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ペイパル認知拡大への戦略① 「衝動買い」を触発

2014年 4月24日 15:23

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ペイパルが日本でのブランド認知拡大に乗り出した。ペイパルの導入でユーザーのネットでの「衝動買い」を実現する点などをアピール。業界標準の「ゲスト用ワンクリック決済」にすることで買い回りしやすいEコマース環境を作り、利用企業の成長につなげる。東京支店の杉江知彦コミュニケーションズ部長(画像)に戦略を聞いた。

日本への本格進出から3年が経過した。現在の課題は。

 「ペイパルは『クレジットカード決済代行ではない』という部分が伝えきれていない。ペイパルにはカード情報だけでなく、アカウントにカード情報と住所・氏名が紐付いており、ペイパルを採用しているサイトでは初めて訪れてもカード情報や住所をしなくて済むため、いわゆる『かご落ち』を減らすことができる。収納代行や決済代行にはないサービスだ」

 「伝えきれていないのは日本でのブランド認知が低く、ペイパル自体が大手に利用されていないことも大きい。そこで、知名度拡大に向けてアクセル踏み込んでいく。日本を重点マーケットとして人も予算も投じていこうという状況にある」

 どのように利用企業を拡大していくのか。

 「ペイパルは欧米などではディスラプション、つまり変化を起こしてきた。その結果、ペイパルはEコマースにおける標準決済となり、ユーザーが自由に複数ショップを買い回りできる環境になっている。ツイッターやフェイスブックのような、標準的なツールとして位置付けられているのだ。一方、日本ではペイパルというツールがあることをアピールしきれておらず、決済代行の一種としか捉えられていないのが実情だ。企業からも『カード決済を導入しているのに、なぜペイパルが必要なのか』などと言われてしまう」

 「日本のネット販売市場は拡大しているが、目立って伸びているのは大手ばかり。一極集中が進むと消費者の選択肢が減り、競争も減るので、良くない。ペイパルはワンクリック決済が可能なので、面倒な会員登録をせずに買い物ができる点がユーザーにとっては魅力。主要通販企業が使い始めれば中小も導入するし、顧客も利用するようになるだろう。ペイパルが通販業界共通のワンクリック決済になれば、大手に続く第三極が形成できるのではないか。そのためのパートナー企業を募集している段階だ」

 ペイパルを導入するメリットは。

 「店にとってはカード情報を保持しなくていいのが最大の特徴。仮に不正アクセスを受けたとしても、カード情報を持っていなければリスクは低くなる。さらに買い手と共に、売り手も不正取引から守る『セラープロテクション(売り手保護制度)』がある」

 「ペイパルの導入で自社サイトの売り上げが伸びれば仮想モールへの依存度が減る。手数料はカードの手数料とほぼ一緒で、月額の固定費も不要だ。企業の規模に関わらずフェイスブックが販促に使えるように、ペイパルも一つのツールとして活用してもらいたい」

 会員登録不要というのはユーザーにとって便利な反面、通販企業にとってはリピーター獲得につなげにくい面もある。

 「多くの通販サイトは非会員でも買い物できる仕組みがあるので、それをもっと簡単に買えるようにしているということ。ユーザーにとって、普段買わないサイトに情報を入力するのは面倒だし、リスクも感じるだろう。そこの壁をなくせば衝動買いも増えるはずで、事業者にとっても大きい」

 「しかし、ゲストがチェックアウトする際に、オプトインで『会員になるかどうか』をチェックさせることもできる」
つづく
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