クリエイティブ理論とオンライン・オフラインの概況
こんにちは。通販事業の総合支援を行っている「株式会社プランクトンR」代表の、大久保悠祐です。前回のコラムでは、これまでのクリエイティブの時代背景とともに、インサイト型クリエイティブが必要な理由をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。2回目にあたる今回は、実制作でのクリエイティブの訴求点の定め方とともに、オンライン広告とオフライン広告におけるスキームをご紹介します。押さえるべきポイントを理解し、それぞれの媒体特性を紐解いていけば、自ずと最適なアプローチが導き出されます。
両クリエイティブに共通する訴求軸の策定
まずはオンライン、オフラインそれぞれに共通する、クリエイティブの制作手法からお伝えします。基本となるのは、第一回でご紹介したインサイト型クリエイティブ。おさらいすると、商品を単なる効能ではなく、ベネフィットの観点から新たな価値を訴求することで、無意識的な課題に対して“気づき”を付与する手法です。この観点から、クリエイティブの効果を大きく左右するキャッチコピーと、キービジュアルのポイントを考えてみましょう。
キャッチコピーの役割は、ユーザーの目と心を引きつけ広告に引き込むことです。そのためにはまず、製品の価値を整理し直すことから始めます。導いた切り口のうち、直感的に魅力を感じられないものは候補から落とし、残ったものの中から少なくとも50本、多ければ100本ほどキャッチコピーを作成。切り口によって表現のしやすさ、しにくさは異なりますが、可能な限り多くの切り口から選びます。
もしスペックが唯一無二であれば、それ自体の訴求でレスポンスの獲得は期待できますが、大半は競合が多い製品かと思います。その際は、前述の潜在層へ向けたインサイト型を意識しながら、その製品のベネフィットを掘り出し、一方的なコミュニケーションにならない表現を心がけましょう。上の図は、活力をサポートする健康食品を仮定したキャッチコピー例となります。「何を言うか」「どう言うか」を整理しながら、まずは数を出すことが重要です
また、広告の第一印象を与えるキービジュアルも、キャッチコピー同様に労力を費やすべき要素です。選択の仕方としては、伝えたいメッセージであるキャッチコピーの受けとして、訴求のスピードをあげるものがベターです。さらに、潜在層を狙うインサイト型クリエイティブでは、キャッチコピーと関連性のないイメージを用い、違和感を抱かせて目を引かせる手法が有効です。先のキャッチコピーを例に、2つのビジュアル例を挙げますので、ぜひ制作の参考になさってください。
加速度的に成長するオンライン広告の課題
広告クリエイティブのポイントを端的にお伝えしましたが、並行して考えたいのは「オンライン」と「オフライン」の付き合い方。コミュニケーションチャネルを選ぶ際には、まずそれぞれの特性を考えることが重要です。
配信設定や内容変更を柔軟に行えるオンライン広告の場合、何よりスピーディーにテスト検証をできることが、オフライン広告より優れている点だと言えるでしょう。しかし、むやみにテストの裾野を広げていると、どの方向性が有効なのか判断を見失ってしまうケースも少なくありません。常に分析と改善が必要になるため、運用中心の媒体となることを忘れないように心がけましょう。
一方のクリエイティブですが、昨今のランディングページを見ると画一的なものが多く、ある意味パターン化に陥っているように感じられます。これではユーザーにとっても、「またこれか」と売り込みを受けている印象になり、逆に距離を置かれかねません。この課題を解消するためには、単なるクリエイティブだけではなく、広告スキームにおいても一考する必要がありそうです。顧客の立場を見定め、興味関心が生まれ十分な理解を得た最適なタイミングで、製品を紹介できる仕組みづくりが、近い将来求められると考えられます。
ターゲットに合わせた媒体選定の心がけを
パターン化が進んだとは言え、今も急速に成長し続けるオンライン広告ですが、一方でその利用者に焦点を合わせるとどうでしょうか。
総務省『情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査』では、年代別に詳しく各メディアの接触状況が集計されています。このレポートでは、web メディアの台頭が一番に見受けられ、特に10 代・20代ではネット利用が進み、反面マスメディア離れが顕著に起こっている状況がわかるかと思います。しかし、60代以上では状況は異なり、テレビ視聴が多いことはもとより、新聞を購読している人がネット利用を上回っているのです。
さらに、電通メディアイノベーション研究室『キュレーション時代のニュースとメディアのゆくえ』では、各メディアに対する信憑性を年代別に発表しており、上記の結果を裏付けるような意見が多く存在します。
つまり、高齢者層に対してアプローチを行うのであれば、認知度の高いオフライン広告は有効だということ。それ以外にも運用知識を必要としない分、時間をかけてクリエイティブの質と向き合えるのも、オフライン広告ならではのメリットでしょう。クリエイティブとともに広告の狙いを整理し、適切な媒体選定を行っていくことが、レスポンスの獲得につながる近道です。
「共感の時代のダイレクトマーケティング・クリエイティブ」の全連載(全4回)
第1回目は
こちら
第3回目は
こちら
第4回目は
こちら
著者プロフィール
大久保悠祐(おおくぼ・ゆうすけ)
株式会社プランクトンR 代表取締役社長。大広とファインドスターにて、多数の大手クライアントの通販事業(健康食品、化粧品)を担当。新規獲得からCRM支援まで多くの成功事例を打ち立てる。その経験をベースに独立。2011年8月にプランクトンRを設立。主にメーカー系通販会社に対し、広告支援、CRM支援を中心として業容を拡大。広告のインサイト型クリエイティブや、CRMではLOVeメールフレームといった、実績に基づいた最新理論を次々と打ち立てる。
