2012年4月に健康コーポレーションの子会社となったエンジェリーベ。近年は売り上げが右肩下がりで減っており、健康コーポレーションによる子会社化後も業績は悪化していた。健康コーポレーションでは立て直しを図るべく、スタイライフ創業者の岩本眞二氏を副社長として招聘(しょうへい)。11月21日には社長に昇格した。馬里邑の副社長も兼務する岩本氏にこれまでの取り組みを聞いた。(聞き手は本紙記者・川西智之)
「大手術」で単月黒字に、ネット中心に舵切る――近年、エンジェリーベは業績が悪化していたが、その理由をどう分析していたのか。
「要するに、時代の流れに付いていけていなかったということ。副社長に就任し、損益計算書を見たら、あまりの悪さにびっくりしたというのが正直なところだ。何しろ、4期連続で赤字を出していたわけだから」
「これまでは売り上げを増やそう増やそうと掛け声ばかりだったのではないか。売り上げが目標に達せず、損益分岐点に行かないので赤字になっていたということだろう」
――どんな施策に取り組んできたのか。
「大手術をしないと黒字にならないと思った。最初に決めたのは、主力事業であるマタニティーカタログの廃止とネット販売への特化だ。カタログの経費が赤字の原因になっているのは明らかだが、カタログ通販から始まった会社なのでやめるという発想が出てこなかった。もちろん、いきなり『廃止する』とはいえないから、データの裏付けが必要となる。顧客を分析したところ、マタニティーカタログを請求する人の80%はネットから、さらに商品を購入した人の90%はネットからの注文だった」
――カタログ廃止に対する社内の反応は。
「大反対された。『そんなことをしたら売り上げが半分くらいになる』という声もあった。だから、納得してもらうために先ほどのデータを出して『売り上げは落ちたとしても10~20%程度で、黒字に転換する』と説得した。ただ、本心では売り上げは増えるだろうと思っていた」――その理由は。
「ネット販売では、購入するまでのページの階層が深くなるほど購入率が下がる。カタログをネットで注文し、カタログを読んでからネットで購入していた人が多かったわけで、手間がかかる分購入率に影響が出ていると分析した」――マタニティーカタログを今年の春夏号で廃止し、9月からネット販売のみにした。成果は。
「マタニティー事業の売り上げは落ちるどころか、9月は前年同月比で40%増だった。サイトを刷新して使い勝手を良くしたことも大きい。全社でも店舗閉鎖があったにも関わらず、中間期で約30%増収となり、9月、10月と連続で営業黒字を達成した」
――ギフトカタログとベビー用品カタログはどうする。
「ギフトは内祝い用なのでシニア世代の利用が多く、これはカタログの方が向いている事業。ベビー用品については、ネットの強化で9月は前年同月比80%増となっており、カタログ廃止の方向で進めている」――売り上げが回復した要因をどう分析しているか。
「これまでも商品力に問題があったわけではなく、マーケティングが悪かったということ。カタログ通販で始まった会社なので社員に『ネットだと物が買いにくい』という思い込みがあった。確かにカタログは一覧性にすぐれているし、ネットで見るより商品のイメージが良くなる場合もあるが、それよりも先ほど説明した『階層』が浅くなったことの方が大きい。データ的に裏付けがあったから、思い切った施策がとれた」――今期の目標は。
「通期での増収と経常黒字を目指したい」――今後の戦略は。
「売上高60億円に届いた経験のある会社なので、60億円には戻したいと思っている。少子化で妊婦が減ってきているのは事実なので、違う分野で売り上げを作る必要があるだろう」
「そのためにはベビー関連の強化が必要だ。今は生後半年までの商品しか提供しておらず、マタニティーから通算すると、1人の顧客を1年しかカバーできていない。ライフタイムバリューの視点から、ひとまず2歳くらいまでは対象にしたい。また、産後向けインナーなど、産後のケア商品も強化している」――馬里邑でも通販を開始した。
