顧客ロイヤリティを高める共感型CRM
こんにちは。通販事業の総合支援を行っている「株式会社プランクトンR」代表の、大久保悠祐です。前回のコラムでは、インサイト型クリエイティブの実例とともに、オフライン広告とオンライン広告で考慮したいポイントをご紹介しました。今回は、広告の成果によってお付き合いが生まれたお客様と、長期的な関係を構築するCRM(顧客関係管理)の重要性をお伝えいたします。ぜひ続きをご覧ください。
共感型CRM① 納得感を醸成する「引き上げCRM」
競合との熾烈な争いの中でビジネスに効率的な利益をもたらす一番の近道となるのがCRMです。ですが、ただそのシステムを導入するだけでは不十分。お客様の気持ちを適切に汲み取り、プロセスも含めしっかりと設計することが大切です。そのためにはまず、お客様に製品の正しい使い方を伝え、正当な製品評価から最大限の納
得を引き出す「引き上げCRM」から取り組みましょう。
事例を挙げてご説明します。例えばここに「毎日1本の摂取を続けることで、2週間程度で効果を実感する人が7割に達する」という製品があり、2週間分のトライアルで広告出稿を行ったとしましょう。
申し込んでいただいたお客様は当然、製品への期待感が高まっている状態ですが、可能性として届いた製品の正しい飲み方を理解できていないことも考えられます。これでは製品本来の実力を実感できず、さらにその誤解が口コミやSNS等で拡散されてしまうと製品の評価を無用に損ないかねません。また、いずれは初めて実感した際の感動を忘れる瞬間が来ますから、体験を再び想起させるよう効果をリマインドし続けることも大切です。
こうした顧客思考を踏まえ、どのようなアプローチが効果的かを整理した、「引き上げCRM」のフローを右に記します。
大切なポイントは、その時々の状況を想定した対策を先回りして行うことです。また、広告ならびに製品によって訴求点は異なるわけですから、コミュニケーションの内容はもちろん、タイミングも、その特性に沿って組み立てなくてはなりません。上記の例では、広告で訴求した「毎日1本継続摂取する」こと、そして「約2週間後という最大限に効果を実感できるタイミングで反応を引き出す」ことを意識して設計しています。以下にどの製品にもある程度共通する、コミュニケーションのポイントを記載します。ぜひ参考にしてみてください。
「引き上げCRM」でのコンタクトポイント
•製品を手に取った際の第一印象
•使った翌日~数日後の実感
•はっきりと自覚できる効果
•第三者から見た際の変化 など
このピースがカチッとはまれば、お客様に満足感をしっかりと与え、「引き上げCRM」の次の段階である「継続CRM」へと移行する原動力に直結します。ぜひ手間を惜しむことなく、製品特性に合わせたフレームを考えてみましょう。
共感型CRM② 関係性をより深める「継続CRM」
「引き上げCRM」によって、お客様は十分に製品理解と継続意向が高まり、定期的な購買へとつながったとしましょう。この先の目標は、継続するお客様を飽きさせないことになります。
これまでの積み重ねにより、お客様は製品へ確かな信頼感を抱いているはずですから、より広域なアプローチも受け入れられる土台ができています。つまり、製品だけではなく、製品を取り巻く企業やブランドなどを主体としたコミュニケーションにより、関係性をさらに太く強いものへと進化させられるのです。
では、コミュニケーションはどのように行っていくべきなのでしょうか。代表的なものとして多くの企業でも配信している会報誌が挙げられます。内容は、キャンペーン情報や新商品情報などの販売促進をはじめ、開発者が製品を語る裏話的なもの、実際の愛用者をモデルに生の声を紹介するもの、中には読者から寄せられた川柳コーナーなど、親近感を抱かせる様々な企画があります。
これらは、予算をかけて大きな企画を立てるのも方法の一つですが、アイデア次第でリソース以上の成果を得ることができます。次にその実例をご紹介しましょう。
右記は弊社の事業部長である川部が開発した、「折り折りのお手紙」というCRMツールです。その時々(=折々)の健康に役立つ情報や、こだわりの素材をお伝えするのが表面の役割。そして裏面には、千代紙の図柄などがプリントされており、読み終えた後は折り紙としても楽しめるという作りにしています。実際に、このツールが楽しみで続けているというお客様も多くいらっしゃり、中にはお孫様向けにもう1セット欲しいとの依頼もあったとのことでした。
