スクロールは5月29日付で、49歳の鶴見知久取締役が社長となった。堀田守社長は代表権のある会長に就任、引き続きグループを統括しているが、鶴見氏が後継者として指名されたことになる。鶴見氏が社長に就任した経緯や、今後の抱負などについて、鶴見社長と堀田会長に聞いた。(聞き手は本紙記者・川西智之)
――鶴見氏を後継とした理由は。
堀田守会長(以下、堀田)「私は2007年に社長に就任したが、鶴見は当時経営企画課長だった。就任初年度は中期経営計画を策定し、"破壊と創造"を掲げて、リストラなどさまざまな構造改革を行ったわけだが、2人でそのプロジェクトにあたった。その時から後継は彼しかいないと思っていた」――そのわけは。
堀田「社長は社員がどうしたらいいのか分からない局面でも、一人で冷静に正しい判断を下さなければならない。そうした『究極の判断』ができる人物だと思った。また、2代続いて伊藤忠商事からの社長登用となっているわけだが、私は就任当時から次はプロパーの、それも40代の人に社長になってもらいたいと公言してきた」
「鶴見が50歳になる前に後継者ということをオープンにする必要があると思った。ただ、本社、子会社の代表権についてはしばらく私一人が持つ。当社グループの規模であれば、代表権は一人に集中させておいた方がシンプルでスピーディーな意思決定ができるからだ。また、私も64歳になったので、病気や事故などで社長が続けられない事態に陥る可能性もある。そうなっても空白が生じないよう、今のうちに路線を敷いておかないといけない」――鶴見社長にお聞きしたい。社長就任を告げられた際の感想は。
鶴見知久社長(以下、鶴見)「以前から『次は任せる』というようなことは言われていたが、正式に告げられたのは今年2月に入ってから。『今年ですか?』というのが正直な感想だった」――鶴見社長は化粧品子会社である豆腐の盛田屋の社長も務めている。
鶴見「14年3月期と15年3月期は、全社で新規顧客獲得のための先行投資を行い、豆腐の盛田屋にも多額の販促費を投入した。ようやく結果が出てきており、今期の売上高は大きく伸びるし、利益も出る形となる予定だ。さらなる成長に向けて、販促費投下も行いたい」――豆腐の盛田屋は海外展開も予定している。
鶴見「楽天グローバルマーケットやTモール国際など、まずは越境ECから始めて、最終的には現地法人を作りたい。中国と東南アジアでの展開を考えている。来年3月までに道筋をつけるつもりだ」
――総合通販にとっては厳しい環境となっているが、スクロールの強みとは。
堀田「今後のカギとなるのはシニア向けビジネスだろう。競合が多い分野ではあるが、そこでどうやって儲かるビジネスモデルを確立するか。当社には、これまで44年間培ってきた、シニア客が多い生協との取引というDNAがある」
鶴見「スクロールはユニークな機能を持った会社が組み合わさった企業。それぞれの子会社が特徴を活かしてビジネスをしている」――今後の売上高目標などは。
鶴見「現在、新中期経営計画を策定中で、年明けにも公表できるだろう。また、当社は1939年創業となるが、100周年となる年に過去最高の業績を達成できるような体制を整えたい」
――経営を引き継ぐにあたり抱負を。
鶴見「現在はバトンタッチまでの助走期間となるわけだが、引き継ぎをスムーズに済ませるためには、この期間でいかに努力するかがとても重要だ。手前みそではあるが、堀田は苦しい経営状態だった当社を安定させた名経営者だと思っている。その名経営者にどこまで近づけるか。慢心せずに堀田式経営を引き継ぎたい」――堀田式経営とはどのようなものか。
鶴見「『ノーガッツ、ノーグローリー』、つまり根性なくして栄光なし、ということではないか。また市場分析もすぐれている」
――鶴見氏を後継とした理由は。
堀田守会長(以下、堀田)「私は2007年に社長に就任したが、鶴見は当時経営企画課長だった。就任初年度は中期経営計画を策定し、"破壊と創造"を掲げて、リストラなどさまざまな構造改革を行ったわけだが、2人でそのプロジェクトにあたった。その時から後継は彼しかいないと思っていた」
――そのわけは。
堀田「社長は社員がどうしたらいいのか分からない局面でも、一人で冷静に正しい判断を下さなければならない。そうした『究極の判断』ができる人物だと思った。また、2代続いて伊藤忠商事からの社長登用となっているわけだが、私は就任当時から次はプロパーの、それも40代の人に社長になってもらいたいと公言してきた」
「鶴見が50歳になる前に後継者ということをオープンにする必要があると思った。ただ、本社、子会社の代表権についてはしばらく私一人が持つ。当社グループの規模であれば、代表権は一人に集中させておいた方がシンプルでスピーディーな意思決定ができるからだ。また、私も64歳になったので、病気や事故などで社長が続けられない事態に陥る可能性もある。そうなっても空白が生じないよう、今のうちに路線を敷いておかないといけない」
――鶴見社長にお聞きしたい。社長就任を告げられた際の感想は。
鶴見知久社長(以下、鶴見)「以前から『次は任せる』というようなことは言われていたが、正式に告げられたのは今年2月に入ってから。『今年ですか?』というのが正直な感想だった」
――鶴見社長は化粧品子会社である豆腐の盛田屋の社長も務めている。
鶴見「14年3月期と15年3月期は、全社で新規顧客獲得のための先行投資を行い、豆腐の盛田屋にも多額の販促費を投入した。ようやく結果が出てきており、今期の売上高は大きく伸びるし、利益も出る形となる予定だ。さらなる成長に向けて、販促費投下も行いたい」
――豆腐の盛田屋は海外展開も予定している。
鶴見「楽天グローバルマーケットやTモール国際など、まずは越境ECから始めて、最終的には現地法人を作りたい。中国と東南アジアでの展開を考えている。来年3月までに道筋をつけるつもりだ」
――総合通販にとっては厳しい環境となっているが、スクロールの強みとは。
堀田「今後のカギとなるのはシニア向けビジネスだろう。競合が多い分野ではあるが、そこでどうやって儲かるビジネスモデルを確立するか。当社には、これまで44年間培ってきた、シニア客が多い生協との取引というDNAがある」
鶴見「スクロールはユニークな機能を持った会社が組み合わさった企業。それぞれの子会社が特徴を活かしてビジネスをしている」
――今後の売上高目標などは。
鶴見「現在、新中期経営計画を策定中で、年明けにも公表できるだろう。また、当社は1939年創業となるが、100周年となる年に過去最高の業績を達成できるような体制を整えたい」
――経営を引き継ぐにあたり抱負を。
鶴見「現在はバトンタッチまでの助走期間となるわけだが、引き継ぎをスムーズに済ませるためには、この期間でいかに努力するかがとても重要だ。手前みそではあるが、堀田は苦しい経営状態だった当社を安定させた名経営者だと思っている。その名経営者にどこまで近づけるか。慢心せずに堀田式経営を引き継ぎたい」
――堀田式経営とはどのようなものか。
鶴見「『ノーガッツ、ノーグローリー』、つまり根性なくして栄光なし、ということではないか。また市場分析もすぐれている」