スクロール 海外向け直販・支援事業強化
中期計画を公表、3年間で42%増益へ
スクロールは、2017年3月期から3カ年の中期経営計画を公表した。シニア向け通販を強化するほか、化粧品子会社・豆腐の盛田屋が販売する「豆乳よーぐるとぱっく玉の輿」を中心とした、化粧品・健康食品のほか、ブランド品などをアジア向けに展開する。最終年度となる19年3月期の連結売上高は、16年3月期比14・6%増の720億円、連結経常利益は同42・3%増の30億円を目指す。
シニア向け通販では、JA全農や、らでぃっしゅぼーやといった、公共性やロイヤリティーの高い組織の顧客に対し、シニア向けカタログを配布する「BtoBtoC」事業を強化する。
一方、おしゃれな年配女性をターゲットとしたカタログ「ブリアージュ」については、顧客数は15万人で約20億円の売上高となっているが、14年3月期から15年3月期にかけて、累計で20億円の販促費を投入したこともあり、採算は取れていない状況だ。前期は新規顧客開拓費用を絞ったほか、既存顧客も減少し売上高が落ちている。今後の方針については「未定」(堀田守会長)としているが、生協向けに展開している、やや価格帯を落とした商品を掲載したブリアージュについては好調という。
海外向け事業としては、まず化粧品・健康食品については、中国を中心に台湾や香港、シンガポール、さらにはタイを中心としたASEAN各国への展開を計画する。すでに豆腐の盛田屋においては中国で実店舗での販売を開始。さらには現地仮想モールへの出店も行っている。
また、ブランド化粧品販売のイノベート、ブランド品販売のAXES、調理器具などを扱う通販サイトを運営するスクロールR&Dでは、越境ECを展開する。アリババの「天猫国際」のほか、楽天の「楽天グローバル」での販売も予定。さらには、米アマゾンへの出品も予定する。
各事業会社が展開する海外向け通販事業については、ソリューション事業子会社のスクロール360が支援し、グループ内での海外通販ノウハウを蓄積する。
ソリューション事業では、これまで本社や倉庫のある浜松市を中心に展開していきたが、「サービス面での市場における評価は高いものの、立地的な問題もあってなかなか伸びてこない」(同)。今後は東京のほか、札幌・中部・大阪・福岡にも拠点を設け、各地域の通販企業に対し、地元のソリューション関連事業者と連携しながら顧客拡大を狙う。
また、越境EC支援として、日本国内からの海外発送サービスの業務委託を拡充するほか、中国やタイでの現地ネット販売出店支援を行うなど、海外向け支援事業も強化する方針だ。
「豆乳よーぐるとぱっく玉の輿」が好調な豆腐の盛田屋では、同商品の小売りベース売上高100億円を目指した取り組みを行う。16年3月期は200万個、約40億円を販売しており、これを500万個まで伸ばしたい考えだ。中国を中心としたアジアでの販売を強化するほか、生協組合員や農協組合員への販売も開始。テレビCMやウェブ動画などを活用した販促活動も行う。
19年3月期の目標となる連結売上高720億円のうち、スクロール単体の売上高は約3分の2を占めるが、連結経常利益30億円のうち、単体が占める割合は約50%となる見込み。堀田会長は「7つある事業会社がグループの半分の利益を稼ぐという、バランス良いポートフォリオが構築できた。新中期計画では、21年3月期に売上高1000億円と50億円の経常利益を達成するための布石を打ちたい」と意欲を示した。
なお、16年3月期の連結業績は、売上高が前期比1・1%減の628億3900万円、営業損益は17億7400万円の黒字(前年同期は17億4300万円の赤字)、経常損益は21億800万円の黒字(同14億4200万円の赤字)、当期損益は23億8300万円の黒字(同26億4900万円の赤字)だった。
子会社は増収を確保したものの、市場低迷による通販アパレル事業などが減収となり、連結では減収だった。一方、販促費を減らしたことや、通販H&B事業における海外需要の取り込みもあり、利益面では黒字に転換している。
