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集客施策だけじゃない! 人気ショップの育て方おしえます【第2回】

2019年 5月25日 00:00

Webサイト育成で見事売上UPが成功した事例をご紹介~食材・食品を取り扱うネットショップの事例~

 人気ショップの育て方について提案する連載、第2回目は「Webサイト育成」という手法で実際にWebサイトの売上アップに成功したネットショップの事例を紹介します。売上UPのための施策がわからない、集客施策以外の施策を実施したことがないという方々のWebサイト改善にも活かせる事例です。ぜひ参考にしてください。
 
 今回紹介するのは、鰹節・だしの通販をしている老舗メーカー、株式会社にんべん様(以降:にんべんサイト)でのWebサイト育成事例です。にんべんサイトは、私たちがご支援する前からいくつかの企業が集客や戦略実施のコンサルティングなどで関わりを持ち、サイト運営が行われていました。しかしながら、企業様として「色々やっているが効果が出ない」と大きく悩んでいた状況でした。現在もサイト育成パートナーとしてご支援していますが、にんべんサイトでどのようにサイト育成をしたのか、順を追って紹介していきます。


◎まずは、サイトの不満要素を徹底的にヒアリング
 
 私たちがWebサイトを改善するにあたり最初にすることは、企業が今のWebサイトに対して感じていることや不満などの徹底的なヒアリングです。例えば「デザインが古い」「この箇所が使いにくい」「お客様にはこんなサービスを提供したい」「もっとこの商品をアピールしたい」など大小関わらず、Webサイトに関わる不満を吐き出してもらいます。


 なぜなら、そこには企業の悩みという枠を超えた“サイトの根本的な問題点”が含まれていることが多いからです。にんべんサイトはその悩みがとても顕著かつ具体的でした。上記に挙げたような理想的なサイト像のほか、「○○という機能を設計して実装したが、思った通りに動いていない」というものや「お客様に対して効果的なイベントやキャンペーンを発信できていない」など、運営上でのルールを見直せば具体的に改善できそうな内容が多くありました。

 このようにサイトが持つ悩みを把握し、整理する。そして、そのために各自ができる対応を明確にすることがサイト育成の最初のステップです。

◎「アクセス解析」で現状サイトの数値を棚卸し
 
 Webサイトに関する数多くの不満を洗い出した後は、実際にサイトの現状を把握することに努めます。サイトの現状とは、売上やアクセスデータなどの数値データが一番わかりやすいでしょう。

サイト育成の流れは「問題点の洗い出し」と「現状の把握」、そして「改善施策の仮説立案」「施策実施」の順番で取り組むのがベストです。

 問題点と現状の数値を比較することで、弱点が顕著になります。例えば「集客にお金をたくさん使っているが、売上が伸びない」という問題点が挙がった場合、確認すべき現状は「どれだけの人を集客できていて、いくら売れているのか」という数字です。
 10万円を使い、1000人の集客があり、50件の受注がある場合、それが企業にとって費用対効果が良いかどうかを判断します。[CPOの計算式:10万円(広告費)÷50件(受注件数)=2,000円(CPO)これが企業にとって費用対効果が良いのか判断する] 

 このように、問題点と現在の売上やKPI(目標達成における重要指標)と照らし合わせてみましょう。自ずとWebサイトの弱点が見えてくると思います。よく挙がるのは、「費用対効果が悪い」「売りたい商品が売れない」「手間ばかりかかるが売上に繋がらない」などやっていることが直結していないという問題です。

 一方で、それらの現状を照らし合わせると、集客はあるが直帰している人が多い、売りたい商品ページが全然見られていない、手間をかけている作業が売上に繋がっていない、などが具体的な数値で見えてくるはずです。

◎仮説と施策実行、そして効果検証へ
 
 では、実際にヒアリング後の問題点の洗い出しから施策実施、効果検証に至るまでの流れについて、にんべんサイトで実際に行った事例を紹介します。 

 
 ヒアリングの結果、集客が問題ではなく、サイトに訪問した後に問題があることがわかり、私たちは、既存サイトのデザインに着目しました。ここに「直帰や離脱のきっかけ」となっている箇所があると仮説を立てたのです。


