前号に引き続き、リクルートライフスタイルの仮想モール「ポンパレモール」について、モール市場での勝ち残りに向けた今後の差別化策などを運営責任者の山下隆太プロデューサー(顔写真)に聞いた。
現在の出店者数や取扱商品数は。
「毎年1000店舗ずつ増えていたが16年度は前年比で500店舗増の3500店舗(3月末時点)となり、商品数は3400万点となった。これまでは店舗数、商品数を増加させることに注力していたが、今は規模の拡大だけでなく売り切れ商品を減らしたり、良い価格で提供することなどに注力している」
直近で出店者向けに追加した機能は。
「3月に商品データアップロードに関して自動変換の機能を追加した。他のモールに多店舗展開している出店者が多いため、商品登録をはじめ画像のサイズや数、細かいファイル形式などについて他のモールで使っているデータを自動変換でそのまま取り込めるようにした。これまでかかっていた作業の手間を緩和することで販促や分析に関する業務に集中できるようにしている。ユーザビリティー面でも前年度の下期にABテストを繰り返しながら改善させた」
そのほか、今期に取り組んでいくことは。
「一つがスマートフォン対応。アクセス数ではPCアクセスの伸び率に対して150%となっている。しかしコンバージョンレートで考えると、腰を据えて購入するPCに対しては隙間時間で利用している顧客が多いのでまだ余地がある。その点から12月~3月にかけて集中的にトップページの配置やスマホサイトの商品選択、購入などのメイン導線を変えた」
具体的に変えたポイントについて。
「『ホットペッパー』や『じゃらん』の顧客がポイントの利用先としてポンパレモールに来た際、リクルートIDを持っているにも関わらずログイン画面で『新規登録』を選択してしまうことが多く、そこで分からなくなって離脱につながっていた。今はログイン画面にじゃらんなどのロゴを配置することで、(共通の)リクルートIDが使えることを明確にした。
購入確認画面でも『配送日』の入力欄は空白で顧客が入力する仕組みだったが、最短配送日を最初から表示するように変更した。それだけで離脱率の低下に大きくつながった」
スマホサイト設計でこれから重視していくことは。
「スマホサイトの作り方はPCに載せている情報をベースにどこを削っていくかという進め方だったが、今後はスマホはスマホだけで一から別々に考えていく方針に改めている。
アクセス数ではすでにスマホがPCを抜いた。売り上げについても今年度中にはスマホが逆転するだろう」
ポンタポイントユーザー集客へ
再配達問題など通販物流に関して社会の関心が高まっている。
「再配達が増えると配送コストが増え、結局は利用者の負担につながってしまう。モールとして取り組むべき課題だと位置付けており、例えばコンビニやロッカーなどで受け取れる仕組みを今夏頃に何かしらのサービスとして提案する」
今後の目標は。
「昨年度の仮想モール市場はポイント還元の消費戦が激化していた。今年度はそこに携帯キャリアも参画して4月以降もさらに進んでいくだろう。その中で我々としては(昨年2月にリクルートポイントと完全統合した)『ポンタポイント』をいかに使いやすくするかだと思う。
ポンパレモールが振り出しているポイントの100倍以上の『ポンタポイント』が世の中に振り出されている。それだけ多くの利用者がいるのであればまだまだ白地がある。今後はそこを何%まで取り込んでいくかという部分を追求したい」
(おわり)