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スクロールは、2017年3月期から3カ年の中期経営計画を公表した。シニア向け通販を強化するほか、化粧品子会社・豆腐の盛田屋が販売する「豆乳よーぐるとぱっく玉の輿」を中心とした、化粧品・健康食品のほか、ブランド品などをアジア向けに展開する。最終年度となる19年3月期の連結売上高は、16年3月期比14・6%増の720億円、連結経常利益は同42・3%増の30億円を目指す。
シニア向け通販では、JA全農や、らでぃっしゅぼーやといった、公共性やロイヤリティーの高い組織の顧客に対し、シニア向けカタログを配布する「BtoBtoC」事業を強化する。
一方、おしゃれな年配女性をターゲットとしたカタログ「ブリアージュ」については、顧客数は15万人で約20億円の売上高となっているが、14年3月期から15年3月期にかけて、累計で20億円の販促費を投入したこともあり、採算は取れていない状況だ。前期は新規顧客開拓費用を絞ったほか、既存顧客も減少し売上高が落ちている。今後の方針については「未定」(堀田守会長)としているが、生協向けに展開している、やや価格帯を落とした商品を掲載したブリアージュについては好調という。
海外向け事業としては、まず化粧品・健康食品については、中国を中心に台湾や香港、シンガポール、さらにはタイを中心としたASEAN各国への展開を計画する。すでに豆腐の盛田屋においては中国で実店舗での販売を開始。さらには現地仮想モールへの出店も行っている。
また、ブランド化粧品販売のイノベート、ブランド品販売のAXES、調理器具などを扱う通販サイトを運営するスクロールR&Dでは、越境ECを展開する。アリババの「天猫国際」のほか、楽天の「楽天グローバル」での販売も予定。さらには、米アマゾンへの出品も予定する。
各事業会社が展開する海外向け通販事業については、ソリューション事業子会社のスクロール360が支援し、グループ内での海外通販ノウハウを蓄積する。
ソリューション事業では、これまで本社や倉庫のある浜松市を中心に展開していきたが、「サービス面での市場における評価は高いものの、立地的な問題もあってなかなか伸びてこない」(同)。今後は東京のほか、札幌・中部・大阪・福岡にも拠点を設け、各地域の通販企業に対し、地元のソリューション関連事業者と連携しながら顧客拡大を狙う。
また、越境EC支援として、日本国内からの海外発送サービスの業務委託を拡充するほか、中国やタイでの現地ネット販売出店支援を行うなど、海外向け支援事業も強化する方針だ。
「豆乳よーぐるとぱっく玉の輿」が好調な豆腐の盛田屋では、同商品の小売りベース売上高100億円を目指した取り組みを行う。16年3月期は200万個、約40億円を販売しており、これを500万個まで伸ばしたい考えだ。中国を中心としたアジアでの販売を強化するほか、生協組合員や農協組合員への販売も開始。テレビCMやウェブ動画などを活用した販促活動も行う。
19年3月期の目標となる連結売上高720億円のうち、スクロール単体の売上高は約3分の2を占めるが、連結経常利益30億円のうち、単体が占める割合は約50%となる見込み。堀田会長は「7つある事業会社がグループの半分の利益を稼ぐという、バランス良いポートフォリオが構築できた。新中期計画では、21年3月期に売上高1000億円と50億円の経常利益を達成するための布石を打ちたい」と意欲を示した。
なお、16年3月期の連結業績は、売上高が前期比1・1%減の628億3900万円、営業損益は17億7400万円の黒字(前年同期は17億4300万円の赤字)、経常損益は21億800万円の黒字(同14億4200万円の赤字)、当期損益は23億8300万円の黒字(同26億4900万円の赤字)だった。
子会社は増収を確保したものの、市場低迷による通販アパレル事業などが減収となり、連結では減収だった。一方、販促費を減らしたことや、通販H&B事業における海外需要の取り込みもあり、利益面では黒字に転換している。