協和が新たな成長戦略に打って出る。コラーゲンやプラセンタの原液美容液に代表される「成分訴求」で新市場を創出し、これまで堅調な成長を果たしてきた。一方、業績は200億円の大台を前に足踏み状態が続く。成長戦略では、技術革新が進むIT分野への投資を強化。通販への活用を進めることで最適な顧客提案につなげ、次の成長に向けた成長基盤を築く。堀内社長に今後の戦略を聞いた。
――前期(18年1月期)は189億円と微増で着地した。背景は。
「訴求力のある強力な商品を出せていなかったことが要因だ」
――今期の目標は。
「前年並みの190億円から200億円の売り上げを計画している。今後、売上高は400億円まで拡大したい。顧客数は現状の65万人から100万人まで広げ、お客様と同じ価値観を持つコミュニティの構築を目指したい」
――具体的に注力する点は。
「研究分野では、主に化粧品に使っている『プラセンタ』について、美容・健康分野への応用を視野に機能性に関する知見を深めていく。プラセンタに続く新素材の研究も行う」
――研究分野への投資の予算計画は。
「予算はあるが、状況に応じて検討する。これまで協和は『商品企画力』と『マーケティング力』という通販に不可欠な"知恵"の部分に特化してきた。製造工場やコールセンターを自社で持たず、他社のリソースを活用することで成長を果たしてきた。今後もその方針は変わらず磨いていく。企業理念として『知恵の協業』を掲げ、他社や研究機関との連携の中で進めてきた。『プラセンタ』についても大学や研究機関と連携しながら研究を進めていく」
――成長には強力な単品商材が不可欠だ。今後の商品開発の計画は。
「主力の『原液美容液』を強化する。ニーズの多様化に応じて現在、『コラーゲン』や『プラセンタ』、『サイタイ』など複数の種類の商品を展開しているが、今後もさまざまな種類の『原液美容液』を提案することを考えている」
――「原液美容液」がヒットした背景は。
「"効果実感"が得られることもあるが、お客様は今使っている化粧品を使いながら『プラス購入』できる。価格も1日あたり約100円で、リーズナブルに使える。複合的な理由でヒットしている」
――IT分野での投資を強化する狙いは。
「AI(人工知能)やⅠoT(モノのインターネット)などここ数年の技術革新の通販への応用はすでに始まっている。ただ、そこから顧客ニーズやライフスタイルに合った最適な提案を行うには、お客様からどういった情報を引き出し、情報収集して分析するかを定めていくことが必要になるだろう。そのために投資する」
――成果として、パーソナライズ化を今以上に深化させるのか。
「お客様と同じ価値観を持てるレベルにまで高めたいと考えている。社内では『一元論』と呼んでいるが、中心顧客層は50代前後。前向きで自分の価値観を明確に持っているという特徴がある。そのターゲットに絞り、最適な提案が行えるよう知見を深めていく。コールセンターではアウトバウンドに取り組む中で、アウトバウンドを敬遠するお客様もいるが、最適な提案であればその評価も変わると思う」
――何が変わるのか。
「これまで顧客ニーズを想定し、売れると見込んだ商品を販売してきた。極端な言い方をすれば"売ってみなければ分からない"という状況だった。だが、今以上にお客様を知ることができれば、科学的な分析から提案が行え、強固な関係を築くことも可能になる。どのような顧客情報に価値を見出し、収集し、ニーズを把握するか、という部分が企業にとってノウハウになりうる」
――具体的にどう活用する。
「二通りの活用の仕方がある。一つは、チャットボットによる顧客対応や音声認識による伝票の自動作成など業務効率化に向けた活用になる。もう一つはそこで削減された人材を活用して、個々の顧客とのコミュニケーションを充実させていくことにあてていく」
――売上高400億円を目標としている。以降の成長力はどこに求めるか。
「今年4月にアリババと戦略的パートナー契約を締結した。両社で連携して販売を強化する取り組みだ。仮想モール『Tモール国際』を含め中国では『原液美容液』が国内同様に好調で、現在月1億円(出荷ベース)を売り上げている。今後、『独身の日』に向けた企画などを行い、『Tモール国際』における露出を高めていく」
――中国市場における販売戦略はどう考えていくか。
「定期購入という文化がない。10万人の顧客基盤を構築できた時点で現地に合わせたCRM戦略も検討したい」