このように、コンテンツには直接関係のない要素でも、お客様を引き付ける工夫は可能です。「継続CRM」ではアイデアの幅を狭めず、さまざまな角度からアプローチを行うことで、結果的に製品を愛していただける関係を構築できるのです。
顧客に対する共感こそがCRM成功の近道に
ビジネスの収益性に深く関わるリピート通販。CRMはその核となる要素であり、中でも「引き上げCRM」と「継続CRM」を最適化することが重要です。改めて、この2つの役割と流れを整理した浸透モデルを明記しますので、ぜひここで理解を深めていってください。
最後に、CRMの目的とはレスポンスや売上の最大化ではなく、お客様に製品の正しい使用法をお伝えし、最大限の納得を実感として引き出し、そして製品およびブランドを好きになっていただくことにあります。そのためには、成功事例の真似や一方的に製品力を訴求するのではなく、あくまでも顧客目線で考えを巡らし、親切丁寧にフォローアップをすることが求められるのです。外形ではなく本質を見定めながら、扱う製品やサービスの良さをどう伝えていくか、どんなアプローチをすれば喜んでくれるか、意識しながら形にしていけば、お客様と企業との幸せな関係性を築けるはずです。
「共感の時代のダイレクトマーケティング・クリエイティブ」の全連載(全4回)
第1回目は
こちら
第2回目は
こちら
第4回目は
こちら
著者プロフィール
大久保悠祐(おおくぼ・ゆうすけ)
株式会社プランクトンR 代表取締役社長。大広とファインドスターにて、多数の大手クライアントの通販事業(健康食品、化粧品)を担当。新規獲得からCRM支援まで多くの成功事例を打ち立てる。その経験をベースに独立。2011年8月にプランクトンRを設立。主にメーカー系通販会社に対し、広告支援、CRM支援を中心として業容を拡大。広告のインサイト型クリエイティブや、CRMではLOVeメールフレームといった、実績に基づいた最新理論を次々と打ち立てる。
こんにちは。通販事業の総合支援を行っている「株式会社プランクトンR」代表の、大久保悠祐です。前回のコラムでは、インサイト型クリエイティブの実例とともに、オフライン広告とオンライン広告で考慮したいポイントをご紹介しました。今回は、広告の成果によってお付き合いが生まれたお客様と、長期的な関係を構築するCRM(顧客関係管理)の重要性をお伝えいたします。ぜひ続きをご覧ください。
共感型CRM① 納得感を醸成する「引き上げCRM」
競合との熾烈な争いの中でビジネスに効率的な利益をもたらす一番の近道となるのがCRMです。ですが、ただそのシステムを導入するだけでは不十分。お客様の気持ちを適切に汲み取り、プロセスも含めしっかりと設計することが大切です。そのためにはまず、お客様に製品の正しい使い方を伝え、正当な製品評価から最大限の納
得を引き出す「引き上げCRM」から取り組みましょう。
事例を挙げてご説明します。例えばここに「毎日1本の摂取を続けることで、2週間程度で効果を実感する人が7割に達する」という製品があり、2週間分のトライアルで広告出稿を行ったとしましょう。
申し込んでいただいたお客様は当然、製品への期待感が高まっている状態ですが、可能性として届いた製品の正しい飲み方を理解できていないことも考えられます。これでは製品本来の実力を実感できず、さらにその誤解が口コミやSNS等で拡散されてしまうと製品の評価を無用に損ないかねません。また、いずれは初めて実感した際の感動を忘れる瞬間が来ますから、体験を再び想起させるよう効果をリマインドし続けることも大切です。
こうした顧客思考を踏まえ、どのようなアプローチが効果的かを整理した、「引き上げCRM」のフローを右に記します。
大切なポイントは、その時々の状況を想定した対策を先回りして行うことです。また、広告ならびに製品によって訴求点は異なるわけですから、コミュニケーションの内容はもちろん、タイミングも、その特性に沿って組み立てなくてはなりません。上記の例では、広告で訴求した「毎日1本継続摂取する」こと、そして「約2週間後という最大限に効果を実感できるタイミングで反応を引き出す」ことを意識して設計しています。以下にどの製品にもある程度共通する、コミュニケーションのポイントを記載します。ぜひ参考にしてみてください。
