国民生活センターは8月1日、サプリメントの品質に関する実態調査を公表した。調査した100商品のうち、42商品が医薬品で求められる規定時間内に崩壊しなかった。ただ、そもそも健康食品には、崩壊性の基準はない。国センも「必ずしも品質が悪いということではない」としつつ、消費者に分かりやすい情報提供を求めた。結果を受け、国内でGMP認証を行う2団体とも崩壊性試験を義務化する方針を固めている。
国センが行った消費者調査では、74%が錠剤・カプセル状の健食が厳格に製造され、品質が安定しているとの認識を持っていた。一方、飲む頻度の高い健食を聞いた設問では、8%の消費者が医薬品名を記載。「医薬品との区別があいまい」(国セン)とする。
PIO―NETに寄せられた健食の品質をめぐる相談も増加傾向にある。2015年まで2000件前後で推移していたが、16年を境に増加。最近は年間3500件以上で推移する。
国センの調査では、100商品のうち、42商品が医薬品で求められる規定時間内(=
表(下))に崩壊しなかった。ただ、健食に崩壊性の基準はない。商品設計からあえて崩壊速度を送らせた商品も考えられる。このため、国センも、品質面の問題提起は避け、「外見上、医薬品と誤認されやすいが、医薬品並みの品質管理は行われていない。消費者に品質の問題が目に見えて分からないことが問題」と、事業者に情報提供の充実を求めた。
国センは、消費者庁と厚生労働省、業界団体に品質向上に向けた取り組みを要望。結果を受け、GMP認証を行う日本健康・栄養食品協会は、GMPに崩壊性試験を義務づけることを決めた。同じく認証を行う日本健康食品協会(=JIHFS)も義務化する方向で検討。「今月内に行うGMP審査会で決定する」とした。
ただ、サプリメントに崩壊性の基準を定めていくことには慎重な姿勢をみせる。崩壊性の基準は、海外でも医薬品のみ定められている。「事業者が商品設計、配合成分を踏まえ自ら定めるほかない」(JIHFS)とする。
崩壊性試験は、外部機関に委託した場合も1検体あたり8000円~1万円ほどで実施できる。ただ、GMPの中で要求することになれば、製造1ロットごとの確認が必要になる。商品数が増えればそれだけコストも増加する。「GMP製造工場は、崩壊性試験を行う専用機器を導入してもらう必要がある」(業界団体関係者)としている。
消費者庁は、「健食は範疇になく、保健機能食品は一定のルールで製造されている。従前からの適切な運用に努め、直ちに何か行うことはない」(食品表示企画課)、厚労省は「内容を精査した上で必要があれば検討する」(新開発食品保健対策室)としている。
調査は、多くの消費者が摂取すると考えられる10成分(マルチビタミン、GABA、黒酢・香醋、コエンザイムQ10、酵素、HMB,ルテイン、乳酸菌、グルコサミン、DHA・EPA)を含む商品各10銘柄を調べた(栄養機能食品21銘柄、機能性表示食品11銘柄を含む)。
調査では、50商品のうち、2商品で表示量と成分含有量に大きなかい離があった。機能性表示食品で、表示量を下回る商品はなかった。
また、健食では銘柄間で、1日の最大摂取目安量中の成分含有量に幅があった。とくにGABAやルテインは差が大きく、GABAは最も少ない商品と多い商品で約15倍、ルテインで同約27倍の開きがあった。
情報提供の充実求める、「自分に合っているか分からない」6割
<国センの消費者調査>
国民生活センターが、全国の消費者を対象に行った健康食品の利用実態調査(有効回答約1万件)では、機能性表示食品の品質の高さも明らかになった。商品で含有する成分量に大きなばらつきのある健康食品に比べ、機能性表示食品は、表示量を下回る商品はなかった。トクホや栄養機能食品、機能性表示食品など健食の制度に対する認知は、いずれも8割を超えた。一方、自分に合っている商品か「分からない」という回答も約6割。情報提供の面で課題を残した。
利用頻度の高い健食の摂取理由は、「栄養補給」が25%を占め最も高かった。一方、「病気の治療・緩和のため」といった回答も20%あった。このほか、「疲労回復」(13%)、「ダイエット」(10%)、「エイジングケア、老化予防」(8%)といったものがあった。
直近1年以内で飲んでいる健食にうたわれていた機能も「足りない栄養素の補給をうたう商品(ビタミン・ミネラル類)」が66%。以下、「疲労回復」(32%)、「抗加齢」(同)、「ダイエット」(22%)、「目の健康」(17%)、「おなかの健康」(15%)、「関節、筋肉、骨の強化」(12%)などと続いた。
健食の表示制度の認知は、いずれも8割を超えたが、GMPを「知っている(内容まで、名前のみを含む)」は27%にとどまっていた。
機能性表示食品11商品で、表示量を配合量が下回ったものはなかった。一方、10商品は、機能性の評価方法や摂取期間に関する記載がなかった。