 例えば皆さんも、何かを探したり購入したいと思い検索エンジンにキーワードを入れ、検索上位に表示されたサイトに訪問した際、「このサイトは探していたサイトではないな」と瞬時に判断し、1ページだけ見て出て行った経験はありませんか。それが「直帰」です。この1ページだけを見て出て行く人をなくすことができれば、集客数を増やさずとも、興味を持ってくれる人が増えるということになります。いわば「サイトの第一印象を良くすること」が直帰率を改善できる施策のひとつです。お客様がどんな気持ちで訪問し、そしてどんなサイトを見ているのか、それを調べて改善しました。

 下の画像が私たちがご支援する前の画像、そして下が6ヶ月ほど改善したサイトです。グランドナビゲーションの内容を変更したり、ヘッダーに情報を整頓して並べたりしています。これらが「改善施策」として、効果を生みます。サイトを見て頂くともっとわかると思うのでご確認ください。

Before


After



◎地道な改善施策と効果検証が成功への近道
 
 にんべんサイトでは、このデザイン改善施策だけを毎月行い1年ほどで、PVやUU、CVなどをはじめとする主要KPIは全て2~4倍以上という結果を生み出すことができました。[PV数:492.3%、CV数:388.3%、売上:238.4%] 


 課題を浮き彫りにし、どうやって改善すべきか仮説を立て、ひとつずつ改善する。すると数値に変化が訪れる。その積み重ねにより、ほぼすべてのKPIにおいて前年を上回る結果を出すことができました。
 
 サイトの見た目やイメージの変化は小さいものですが、1年も経つとリニューアルに匹敵する作業量となります。それ以上に、自信になるのが毎月明らかに変化する数字です。最初は直帰率が改善し、次に閲覧ページビュー数が伸び、売りたい商品が売れてくる。一つひとつの施策が“当たった”と感じられたとき、サイト育成は成功していると思って良いです。面白いことにギャンブルのような施策ではなくデータに基づいた改善施策は、効果が上がる根拠があるため、1度改善すると集客以外のKPIはほとんど悪くなることがないという点もサイト育成の魅力です。皆さんも是非、効果アップの共通言語として「サイト育成」を実施して頂きたいと思う理由がここにあります。

 
 下の画像は、改善のためのワイヤーフレームです。パーツ使いするときは、具体的にどこにどんなものを入れるかイメージしてデザイナーに伝えるなどをしましょう。


【改善施策のワイヤーフレーム】



 
 改善施策は何も大掛かりな変化をさせるというわけではありません。問題は見た目ではなく、今あるサイトの弱点を見極めることにあります。小さな施策の積み重ねがWebサイトの強化に繋がっていくと考え構えず実行しましょう。今まで自社のWebサイト運営がうまくいかずに悩んでいた、いっそのことリニューアルすべきではと考えていたという人は、ぜひ一度、「サイト育成」という視点で問題解決に臨むことをおすすめします。

 
 今回は、食材・食品のネットショップの成功事例でしたが、次回は、ニッチな商品をランディングページ型のネットショップで取り扱うショップの事例を紹介予定です。扱うブランドや商材が変わることで、施策にも変化が求められます。お客様の数だけサイト育成の方法が異なる、そんなこともお伝えできればと思っております。ぜひ、次回もお楽しみに!


集客施策だけじゃない!人気ショップの育て方おしえます(週刊通販新聞姉妹紙の「月刊ネット販売」で連載中)
第1回目「リニューアルしたのに売上があがらない?大切なこと忘れていませんか?」はこちら


著者プロフィール
谷脇しのぶ
株式会社ヘノブファクトリー代表取締役|Webコンサルタント。1974年生まれ。転職情報サイト「@type」を運営するキャリアデザインセンターにて、Webマーケティングに従事した後、デザイン事務所でディレクション経験を積み、2004年にヘノブファクトリーを創業。2006年に法人化。広告代理店とタッグを組んでウェブ制作をプランニングから行いながら数多くのサイトを構築する中、自社メディアで年商1億円を達成。2011年にはこれら自社メディア運営のノウハウを活かし、webサイトの効果アップを支援する「ウェブお手伝いさん事業」をスタートさせる。現在は10数名で30社以上のウェブ育成支援を行うなど、ウェブサイト育成のスペシャリスト集団として活動の幅を広げる。「失敗しないウェブ立ち上げ勉強会」「ランディングページで収益化セミナー」など、現場レベルのノウハウを教えるセミナーが人気。プライベートは1児の母。自身の経験を活かし、ママのIT化を支援できるよう、支援事業を拡大するとともに、自身も様々なセミナーやイベントで講師を行い、働く女性にウェブの活用方法を伝え、女性が働きやすい環境づくりに挑戦し続けている。

 
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