通販専門放送を行うジュピターショップチャンネル(JSC)の2019年3月期の業績は前年の売上高の1600億円を割り込み減収に、また、減収にともなう利益減や4K放送関連の投資増で減益で着地した。減収は22年前の創業以来、初めて。今年4月1日から新たに社長に就任し、同社の舵取りを担うことになった新森健之社長に前期の振り返りと今後について聞いた。
――前期(2019年3月)の業績は。
「売上高は前年比2・3%減の1592億8500万円、営業利益は同10・5%減の247億8000万円、当期純利益は同7・4%減の177億5800万円と減収減益だった」
――創業来、ずっと増収を維持してきたが、初の前年割れとなった。
「色々と理由はあるが1つは上位顧客のお客様の購入頻度が伸び悩んだこともあると思う。創業20周年の記念の年となった2017年3月期は様々な特別番組や商品展開、また大規模なプロモーションを仕掛けるなどし、売上高および利益ともに2ケタ増と近年ない大幅な成長を遂げた。また、翌年の2018年3月期も前年の勢いのまま、成長を維持できた。ただ、その中で比較的、売り上げを確保できる単価が高くある意味で、売りやすい商品に多少、偏ってしまった部分もあり、その結果、当社の番組が好きで長くご愛顧頂き、購入頻度も高い上位のお客様がお求めになりたい商品、例えばファッションアイテムなどでご満足頂けない、期待から離れてしまうという事態になってしまっていた。これにより、年間の購入回数や客単価に影響が出た部分もあったと思う。もちろん、前期中もそれに気がついてファッション商品の強化に注力し、期の後半には盛り返し、特に3月には強い手ごたえも得たものの、通期では減収となってしまった」
――様々な販促策などを実施した17年と18年はある意味で特需的な要素もあったのではないか。
「そうだと思う。我々も様々な企画やお得な商品を色々と用意して臨んだし、お客様にもそれらが響いたのだと思う。ただ、『お祭り』は毎年できないわけで、その反動もあったと思う。そのため、上位顧客の買い回りにも影響が出たり、また、20周年のタイミングで本格化した特別編成番組の放送のタイミングで目玉商品を訴求する新聞広告やインフォマーシャルを合わせて出稿する販促手法についても、やはり繰り返せば効果は落ちてくるわけで、その結果、新規顧客の獲得にも少し陰りが見えたのではないか。
とはいえ、初の減収というと何か重大な危機のように思うかもしれないがあまり心配はしていない。確かにこれまで毎年、ずっと拡大を続けてきたが、どの業界でもそうだと思うが、ずっと一本調子の右肩上がりで成長し続けるということはありえない。人間の成長で見ても子供や学生の成長や変化は著しいが、中年に差し掛かってくれば、若いころよりは成長は簡単ではなくなる。会社も同じで、年月を重ね、ビジネスが拡大し、円熟してくれば成長の速度は鈍化してくるのは当然だ。この先も当社は色々な変化に対応しながら、お客様に心躍るモノやコト、気持ちを提供し、世の中に貢献して我々も成長を続けていきたいと考えている。その過程の中で、どこかで環境が変わるなどして減収になることも当然、出てくるだろうし、これから先もそういう局面が何度か出てくると思うが、それもいいのではないか。常に前年を上回る増収を、新規顧客獲得をなどとやっていては、変化に対応した様々な施策が打てなくなるからだ。それゆえに初の減収にはなったが大きな心配はしていない。今期からもしっかりと将来の成長に向けた戦略を打っていきたい」
――減収というダウントレンドはいつまで続くと見ているか。
「当然、今期以降は回復させていく方向性であることは間違いないが、長い目で見れば、短期的にどうというよりは、多少、しゃがんだとしても、もっと長期的なスパンで考えていくことが重要だ。まずは『原点回帰』してもう一度、よりいっそうお客様に支持される強固な基盤作りを昨年に引き続き進めていきたい」
――具体的には。
「1つは前期から実施してきたお客様に毎日、楽しんで喜んで見て頂ける商品、カテゴリで言えば特にファッションについてより強化していきたい。単価は例えば、家電などと比べると安価で増収という意味では他の商材を増やした方がよいのかも知れないが、ここはきちんと強化してきたい。また、引き続き、認知度向上策も進めていきたい。前期は3年ぶりに地上波でのテレビCMを放送したが、今期も続ける。すでに第2弾として5月にCMを関東と福岡のエリアで放送したが今後も費用対効果などを検証しながら続けていきたい。認知度はそれ自体がすぐに当社の業績アップにつながるというものではないが、当社を含めてテレビ通販事業者やEC事業者などがお互いに新規顧客獲得争いを繰り広げている中で、かつてよりも新客獲得の難易度は上がっている。当社としても当社に興味を持って頂ける層を作り、知って頂き、一度、購入頂きたいと思っているわけで長いスパンで考えて、CMを含めて、昨年から創刊したフリーペーパー『めききの扉』の新聞折り込みや交通広告なども継続してやっていきたい」
