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「TSS」の現状と今後を聞く ㊦

2010年 2月25日 19:27

 前号に続き、ヤマトロジスティクスの山内雅喜社長に「トゥデイ・ショッピング・サービス」(TSS)の今後の展開について話を聞いた。

 「TSS」では、ネット販売の受注商品の配送スピードの速さに加え、様々な付加価値サービスを提供しているが、新たな取り組みは。

 「近い将来、通販受注商品の同梱サービスを実現させたいと考えている。これは、通販事業者だけではなく顧客にも非常にメリットがあるはずだ」

 通販事業者と顧客のメリットとは。

 「もともと『TSS』は、複数の通販事業者がオートピック機能を備えた拠点を利用することでコストダウンが図れる形になっているが、同一拠点に商品を在庫する通販事業者に同じ顧客から注文があった場合、同梱して発送することができれば、配送料の削減につながる。また、顧客も商品の受け取りが一度で済み、段ボールなど梱包材の処理の手間が軽減される。これはエコにもつながるものだ。利害関係などがあり、通販事業者同士で同梱を行うのは難しい部分もあるが、当社はニュートラルな立場でサービスを提供できる」

 どのような展開方法を考えているのか。

 「まず、『TSS』の拠点に在庫があるということが前提だが、全ての商品ではなくカテゴリーごとにサービスを提供することを考えている。例えば"美"という切り口で化粧品や装飾品を組み合わせて同梱するといったものだ。カテゴリーの切り口で同梱対象商品を設定し、"これとこれを選ぶとお得になります"という形で顧客が選べる仕組みができればと考えている。この仕組みが確立できれば、メーカーや通販事業者同士のコラボレーションもできるようになる」

 同梱サービスの展開に向けた取り組みは。

 「メーカー数社と連携し、同梱サービスを提供する通販サイトを開設した。扱う商品は、ペットフードやペットシートなどのペット関連商品で、販売主体はメーカー側だ。同梱サービスを提供する場合、ポータル的なサイト、あるいは注文方法が必要になる。今はテスト的に当社が入り口を提供しているが、メーカーや通販事業者側で入り口を作ってもらってもいい。同梱サービスの展開に当たっては、別々の通販事業者に入ってくる受注情報の結びつけや、同梱対象となる商品の峻別などのシステム化がポイントになると思う。この部分については、通販事業者と連携し、どのような仕組みが顧客のニーズに合うのかを考えていくつもりだ」

 ヤマト運輸が1月からシンガポールと上海で「宅急便」事業を開始するなど、グループの海外展開が活発化だ。「TSS」についても海外で展開する考えはあるのか。

 「この数年でアジア各国に『宅急便』を展開していくため、それに合わせて『TSS』を展開していくつもりだ」

 具体的な計画は。

 「今夏頃をメドに台湾で『TSS』を展開する予定だ。台湾については、十年ほど前から『宅急便』を展開しており、既に日本と同じサービスが提供できるネットワークがある。生活習慣や文化などが日本に近く、通販も普及している。商品をより受け取りたいという顧客のニーズもあるはずだ」

 「上海やシンガポールでは、まだ通販が根付いていないが、これから変わってくるだろう。アジアで『宅急便』のネットワークができ『TSS』の体制も整えば、海外進出を考えている通販事業者も日本と同じ感覚で事業を展開できる。ヤマトグループでは、そうした環境作りを考えている」
(おわり)
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