「引き上げCRM」でのコンタクトポイント
•製品を手に取った際の第一印象
•使った翌日~数日後の実感
•はっきりと自覚できる効果
•第三者から見た際の変化 など
このピースがカチッとはまれば、お客様に満足感をしっかりと与え、「引き上げCRM」の次の段階である「継続CRM」へと移行する原動力に直結します。ぜひ手間を惜しむことなく、製品特性に合わせたフレームを考えてみましょう。
共感型CRM② 関係性をより深める「継続CRM」
「引き上げCRM」によって、お客様は十分に製品理解と継続意向が高まり、定期的な購買へとつながったとしましょう。この先の目標は、継続するお客様を飽きさせないことになります。
これまでの積み重ねにより、お客様は製品へ確かな信頼感を抱いているはずですから、より広域なアプローチも受け入れられる土台ができています。つまり、製品だけではなく、製品を取り巻く企業やブランドなどを主体としたコミュニケーションにより、関係性をさらに太く強いものへと進化させられるのです。
では、コミュニケーションはどのように行っていくべきなのでしょうか。代表的なものとして多くの企業でも配信している会報誌が挙げられます。内容は、キャンペーン情報や新商品情報などの販売促進をはじめ、開発者が製品を語る裏話的なもの、実際の愛用者をモデルに生の声を紹介するもの、中には読者から寄せられた川柳コーナーなど、親近感を抱かせる様々な企画があります。
これらは、予算をかけて大きな企画を立てるのも方法の一つですが、アイデア次第でリソース以上の成果を得ることができます。次にその実例をご紹介しましょう。
右記は弊社の事業部長である川部が開発した、「折り折りのお手紙」というCRMツールです。その時々(=折々)の健康に役立つ情報や、こだわりの素材をお伝えするのが表面の役割。そして裏面には、千代紙の図柄などがプリントされており、読み終えた後は折り紙としても楽しめるという作りにしています。実際に、このツールが楽しみで続けているというお客様も多くいらっしゃり、中にはお孫様向けにもう1セット欲しいとの依頼もあったとのことでした。
このように、コンテンツには直接関係のない要素でも、お客様を引き付ける工夫は可能です。「継続CRM」ではアイデアの幅を狭めず、さまざまな角度からアプローチを行うことで、結果的に製品を愛していただける関係を構築できるのです。
顧客に対する共感こそがCRM成功の近道に
ビジネスの収益性に深く関わるリピート通販。CRMはその核となる要素であり、中でも「引き上げCRM」と「継続CRM」を最適化することが重要です。改めて、この2つの役割と流れを整理した浸透モデルを明記しますので、ぜひここで理解を深めていってください。
最後に、CRMの目的とはレスポンスや売上の最大化ではなく、お客様に製品の正しい使用法をお伝えし、最大限の納得を実感として引き出し、そして製品およびブランドを好きになっていただくことにあります。そのためには、成功事例の真似や一方的に製品力を訴求するのではなく、あくまでも顧客目線で考えを巡らし、親切丁寧にフォローアップをすることが求められるのです。外形ではなく本質を見定めながら、扱う製品やサービスの良さをどう伝えていくか、どんなアプローチをすれば喜んでくれるか、意識しながら形にしていけば、お客様と企業との幸せな関係性を築けるはずです。
「共感の時代のダイレクトマーケティング・クリエイティブ」の全連載(全4回)
第1回目はこちら
第2回目はこちら
第4回目はこちら
著者プロフィール
大久保悠祐(おおくぼ・ゆうすけ)
株式会社プランクトンR 代表取締役社長。大広とファインドスターにて、多数の大手クライアントの通販事業(健康食品、化粧品)を担当。新規獲得からCRM支援まで多くの成功事例を打ち立てる。その経験をベースに独立。2011年8月にプランクトンRを設立。主にメーカー系通販会社に対し、広告支援、CRM支援を中心として業容を拡大。広告のインサイト型クリエイティブや、CRMではLOVeメールフレームといった、実績に基づいた最新理論を次々と打ち立てる。