――前期(2019年3月)の業績は。
「売上高は前年比2・3%減の1592億8500万円、営業利益は同10・5%減の247億8000万円、当期純利益は同7・4%減の177億5800万円と減収減益だった」
――創業来、ずっと増収を維持してきたが、初の前年割れとなった。
「色々と理由はあるが1つは上位顧客のお客様の購入頻度が伸び悩んだこともあると思う。創業20周年の記念の年となった2017年3月期は様々な特別番組や商品展開、また大規模なプロモーションを仕掛けるなどし、売上高および利益ともに2ケタ増と近年ない大幅な成長を遂げた。また、翌年の2018年3月期も前年の勢いのまま、成長を維持できた。ただ、その中で比較的、売り上げを確保できる単価が高くある意味で、売りやすい商品に多少、偏ってしまった部分もあり、その結果、当社の番組が好きで長くご愛顧頂き、購入頻度も高い上位のお客様がお求めになりたい商品、例えばファッションアイテムなどでご満足頂けない、期待から離れてしまうという事態になってしまっていた。これにより、年間の購入回数や客単価に影響が出た部分もあったと思う。もちろん、前期中もそれに気がついてファッション商品の強化に注力し、期の後半には盛り返し、特に3月には強い手ごたえも得たものの、通期では減収となってしまった」
――様々な販促策などを実施した17年と18年はある意味で特需的な要素もあったのではないか。
「そうだと思う。我々も様々な企画やお得な商品を色々と用意して臨んだし、お客様にもそれらが響いたのだと思う。ただ、『お祭り』は毎年できないわけで、その反動もあったと思う。そのため、上位顧客の買い回りにも影響が出たり、また、20周年のタイミングで本格化した特別編成番組の放送のタイミングで目玉商品を訴求する新聞広告やインフォマーシャルを合わせて出稿する販促手法についても、やはり繰り返せば効果は落ちてくるわけで、その結果、新規顧客の獲得にも少し陰りが見えたのではないか。
とはいえ、初の減収というと何か重大な危機のように思うかもしれないがあまり心配はしていない。確かにこれまで毎年、ずっと拡大を続けてきたが、どの業界でもそうだと思うが、ずっと一本調子の右肩上がりで成長し続けるということはありえない。人間の成長で見ても子供や学生の成長や変化は著しいが、中年に差し掛かってくれば、若いころよりは成長は簡単ではなくなる。会社も同じで、年月を重ね、ビジネスが拡大し、円熟してくれば成長の速度は鈍化してくるのは当然だ。この先も当社は色々な変化に対応しながら、お客様に心躍るモノやコト、気持ちを提供し、世の中に貢献して我々も成長を続けていきたいと考えている。その過程の中で、どこかで環境が変わるなどして減収になることも当然、出てくるだろうし、これから先もそういう局面が何度か出てくると思うが、それもいいのではないか。常に前年を上回る増収を、新規顧客獲得をなどとやっていては、変化に対応した様々な施策が打てなくなるからだ。それゆえに初の減収にはなったが大きな心配はしていない。今期からもしっかりと将来の成長に向けた戦略を打っていきたい」
――減収というダウントレンドはいつまで続くと見ているか。
「当然、今期以降は回復させていく方向性であることは間違いないが、長い目で見れば、短期的にどうというよりは、多少、しゃがんだとしても、もっと長期的なスパンで考えていくことが重要だ。まずは『原点回帰』してもう一度、よりいっそうお客様に支持される強固な基盤作りを昨年に引き続き進めていきたい」
――具体的には。
「1つは前期から実施してきたお客様に毎日、楽しんで喜んで見て頂ける商品、カテゴリで言えば特にファッションについてより強化していきたい。単価は例えば、家電などと比べると安価で増収という意味では他の商材を増やした方がよいのかも知れないが、ここはきちんと強化してきたい。また、引き続き、認知度向上策も進めていきたい。前期は3年ぶりに地上波でのテレビCMを放送したが、今期も続ける。すでに第2弾として5月にCMを関東と福岡のエリアで放送したが今後も費用対効果などを検証しながら続けていきたい。認知度はそれ自体がすぐに当社の業績アップにつながるというものではないが、当社を含めてテレビ通販事業者やEC事業者などがお互いに新規顧客獲得争いを繰り広げている中で、かつてよりも新客獲得の難易度は上がっている。当社としても当社に興味を持って頂ける層を作り、知って頂き、一度、購入頂きたいと思っているわけで長いスパンで考えて、CMを含めて、昨年から創刊したフリーペーパー『めききの扉』の新聞折り込みや交通広告なども継続してやっていきたい」