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【有力メーカーのEC戦略 日本HP㊤】 モバイル刷新で集客拡大、店頭での「お試し」企画も好評

2018年 3月23日 09:59

5-1.jpg パソコンやプリンター、その他周辺機器の製造・販売を行う日本HPは、昨年よりモバイル版通販サイト(画像)の刷新を図ったほか、リアルを活用した接点からのファン化も進めている。特に新規の顧客開拓で大きな効果が見られるなど、EC事業の拡大につながっているようだ。

 同社では昨年の夏から秋にかけてモバイルサイトの強化を進め、UI改善やSEO対策、モバイル限定キャンペーンなどを実施した。並行して品ぞろえについてもミドルエンド~ローエンド付近の価格帯のラインアップをそろえるなど、モバイルユーザーと親和性の高い「価格」と「機能」の比較がしやすい製品群を充実させていった。「以前のようにモバイルサイトで情報を取得して後にPCサイトから購入するという流れから、モバイルサイトだけですべて完結できるような導線にしていった」(同社)とする。

 元々、同社では顧客がPCをカスタマイズ購入できるサービスが特徴となっており、通販サイトでは製品スペックの解説など細かい情報表示が必要だった。表示面積の少ないモバイルサイトでは、昨年よりそれを簡素化したつくりを取り入れて購入しやすくしていったという。刷新以降はモバイル経由の販売が大きく伸びたという。

 オムニチャネル戦略に関しても進展があった。近年はPCメーカー業界全体で量販店での販売に力を入れる傾向があり、同社でも昨年からは店内に「タッチ&トライ」として、リアルで商品に触れられるエリアを開設。20万円近い高単価のノートPCやゲーム製品(ゲーミングPC)の「OMEN(オーメン)」などについて実際に試すことができる企画を始めた。

 結果的にタッチ&トライを開催した実店舗エリアにいる顧客からの購入が、ネットリアルともに拡大。店頭での接点をきっかけに販売拡大効果が見られたため、今後は通年企画として行い、特にプレミアム製品についてはタッチ&トライができる店舗情報を積極的に発信して誘導していくという。「色味や使い方などは実際に触れないと分からない。ECだけでは難しいが、リアルイベントならではの"体験"から訴求ができる」(同社)とした。

継続して顧客との接点持つ

 現状、買い替えサイクルが7年とも言われているPC製品の場合、メーカーとしては次の商品を購入されるまで顧客接点が中々生まれないことが悩みとなっている。そうした中で「モノ売り」から「コト売り」のような視点を持って、購入した後の顧客に対しても、使い方などさまざまな提案を継続的に行うことでエンゲージを強めていくことが鍵となってくる。

 通販サイトでの情報発信はもちろん、前述のリアルでの商品使用体験を通じた提案などは競合他社との差別化策として欠かせないものとなるようだ。

 そのほか、顧客対応に関しても、以前はECのコールセンターについてECに関する内容のみで対応していたが、現在は商品情報や他の売り場に関する内容など、よりコンシェルジュ的な対応ができるように組織の再編成を進めている。関連して、試験的にチャット対応サービスも開始しており、顧客が通販サイトで探しながらその場で質問ができるようなニーズに対応していく。(つづく)


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