アレルギーに関する表示は全商品とも食品表示法に沿って記載されていた。一方、品質に関する記載は、GMPマークやGMPの製造工場で製造されている旨の記載は100商品中3商品のみ。6割の商品は、販売サイトでその旨を記載していた。
国センが行った消費者調査では、74%が錠剤・カプセル状の健食が厳格に製造され、品質が安定しているとの認識を持っていた。一方、飲む頻度の高い健食を聞いた設問では、8%の消費者が医薬品名を記載。「医薬品との区別があいまい」(国セン)とする。
PIO―NETに寄せられた健食の品質をめぐる相談も増加傾向にある。2015年まで2000件前後で推移していたが、16年を境に増加。最近は年間3500件以上で推移する。
国センの調査では、100商品のうち、42商品が医薬品で求められる規定時間内(=表(下))に崩壊しなかった。ただ、健食に崩壊性の基準はない。商品設計からあえて崩壊速度を送らせた商品も考えられる。このため、国センも、品質面の問題提起は避け、「外見上、医薬品と誤認されやすいが、医薬品並みの品質管理は行われていない。消費者に品質の問題が目に見えて分からないことが問題」と、事業者に情報提供の充実を求めた。
国センは、消費者庁と厚生労働省、業界団体に品質向上に向けた取り組みを要望。結果を受け、GMP認証を行う日本健康・栄養食品協会は、GMPに崩壊性試験を義務づけることを決めた。同じく認証を行う日本健康食品協会(=JIHFS)も義務化する方向で検討。「今月内に行うGMP審査会で決定する」とした。
ただ、サプリメントに崩壊性の基準を定めていくことには慎重な姿勢をみせる。崩壊性の基準は、海外でも医薬品のみ定められている。「事業者が商品設計、配合成分を踏まえ自ら定めるほかない」(JIHFS)とする。
崩壊性試験は、外部機関に委託した場合も1検体あたり8000円~1万円ほどで実施できる。ただ、GMPの中で要求することになれば、製造1ロットごとの確認が必要になる。商品数が増えればそれだけコストも増加する。「GMP製造工場は、崩壊性試験を行う専用機器を導入してもらう必要がある」(業界団体関係者)としている。
消費者庁は、「健食は範疇になく、保健機能食品は一定のルールで製造されている。従前からの適切な運用に努め、直ちに何か行うことはない」(食品表示企画課)、厚労省は「内容を精査した上で必要があれば検討する」(新開発食品保健対策室)としている。
調査は、多くの消費者が摂取すると考えられる10成分(マルチビタミン、GABA、黒酢・香醋、コエンザイムQ10、酵素、HMB,ルテイン、乳酸菌、グルコサミン、DHA・EPA)を含む商品各10銘柄を調べた(栄養機能食品21銘柄、機能性表示食品11銘柄を含む)。
調査では、50商品のうち、2商品で表示量と成分含有量に大きなかい離があった。機能性表示食品で、表示量を下回る商品はなかった。
また、健食では銘柄間で、1日の最大摂取目安量中の成分含有量に幅があった。とくにGABAやルテインは差が大きく、GABAは最も少ない商品と多い商品で約15倍、ルテインで同約27倍の開きがあった。
情報提供の充実求める、「自分に合っているか分からない」6割
<国センの消費者調査>
国民生活センターが、全国の消費者を対象に行った健康食品の利用実態調査(有効回答約1万件)では、機能性表示食品の品質の高さも明らかになった。商品で含有する成分量に大きなばらつきのある健康食品に比べ、機能性表示食品は、表示量を下回る商品はなかった。トクホや栄養機能食品、機能性表示食品など健食の制度に対する認知は、いずれも8割を超えた。一方、自分に合っている商品か「分からない」という回答も約6割。情報提供の面で課題を残した。
利用頻度の高い健食の摂取理由は、「栄養補給」が25%を占め最も高かった。一方、「病気の治療・緩和のため」といった回答も20%あった。このほか、「疲労回復」(13%)、「ダイエット」(10%)、「エイジングケア、老化予防」(8%)といったものがあった。
直近1年以内で飲んでいる健食にうたわれていた機能も「足りない栄養素の補給をうたう商品(ビタミン・ミネラル類)」が66%。以下、「疲労回復」(32%)、「抗加齢」(同)、「ダイエット」(22%)、「目の健康」(17%)、「おなかの健康」(15%)、「関節、筋肉、骨の強化」(12%)などと続いた。
健食の表示制度の認知は、いずれも8割を超えたが、GMPを「知っている(内容まで、名前のみを含む)」は27%にとどまっていた。
機能性表示食品11商品で、表示量を配合量が下回ったものはなかった。一方、10商品は、機能性の評価方法や摂取期間に関する記載がなかった。
アレルギーに関する表示は全商品とも食品表示法に沿って記載されていた。一方、品質に関する記載は、GMPマークやGMPの製造工場で製造されている旨の記載は100商品中3商品のみ。6割の商品は、販売サイトでその旨を記載していた。