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百貨店通販の現状と成長への一手は?㊤ 髙橋豊・高島屋クロスメディア事業部長に聞く

2014年 9月11日 14:58

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 高島屋は、9月1日付けでクロスメディア事業部の人事異動を実施し、通販ビジネスの経験が豊富な高橋豊副事業部長が事業部長に昇格した。主力チャネルであるカタログ通販の再成長や、ファッション専門の通販サイトを運営する子会社セレクトスクエアの売り上げ拡大などの課題解決に向けてどのような舵取り行っていくのか、今下期(2014年9月~15年2月)の重点取り組みとあわせて同氏に聞いた。      


──事業部長の交代で何が変わるのか。

 「クロスメディア事業部としての姿勢に大きな変更はないし、全社的な取り組みとしてもオムニチャネル化に向けた課題は山ほどある。前事業部長の属(さっか)が先頭に立ってオムニチャネルの旗振りをしてきたが、高島屋の経営企画に異動した。これは、クロスメディア事業部の中でカタログ通販やネット、テレビなどすべてを見るよりは、経営企画のスタッフとして全社的な動きを指揮した方がオムニチャネル化に向けてよりスピードアップできるという会社の判断だろう。もちろん、高島屋グループのファッション通販サイトとして『セレクトスクエア』の売り上げを伸ばすために、足もとを固める役割も引き続き担っている。私自身はクロスメディア事業部で展開する各通販チャネルの課題解決に全力を注ぐ

──今回のように、9月に事業部長が交代するケースは珍しい。

 「それだけ、各通販チャネルが抱える課題とオムニチャネル化の進捗、セレクトスクエアの売り上げ拡大といった諸問題について、先送りせずに取り組むことが要求されているということだ

──事業部員に求めることは。

 「各通販チャネルの課題を改めて分析しても新発見などないし、解決の特効薬もない。課題も処方箋も従来と同じだが、やり切れていなかったことが問題だ。これを待ったなしで、全員で取り組む。もう一度モチベーションを上げていく必要がある。これまでは、経費の削減や効率化に重点を置いてきたが、それも一回りした。9月から始まった下期は、とくに主力のカタログについては編集力と商品力の強化、配本の見直しなど、売り上げにつながる部分に着手する

──9月1日付けで組織改正も実施したが、その狙いは。

 「これまでは商材ごとの専門知識を高めるために、例えば食料品であればカタログもネットも宅配事業も見ることで食料品のプロを養成することを目指してきた。もちろんメリットはあったが、足もとでは各通販チャネルの課題がまったく異なっていて、今まで以上に解決スピードも求められている中で、各チャネルを見ていては対応できないケースが増えている。そのため、カタログ・テレビ販売部、ネット販売部などチャネルごとの部門制とした

──各通販チャネルの課題認識を聞きたい。まず、カタログは。

 「カタログ通販は、昨年の下期から今上期までの1年間、平均的にカタログ配布部数の3割カットを実施し、売り上げよりも利益改善に力を注いできた。カタログ制作では内製化も進んだ。今下期は経費削減から営業力強化に舵を切る。もちろん、無駄な経費は使わないが、やめることで売り上げに影響したり、顧客の離反につながるものにはしっかり投資するなど、メリハリをつける。あとは、編集力と商品力の強化に加え、配本のあり方を見直す。ファッション分野の再構築も課題だ

──総合カタログが大きく変わるのか。

 「カタログは6カ月くらいのタームで動いているので、いきなり大きくは変わらないが、来年2月発刊の春号にはいろいろな要素で刷新が図れる。それまでは、例えば9月発刊号から着用モデルを変更し、11月発刊号では配本の仕方を変える。配本は上位顧客についても、たくさんのカタログを一度に送るのではなく、セグメントを分けて届けられるようになる。1月発刊号くらいになると商品力の強化も生きてくる

──編集力強化の具体的な考え方は。

 「各バイヤーが選んだアイテムを持ち寄ってカタログ誌面を作る商品集積型を改め、編集部隊が提案したい企画に沿った商品をバイヤーが選ぶ形に戻す。モノを軸に誌面を作ってみたが、いまひとつだった」  (つづく)

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