前号に引き続き、ユナイテッドアローズ(UA)の佐川八洋上席執行役員にオムニ戦略などを聞いた。
――自社ECの運営体制変更でコスト面は。
「全体的にコストは下がると思っている。現状、運営委託費は変動費で、売り上げが大きくなっても変動比率は変わらないため、当社の利益率も変わらない。内製化するとシステムなど固定費の部分が増え、利益が出やすくなる。店舗試着予約の件数が増えても、物流センターから各店への商品配送を毎日行っており、その便に載せられる」
――刷新後の自社通販サイトの見せ方は。
「これまではゾゾさんのフォーマットから逸脱できなかったが、今後はやりたかったサイトの見せ方に変える。表示速度やサイト導線の利便性も大きく改善する。また、課題の多いスマホアプリも最先端のものに改修する。これまで、初めて当社のハウスカードを受け取ったお客様が本登録をするのは手間がかかったが、アプリであればハードルが低く、本登録率は上がる。今後はアプリファーストでサービス設計していく。自社ECの刷新とアプリの改修は今秋を予定していて、秋物の実売期前にはスタートしたい」
――オムニサービスの充実で店舗販売員の業務は増えそうだ。
「お店の業務手順は変わっていくだろう。その辺りの習熟には時間をかけてレクチャーしていく。お客様の便利さをお店のスタッフが実感してはじめてオムニサービスは定着する。稼働後1年くらいかけて定着させたい」
――ECの役割は。
「自社ECはお客様が空いている時間に見てもらい、良い商品を発見する場になる。当社の商品群は比較的にスペックが細かいものが多いため、ネットで見てすぐに買うというよりは、来店という行為につながると思う。お客様は商品に興味を持った状態で来店され、販売員もその前提での接客がスタートとなり、お客様にとって一番いい形で最終購買判断に導くようなオペレーションが必要になる。ECはどうしても単品訴求型で、コーディネートするのは販売スタッフの得意領域だ。最終的にお店で買うか、ネットで買うかはお客様が決めることだ」
――店頭接客のあり方も変わる。
「段階を踏んでということになるが、お客様がオンラインストアで商品をチェックしたり、カートに入れるといったサイト内行動のデータをお店のスタッフが分かるようにしたい。来店時にお客様の興味を分かった上で接客に臨めればいい。高度なスキルを持つ販売員であればできるが、当社の店頭販売員の約6割が入社3年以内で、熟練販売員のスキルには追いつけない。未熟な部分をテクノロジーで補完すれば、それぞれのお客様にマッチした会話ができる。来店されたお客様の顧客IDを自動的に取得するまでは一気にできないため、まずはハウスカードを提示してもらうなどアナログな対応からスタートすることになるだろう」
――欠品対策は。
「計画よりも売れている商品は期中に在庫を積み増している。市場規模が大きい夏物や冬物はやりやすく、縦積みすればECで売り上げを大きく伸ばせる。お店の買い上げ率は5~6%程度だが、時間的にも物理的にも制約のないECとの連携を深めることで、(店とECの)グロスで買い上げ率は上がると思う。EC上のレコメンドやメルマガなどの手段を用いて販促の効果も高まる。当社は国内にお店が300店くらいしかなく、ECと食い合うこともない」
――今期のEC成長率は7・6%と控えめだ。
「自社ECの立て付けを完全に変える。既存の会員IDやサイトドメインは変わらないし、キャンペーンなども予定しているが、切り替え時に多少の混乱は覚悟している。今後は自社ECで伸ばしていきたい。EC全体の成長率は7・6%に設定しているが、引き続き2ケタ増をターゲットに据えている」
――外部ECモールの活用については。
「ゾゾさん経由の売り上げも維持、拡大していきたい。外部ECモールは当社ブランドを知らない消費者との接点として大事だ。モール経由で自社ECや店頭への来店のきっかけにもなればいい。ただ、実店舗の商業施設はテナントの価格戦略の意向に準拠してくれるが、ECモールは価格訴求型が多く、アパレル業界全体としても悩ましいところだ」(おわり)