こんにちは。通販事業の総合支援を行っている「株式会社プランクトンR」代表の、大久保悠祐です。前回のコラムでは、これまでのクリエイティブの時代背景とともに、インサイト型クリエイティブが必要な理由をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。2回目にあたる今回は、実制作でのクリエイティブの訴求点の定め方とともに、オンライン広告とオフライン広告におけるスキームをご紹介します。押さえるべきポイントを理解し、それぞれの媒体特性を紐解いていけば、自ずと最適なアプローチが導き出されます。
両クリエイティブに共通する訴求軸の策定
まずはオンライン、オフラインそれぞれに共通する、クリエイティブの制作手法からお伝えします。基本となるのは、第一回でご紹介したインサイト型クリエイティブ。おさらいすると、商品を単なる効能ではなく、ベネフィットの観点から新たな価値を訴求することで、無意識的な課題に対して“気づき”を付与する手法です。この観点から、クリエイティブの効果を大きく左右するキャッチコピーと、キービジュアルのポイントを考えてみましょう。
キャッチコピーの役割は、ユーザーの目と心を引きつけ広告に引き込むことです。そのためにはまず、製品の価値を整理し直すことから始めます。導いた切り口のうち、直感的に魅力を感じられないものは候補から落とし、残ったものの中から少なくとも50本、多ければ100本ほどキャッチコピーを作成。切り口によって表現のしやすさ、しにくさは異なりますが、可能な限り多くの切り口から選びます。
もしスペックが唯一無二であれば、それ自体の訴求でレスポンスの獲得は期待できますが、大半は競合が多い製品かと思います。その際は、前述の潜在層へ向けたインサイト型を意識しながら、その製品のベネフィットを掘り出し、一方的なコミュニケーションにならない表現を心がけましょう。上の図は、活力をサポートする健康食品を仮定したキャッチコピー例となります。「何を言うか」「どう言うか」を整理しながら、まずは数を出すことが重要です
また、広告の第一印象を与えるキービジュアルも、キャッチコピー同様に労力を費やすべき要素です。選択の仕方としては、伝えたいメッセージであるキャッチコピーの受けとして、訴求のスピードをあげるものがベターです。さらに、潜在層を狙うインサイト型クリエイティブでは、キャッチコピーと関連性のないイメージを用い、違和感を抱かせて目を引かせる手法が有効です。先のキャッチコピーを例に、2つのビジュアル例を挙げますので、ぜひ制作の参考になさってください。
加速度的に成長するオンライン広告の課題
広告クリエイティブのポイントを端的にお伝えしましたが、並行して考えたいのは「オンライン」と「オフライン」の付き合い方。コミュニケーションチャネルを選ぶ際には、まずそれぞれの特性を考えることが重要です。
配信設定や内容変更を柔軟に行えるオンライン広告の場合、何よりスピーディーにテスト検証をできることが、オフライン広告より優れている点だと言えるでしょう。しかし、むやみにテストの裾野を広げていると、どの方向性が有効なのか判断を見失ってしまうケースも少なくありません。常に分析と改善が必要になるため、運用中心の媒体となることを忘れないように心がけましょう。
一方のクリエイティブですが、昨今のランディングページを見ると画一的なものが多く、ある意味パターン化に陥っているように感じられます。これではユーザーにとっても、「またこれか」と売り込みを受けている印象になり、逆に距離を置かれかねません。この課題を解消するためには、単なるクリエイティブだけではなく、広告スキームにおいても一考する必要がありそうです。顧客の立場を見定め、興味関心が生まれ十分な理解を得た最適なタイミングで、製品を紹介できる仕組みづくりが、近い将来求められると考えられます。
ターゲットに合わせた媒体選定の心がけを
パターン化が進んだとは言え、今も急速に成長し続けるオンライン広告ですが、一方でその利用者に焦点を合わせるとどうでしょうか。
総務省『情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査』では、年代別に詳しく各メディアの接触状況が集計されています。このレポートでは、web メディアの台頭が一番に見受けられ、特に10 代・20代ではネット利用が進み、反面マスメディア離れが顕著に起こっている状況がわかるかと思います。しかし、60代以上では状況は異なり、テレビ視聴が多いことはもとより、新聞を購読している人がネット利用を上回っているのです。
さらに、電通メディアイノベーション研究室『キュレーション時代のニュースとメディアのゆくえ』では、各メディアに対する信憑性を年代別に発表しており、上記の結果を裏付けるような意見が多く存在します。
つまり、高齢者層に対してアプローチを行うのであれば、認知度の高いオフライン広告は有効だということ。それ以外にも運用知識を必要としない分、時間をかけてクリエイティブの質と向き合えるのも、オフライン広告ならではのメリットでしょう。クリエイティブとともに広告の狙いを整理し、適切な媒体選定を行っていくことが、レスポンスの獲得につながる近道です。
「共感の時代のダイレクトマーケティング・クリエイティブ」の全連載(全4回)
第1回目はこちら
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著者プロフィール
大久保悠祐(おおくぼ・ゆうすけ)
株式会社プランクトンR 代表取締役社長。大広とファインドスターにて、多数の大手クライアントの通販事業(健康食品、化粧品)を担当。新規獲得からCRM支援まで多くの成功事例を打ち立てる。その経験をベースに独立。2011年8月にプランクトンRを設立。主にメーカー系通販会社に対し、広告支援、CRM支援を中心として業容を拡大。広告のインサイト型クリエイティブや、CRMではLOVeメールフレームといった、実績に基づいた最新理論を次々と打ち立てる。