの機運が高まっている。
「中国などに越境ECで売っていくタイミングがきつつある。そろそろファッションがくる機運も感じる。時間とお金をあまりかけずに結果が出るスキームを考えたい」
――今期の重点テーマなどは。
「ドコモと連携して5GやAIなどテクノロジーを使ったショッピングサイト作りをしていきたい。ドコモは4月に米マジックリープ社に出資することで合意していて、マジックリープ社のウエアラブル端末を使用できる。当社も端末を活用したコンテンツの制作などで期待されている」(おわり)
――「マガシーク」の課題は新客開拓になる。
「無料で返品できる『マガシークおうちde試着』サービスなどを通じて、今までネットで服を買ったことがないユーザーを開拓したり、ゾゾさんから引き気味のブランドさんとの関係性を深めて『マガシーク』のファンを増やしたい」
――プロパー品を売るための施策は。
「クーポンもプロパー品を売る施策のひとつだ。週末に集中する傾向が高いが、週末まで買い控えられないように週の半ばなどにもゲリラ的に実施するなど工夫している。送料無料キャンペーンなども含めて『いまが買い時』と思ってもらえる仕掛けを随時行う。また、今年2月には『マガシーク』内でセレクトショップにフィーチャーしたコンテンツ『マガシークセレクション』を始めていて、セレクトショップの新作などをお薦めポイントや着こなし方の提案と一緒に紹介している」
――「アウトレットピーク」の現状は。
「各モールが毎週のようにセールを開催している現状もあり、アウトレット品なのかセール品なのかの境目が分かりづらくなっていて、『アウトレットピーク』はもう少し苦戦すると見ていたが堅調だった。想定よりもアウトレット商材の調達がしっかりできたし、並行輸入品も好調だった」
――「アウトレットピーク」の方向性は。
「今後の成長性を考慮し、8月6日から『マガシーク』に統合して新たにスタートすることになった。『マガシーク』は従来のアパレル商材に加えて、『アウトレットピーク』で扱っていたアウトレット品や古着、並行輸入品、ラグジュアリーブランドのラインアップが増える。一方で、”お買い得”のくくりで扱っていたネットSPAブランドは『dファッション』に集約する」
――4月にゴールドマン・サックスと伊藤忠商事がB4Fに出資した。伊藤忠のグループとして協業できる部分は。
「販売スタイルは違うが、当社もアウトレット品を扱っていて、B4Fさんとシナジーが得られる取り組みがあるか協議を始めたところだ。彼らのフラッシュセールサイト『ミレポルテ』も品ぞろえが充実すればもっと伸びると思う。フラッシュセールは売れた商品だけを仕入れて販売するケースが多いと思うが、当社のアウトレット品は倉庫に長い期間、在庫を置いてもらって常時販売している。最初は50%オフなどで販売し、60%~70%という風にオフ率を高めて売り切る事業モデルになる」
――EC支援事業が好調だ。
「ブランドさんの自社ECを運営支援するECソリューション事業は、各社が自社ECを強化する流れもあって順調だ。前期の受託サイト数はファッションブランドを中心に11件と過去最高で、取扱高は倍増した」
――同事業の強みは。
「システムが『マガシーク』とは独立しているため融通がきく。システム連携によって他のモールでも販売できる部分は強みになる。当社に在庫を預けてもらえれば、『マガシーク』と『dファッション』はもちろん、丸井さんや三越伊勢丹さん、阪急阪神百貨店さん、近鉄百貨店さんなど複数サイトで販売できる」
――取引先ニーズの変化は。
「自社ECと実店舗のポイント連携や会員連携はニーズが高い。自社ECを伸ばすにはお店との併用客を増やすことが近道で、店舗との連携施策が有効だ」
――倉庫の増床は。
「元々、神奈川県座間市に約2万平方メートルの倉庫を持つが、昨年9月に外部パートナーと組んで座間市の南にある綾瀬市に約8000平方メートルの倉庫を借り、第2倉庫として利用している。第2倉庫は拡張でき、今期中に6600平方メートル~1万平方メートル規模で増床したい」
――サイト内の新しい取り組みなどは。
「AI画像検索機能を『マガシーク』アプリや『dファッション』に導入した。当初は自分で写真を撮るというアクションが必要で、なかなか使ってもらえなかったため、『dファッション』では商品詳細ページの写真の右下部分に『似た商品を探す』というボタンを配置して、これをクリックすると似たアイテムがたくさん表示されるようにした。利用率も相当上がっているし、購入にもつながっている。今後は『マガシーク』アプリでも取り組みたい」
――今期は320億円の取扱高を計画する。
「両サイトを伸ばすが、引き続き『dファッション』がけん引役になる。今期は『マガシーク』の取扱高を『dファッション』が上回る可能性が高い。EC支援事業も伸ばす計画で、利益面への貢献も期待している」
――服でも越境ECの機運が高まっている。
「中国などに越境ECで売っていくタイミングがきつつある。そろそろファッションがくる機運も感じる。時間とお金をあまりかけずに結果が出るスキームを考えたい」
――今期の重点テーマなどは。
「ドコモと連携して5GやAIなどテクノロジーを使ったショッピングサイト作りをしていきたい。ドコモは4月に米マジックリープ社に出資することで合意していて、マジックリープ社のウエアラブル端末を使用できる。当社も端末を活用したコンテンツの制作などで期待されている」(おわり)