――自社ECの運営体制変更でコスト面は。
「全体的にコストは下がると思っている。現状、運営委託費は変動費で、売り上げが大きくなっても変動比率は変わらないため、当社の利益率も変わらない。内製化するとシステムなど固定費の部分が増え、利益が出やすくなる。店舗試着予約の件数が増えても、物流センターから各店への商品配送を毎日行っており、その便に載せられる」
――刷新後の自社通販サイトの見せ方は。
「これまではゾゾさんのフォーマットから逸脱できなかったが、今後はやりたかったサイトの見せ方に変える。表示速度やサイト導線の利便性も大きく改善する。また、課題の多いスマホアプリも最先端のものに改修する。これまで、初めて当社のハウスカードを受け取ったお客様が本登録をするのは手間がかかったが、アプリであればハードルが低く、本登録率は上がる。今後はアプリファーストでサービス設計していく。自社ECの刷新とアプリの改修は今秋を予定していて、秋物の実売期前にはスタートしたい」
――オムニサービスの充実で店舗販売員の業務は増えそうだ。
「お店の業務手順は変わっていくだろう。その辺りの習熟には時間をかけてレクチャーしていく。お客様の便利さをお店のスタッフが実感してはじめてオムニサービスは定着する。稼働後1年くらいかけて定着させたい」
――ECの役割は。
「自社ECはお客様が空いている時間に見てもらい、良い商品を発見する場になる。当社の商品群は比較的にスペックが細かいものが多いため、ネットで見てすぐに買うというよりは、来店という行為につながると思う。お客様は商品に興味を持った状態で来店され、販売員もその前提での接客がスタートとなり、お客様にとって一番いい形で最終購買判断に導くようなオペレーションが必要になる。ECはどうしても単品訴求型で、コーディネートするのは販売スタッフの得意領域だ。最終的にお店で買うか、ネットで買うかはお客様が決めることだ」
――店頭接客のあり方も変わる。
「段階を踏んでということになるが、お客様がオンラインストアで商品をチェックしたり、カートに入れるといったサイト内行動のデータをお店のスタッフが分かるようにしたい。来店時にお客様の興味を分かった上で接客に臨めればいい。高度なスキルを持つ販売員であればできるが、当社の店頭販売員の約6割が入社3年以内で、熟練販売員のスキルには追いつけない。未熟な部分をテクノロジーで補完すれば、それぞれのお客様にマッチした会話ができる。来店されたお客様の顧客IDを自動的に取得するまでは一気にできないため、まずはハウスカードを提示してもらうなどアナログな対応からスタートすることになるだろう」
――欠品対策は。
「計画よりも売れている商品は期中に在庫を積み増している。市場規模が大きい夏物や冬物はやりやすく、縦積みすればECで売り上げを大きく伸ばせる。お店の買い上げ率は5~6%程度だが、時間的にも物理的にも制約のないECとの連携を深めることで、(店とECの)グロスで買い上げ率は上がると思う。EC上のレコメンドやメルマガなどの手段を用いて販促の効果も高まる。当社は国内にお店が300店くらいしかなく、ECと食い合うこともない」
――今期のEC成長率は7・6%と控えめだ。
「自社ECの立て付けを完全に変える。既存の会員IDやサイトドメインは変わらないし、キャンペーンなども予定しているが、切り替え時に多少の混乱は覚悟している。今後は自社ECで伸ばしていきたい。EC全体の成長率は7・6%に設定しているが、引き続き2ケタ増をターゲットに据えている」
――外部ECモールの活用については。
「ゾゾさん経由の売り上げも維持、拡大していきたい。外部ECモールは当社ブランドを知らない消費者との接点として大事だ。モール経由で自社ECや店頭への来店のきっかけにもなればいい。ただ、実店舗の商業施設はテナントの価格戦略の意向に準拠してくれるが、ECモールは価格訴求型が多く、アパレル業界全体としても悩ましいところだ」(おわり)