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アスクル 飲料の“バラ買い”優遇、送料見直しケース品抑制 配送費削減へ

2019年 7月12日 13:16

 アスクルは運営する日用品通販サイト「ロハコ」で販売する飲料の送料体系を見直す。7月2日からこれまでケース販売する飲料に対し、配送時に徴収していた特別配送料を撤廃し、同時に新たなサービスとして、対象品の飲料について従来より売価を値下げし、かつ1回の注文品の総重量が18キログラム以内であれば別途の配送料も徴収しない”飲料のバラ売り”を促す「ひと箱eco」をスタートした。重量があり配送コストが高く、利益の薄い飲料について、なるべく1箱での出荷にまとめ、上昇が続く配送費を抑制したい狙い。
 
 アスクルでは大手配送業者による荷主への配送運賃の値上げ要請などから端を発した配送コストの上昇などを受けて、17年10月から、「ロハコ」で販売する飲料のうち、900ミリリットル以上のメーカー箱入り商品、いわゆるケース品を対象に、通常の送料に加えて、特別配送料として1つにつき、税込350円の徴収を始めていたが、7月2日からこれを撤廃。ケース品に特別配送料は徴収しない代わりに売価自体を値上げした。一方で同日から新たに「ひと箱eco」と呼ばれる仕組みを導入。水や茶などの飲料を対象に、1回のあたりの注文重量に応じて飲料配送手数料を徴収するものだが、18キログラム以内であれば手数料は徴収しない(※18~28キログラムまでは324円、28~38キログラムまで648円を徴収)。対象の飲料の商品詳細ページには「ひと箱eco」の対象であると明示され、重量による手数料などが表示される仕組み。対象商品については売価も値下げ。商品によって値下げ幅は異なるものの「(1本あたりの売価は)これまでコンビニ価格だったものが、スーパー価格になったイメージ」(同社)という。これにより、飲料においてケース品での販売ではなく、配送効率のよい”バラ買い”に顧客の購入を誘導していきたい狙いがあるようだ。

 商品配送を委託する配送業者からの運賃の値上げを受け、上昇する配送コストの抑制のため、同社では一受注当たりの出荷を極力、段ボール1箱にまとめたい意向だが、飲料のケース販売の場合、当該商品だけで1箱分の出荷となってしまい、かつ、重量があり運賃は高いが利益が薄く、”売れば売るほど赤字”となってしまう状況となっている模様で、飲料のケース販売自体を減らしたいよう。そのため、ケース品を値上げする一方で、「ひと箱eco」対象商品の飲料を値下げすることで、かつ手数料がかからない重量を18キログラム以内に設定することで飲料の購入を”バラ買い”に誘導し、飲料の出荷を1箱にまとめたい考えのようだ。

 利益の出ないケース品販売を抑制する一方で、顧客のまとめ買いのニーズもある程度、満たしつつ一出荷あたりの売り上げを上げ、配送効率を高めたい同社にとって、今回の試みは1つの”最適解”と言えそうだが、一方で、「重い飲料を通販でケースでまとめて購入したい」という顧客からのニーズは依然高いはずで、今回、そうしたケース品を値上げしたこと。また、「ひと箱eco」で、例えば手数料が無料となる18キログラム以内の組み合わせとして、異なる商品であれば基本的に重量制限の上限まで手数料なしでかつ価格も優遇されて購入できるが、同一商品の場合は対象外として、価格の高いケース品として扱われること。一方でケース品であっても「ひと箱eco」の対象品である場合もあるなど設定がわかりにくい側面があり、顧客の混乱を招く恐れもありそうだ。今後、同社では顧客の反応などを見ながら見直しなども進めていく考えのようだ。

 
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