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センテンスの弘中謙社長に聞く 10周年目の通販、これまでとこれから

2017年 9月28日 10:02

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読売テレビグループと千趣会が共同出資するテレビ通販企業のセンテンスが事業を開始して10周年を迎えた。読売テレビを軸に関西圏をメインにテレビ通販事業を展開し、価格競争力などを意識した商品や"売り"だけでなく、面白さも意識した番組作りが評価され、安定的な業績を維持している。昨年にはついに累積損失を一掃、次なるステージへと歩みを進めている。5年前に3代目の社長に就任し、現在、同社を率いる弘中謙社長に事業開始から現在までの状況や今後の方向性などについて聞いた。

 2007年4月に事業を開始(※会社設立は06年10月)してから今年で10周年となった。

 「当時、読売テレビとして放送外収入の確保はこれからの事業戦略上、重要な課題と考えた。その一環として、『通販を手掛けるべき』と考え、通販ビジネスのプロフェッショナルである千趣会さんとも縁があって一緒に当社を立ち上げた(※出資比率は読売テレビが51%、千趣会49%)わけだが、立ち上げ当初は読売テレビとしても、これまでテレビ通販を手掛けたことがなかったこともあり、通販番組の放送枠はどのくらいが適量なのかということなどを含め、手探り状態で軌道に乗るまでは苦労したようだ。読売テレビの朝の情報番組直後の枠を月~木の帯の18分15秒の通販枠として固定して編成してもらい、ようやく我々の通販番組『ビートップスでお買物』が少しずつ認知され始め、業績も安定してきて、流れが変わり始めた」

 その後はずっと順調だった。

 「私は事業がうまく回り始めたころ、2012年7月に社長に就任し、さらに事業拡大に向けて動き始めたが、翌年、読売テレビの編成上の都合で月~木の18分15秒の帯枠が55分枠だが月曜のみとなったこともあり、好調だった事業はその年は苦戦をすることになった。これまでは週に10~13商品くらいは紹介できていたわけだが、1番組では紹介できる商品数は多くて4商品程度となる。また、通販枠が4曜日あれば新商品やチャレンジングな商品をどこかの枠で紹介する試みもやりやすいが、1枠しかなければ失敗がきかず、紹介する商品は実績のある商品が多くなり、次の収益をけん引する可能性のある商品を試しにくいということもあった。また、これまでのような18分15秒枠ではなく、55分枠ということもあり、単に通販の売り上げだけでなく、視聴率も狙った番組にする必要があり、バラエティ色を強めた番組作りを行ったことも影響して2013年は減収減益となってしまった。ここでの失敗を受けて、翌年の14年からは月・火・金の午前10時半から11時半の中で、『2曜日・30分枠』の通販枠が編成されるようになった。月曜日のみ午前10時半から30分という枠だけは固定であとは火曜日か金曜日か、また、放送時間も10時半からか、10時55分からかは毎週変わるが、ある程度、固定された放送枠の中で事業ができるようになり、ようやく落ち着いてきた」

 現在の事業の状況は。

 「現在の通販枠は主力枠である平日午前枠『ビートップスでお買物』は14年からの編成と同じ月曜日のみ固定の毎週2曜日30分枠となっている。加えて、だいたい毎週月・水・日の3曜日50分か55分枠で月に10本程度、放送している深夜枠が事業の柱だ。このほか、通販特番も土曜日の午前の人気情報番組の後や月曜のレギュラー番組を拡大する形の1時間枠で年間で7~8本程度、放送している」

 業績の状況は。

 「2010年に初めて、単年度黒字化を果たし、それからはずっと黒字を維持してきた。累積損失の一掃まで時間がかったが、ようやく昨年(2016年3月)に累損一掃ができ、やっと1人前の会社になれたところだ(笑)。売上高も前期(2017年3月期)は厳しいながらもなんとか予算をクリア(※売上高は本紙推定で前年比9・9%増の25億9100万円)している」

 課題は。

 「読売テレビグループの通販企業として、主に読売テレビでテレビ通販事業を行ってきたが、読売テレビだけでのビジネスでは限界があり、当社の役割としても、それで終わるわけにはいかないと考えている。しかし、グループ外のテレビ局でテレビ通販を展開していくことは媒体費などのコストを含めて難しい側面もある。その中でいかに事業を拡大させていけるかがこれから超えるべき課題であり、それを現在、模索している」

 何か見えてきているのか。

 「独立UHF局でのテレビ通販など含めて様々な試みをすでにやってはみているが、まだ答えは見つかっていない。ただ、1つはやはり商品面だろう。今でもやっているが、当社でしか買えない独自商品やセット組商品をもっと増やしていく必要があるだろう。テレビ通販では珍しいと思うが、当社のお客様のコア層はF2(35~49歳までの女性)で、他社よりも比較的、年齢層が若く、ウェブ比率も約3割程度と高い。そのため、他社でも購入できる商品ではウェブ上で比較されてしまう。その中で当社の商品を選んでもらうためには、価格競争力のある商品か、検索してもほかでは売っていない商品しかない。取引先のメーカー、ベンダーに助けて頂きながら、価格競争力のある商品の確保と並行して、当社との共同開発商品を増やしていく。すでに毛穴汚れをきれいにする美顔器など美容系商材を中心に独自商品を販売しているがもっとやっていきたい。独自商品をやっていくことで商材としてのオリジナリティが出せることはもちろん、粗利も確保でき、利益面の貢献のほか、これまでの原価率では難しかった読売テレビ以外のテレビ局でのテレビ通販の可能性が見えてくるかもしれない。美容系商材だけでなく様々なジャンルでも独自商品の幅を広げていきたい」

 これからの10年に向けた方向性は。

 「読売テレビとしても放送外収入の拡大を期待しており、業績的にはかなり高い目標を設定している。そのための施策の1つはウェブの強化だ。昨年3月にシステムを入れ替え、これまではほとんどできていなかった顧客フォローができるようになった。昨年は新システムを導入したばかりで、バグの処理などに追われていたが、これからは新システムを使って、買いやすく、もう1回来てみたいウェブサイトを目指していく。当社では1回で2個以上の商品を購入されたお客様には送料648円を無料にする試みをずっと行っており、非常に好評を得ているが、サイトの強化に合わせて、こうした試みをまだご存じないお客様にもPRしていき、2個買いを促していきたい。こうした施策で再訪問や買い回り、2個買いなどを増やしていき、目標売上高に近づけていきたい。また、顧客層についても現在のF2層に次ぐもう1つの柱を作りたい。現在のコア顧客に向けて美容関連商品などを販売する事業を『Beauty(ビューティー)』の頭文字をとって『ビートップス』とすると、それよりも上の層へ、例えば介護商材などを販売する試みは『Adult(アダルト)』で『エートップス』、また、比較的、可処分所得の高い層などに上質な商品を展開していく『Celebrity(セレブリティ)』で『シートップス』など、半分冗談、半分本気でやっていきたいと社内では話している。人手もかかるし、容易なことではないが、読売テレビや千趣会と相談しながらやっていきたいと考えている」

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