「通販事業を百貨店・専門店向け卸に次ぐ柱としたい。顧客は50~70代が中心なので、エンジェリーベとは逆にカタログを発行した。文化学園文化出版局の『ミセス通販』と組み、カタログを同封してもらっている。客単価は3万円以上で堅調に推移している」
「大手術」で単月黒字に、ネット中心に舵切る
――近年、エンジェリーベは業績が悪化していたが、その理由をどう分析していたのか。
「要するに、時代の流れに付いていけていなかったということ。副社長に就任し、損益計算書を見たら、あまりの悪さにびっくりしたというのが正直なところだ。何しろ、4期連続で赤字を出していたわけだから」
「これまでは売り上げを増やそう増やそうと掛け声ばかりだったのではないか。売り上げが目標に達せず、損益分岐点に行かないので赤字になっていたということだろう」
――どんな施策に取り組んできたのか。
「大手術をしないと黒字にならないと思った。最初に決めたのは、主力事業であるマタニティーカタログの廃止とネット販売への特化だ。カタログの経費が赤字の原因になっているのは明らかだが、カタログ通販から始まった会社なのでやめるという発想が出てこなかった。もちろん、いきなり『廃止する』とはいえないから、データの裏付けが必要となる。顧客を分析したところ、マタニティーカタログを請求する人の80%はネットから、さらに商品を購入した人の90%はネットからの注文だった」
――カタログ廃止に対する社内の反応は。
「大反対された。『そんなことをしたら売り上げが半分くらいになる』という声もあった。だから、納得してもらうために先ほどのデータを出して『売り上げは落ちたとしても10~20%程度で、黒字に転換する』と説得した。ただ、本心では売り上げは増えるだろうと思っていた」
――その理由は。
「ネット販売では、購入するまでのページの階層が深くなるほど購入率が下がる。カタログをネットで注文し、カタログを読んでからネットで購入していた人が多かったわけで、手間がかかる分購入率に影響が出ていると分析した」
――マタニティーカタログを今年の春夏号で廃止し、9月からネット販売のみにした。成果は。
「マタニティー事業の売り上げは落ちるどころか、9月は前年同月比で40%増だった。サイトを刷新して使い勝手を良くしたことも大きい。全社でも店舗閉鎖があったにも関わらず、中間期で約30%増収となり、9月、10月と連続で営業黒字を達成した」
――ギフトカタログとベビー用品カタログはどうする。
「ギフトは内祝い用なのでシニア世代の利用が多く、これはカタログの方が向いている事業。ベビー用品については、ネットの強化で9月は前年同月比80%増となっており、カタログ廃止の方向で進めている」
――売り上げが回復した要因をどう分析しているか。
「これまでも商品力に問題があったわけではなく、マーケティングが悪かったということ。カタログ通販で始まった会社なので社員に『ネットだと物が買いにくい』という思い込みがあった。確かにカタログは一覧性にすぐれているし、ネットで見るより商品のイメージが良くなる場合もあるが、それよりも先ほど説明した『階層』が浅くなったことの方が大きい。データ的に裏付けがあったから、思い切った施策がとれた」
――今期の目標は。
「通期での増収と経常黒字を目指したい」
――今後の戦略は。
「売上高60億円に届いた経験のある会社なので、60億円には戻したいと思っている。少子化で妊婦が減ってきているのは事実なので、違う分野で売り上げを作る必要があるだろう」
「そのためにはベビー関連の強化が必要だ。今は生後半年までの商品しか提供しておらず、マタニティーから通算すると、1人の顧客を1年しかカバーできていない。ライフタイムバリューの視点から、ひとまず2歳くらいまでは対象にしたい。また、産後向けインナーなど、産後のケア商品も強化している」
――馬里邑でも通販を開始した。
「通販事業を百貨店・専門店向け卸に次ぐ柱としたい。顧客は50~70代が中心なので、エンジェリーベとは逆にカタログを発行した。文化学園文化出版局の『ミセス通販』と組み、カタログを同封してもらっている。客単価は3万円以上で堅調に推移している」